テトラフルオロエチレン

テトラフルオロエチレンとは

図1. テトラフルオロエチレンの基本情報

テトラフルオロエチレン (Tetrafluoroethylene、TFE) とは、炭素-フッ素結合を持つ有機化合物 (フルオロカーボン) です。

分子式C2F2で表され、エチレンの水素原子を全てフッ素原子に置換した構造を持ちます。IUPAC命名則による名称は「テトラフルオロエテン (Tetrafluoroethene) 」であり、CAS登録番号は、116-14-3です。他の名称には、「ペルフルオロエチレン」「1,1,2,2-テトラフルオロエテン」「四フッ化エチレン」「TEF」「TFE」などがあります。

分子量100.02、融点-131.15℃、沸点-75.9℃ の、常温では無色無臭の気体です。密度は1.519g/cm3 (-76 ℃)  です。極めて可燃性や引火性の高いガスであるため、取り扱いには注意が必要です。

テトラフルオロエチレンの使用用途

テトラフルオロエチレンの主な用途は、フッ素樹脂や含フッ素化合物の原料です。

最も有名なフッ素樹脂の一つに、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、即ちテフロンが挙げられます。テフロンは耐熱性、耐化学薬品性、潤滑性、非粘着性などの性質があり、広く使用されています。

例えば、産業用途では、化学工業用の装置部品、機械部品、電気部品などのコーティングなどです。家庭用品ではフライパンのコーティングなどがあります。

その他のフッ素樹脂として、PFA (四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂) やPFEP (四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合樹脂) などが挙げられます。なお、テフロンはライニング材や薬液用ボトル等として化学関連分野、すべり軸受け等として機械関連分野、半導体や電線被覆等として電気関連分野などで使用されています。

テトラフルオロエチレンの原理

テトラフルオロエチレンの原理を製造方法と性質の観点から解説します。

1. テトラフルオロエチレンの製造方法

テトラフルオロエチレンの合成

図2. テトラフルオロエチレンの合成

テトラフルオロエチレンは、主にクロロホルムフッ化水素によって合成することができます。この場合は、クロロホルムがフッ化水素と反応してクロロジフルオロメタンとなり、更にクロロジフルオロメタンが熱分解してTFEが生成するという反応機構です。

実験室的合成方法では、PTFEを減圧下で熱分解して製造します。ペンタフルオロプロピオン酸の熱分解によっても得ることができます。

2. テトラフルオロエチレンの化学的性質

テトラフルオロエチレンの化学的性質

図3. テトラフルオロエチレンの化学的性質

テトラフルオロエチレンは、非飽和のフッ化炭素化合物であるため、求核性を持ち、反応性の高い有機化合物です。また、Diels-Alder反応においてジエノフィルとして反応します。前述の通り、重合によってポリテトラフルオロエチレン (PTFE) を容易に生成する化合物です。

加水分解によって有毒のフッ化水素 (HF) を発生します。またナトリウム、カリウムなどの金属や、有機金属化合物とは爆発的に反応します。臭素との反応では無色油状の液体 (ジブロモテトラフルオロエタン) を生じる化合物です。

テトラフルオロエチレンの種類

単体のテトラフルオロエチレンは気体であり、前述の通り工業的にはポリマーの製造に用いられています。しかしながら、一般には単体のガスの形では販売されておらず、重合体のPTFE (ポリテトラフルオロエチレン) の形式で販売されていることが主流です。

重合体であるPTFEは前述の通り樹脂であり、形状・用途には様々なものがあります。試薬・若しくは原料素材として販売されているPTFEは、通常は白色粉末の形状であり、室温保存可能です。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/116-14-3.html
https://www.env.go.jp/content/900411125.pdf
https://www.nite.go.jp/
https://www.nies.go.jp/kisplus/dtl/chem/TKV00063

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