ウレタンゴム

ウレタンゴムとは

ウレタンゴム

ウレタンゴムとは、ウレタン結合を有する重合体であり、合成ゴムの一種で、弾性と剛性に優れています(図1)。

特に機械的強度と耐摩耗性に優れることから、長期間使用できる利点があります。ウレタンゴムは、素材の組成や結合方式の違いにより特性が大きく変化します。

大別すると主鎖がエステル結合タイプのポリエステルウレタンゴム(AU)とエーテル結合タイプのポリエーテルウレタンゴム(EU)の2種類に分けられます。

AUはエステル結合を有するため加水分解されやすいですが、耐油性や機械強度に優れています。

一方EUは、耐油性や機械強度はAUに劣りますが、加水分解されにいため耐水性に優れており、さらには耐寒性、ゴム弾性、耐摩耗性にも優れています。

ウレタンゴムの構造

図1. ウレタンゴムの構造

ウレタンゴムの使用用途

ウレタンゴムは、ロールやタイヤ、ベルトコンベア、スポーツシューズの靴底に使用されます。耐摩耗性を活かした代表例が工場などで使用されるベルトコンペアです。

ただし、酸や高湿度の環境下で使用すると劣化が進むため注意が必要です。また、高い弾性を活かしてスポーツシューズの靴底にも使用されています。

このように用途が多岐にわたる理由は材料の組成や製造方法によって弾性などの特性を自由自在に変化させることができるからです。

ウレタンゴムの劣化の原因と対策

自然環境中でのウレタンゴム劣化の原因としては、光、熱、酸素、水、微生物などが挙げられます。このうち、光、熱による劣化とは酸化反応による分解であり、ウレタン結合が開裂することにより物性が低下します。

その対策としては、紫外線吸収剤や酸化防止剤の添加が効果的です。 次に、水が原因となる劣化の例としては、ウレタン結合の加水分解があげられ、ポリエステルウレタンゴムの方がポリエーテルウレタンゴムよりも分解されやすいです。

また、ポリエステル系の場合はエステル結合も加水分解による劣化を受けます。この種の劣化については、カルボジイミド化合物の添加により防止する事ができます。

微生物が原因となる劣化としては、真菌類による微生物分解がその代表例です。ウレタンゴムは、一般的なプラスチックなどの高分子化合物よりも微生物分解を受けやすい事が知られています。

また、この種の劣化においては、これはポリエステルウレタンゴムの方がポリエーテルウレタンゴムよりも分解されやすいです。

そのメカニズムとしては、微生物が生産するエステラーゼによるエステル結合の加水分解などが報告されています。

ウレタンゴムの原理

ウレタンゴムの種類と特徴 多種多様な用途に使用されるウレタンゴムは、製造方法によって特性をコントロールすることも可能です。

合成方法としては、グリコールに代表されるポリオールとジイソシアネートの重付加反応が用いられます。 主に以下の3つの製造方法が採用されています。

1. ミラブルタイプ

合成ゴムの加工に用いられる一般的な製造方法の1つで、原料から生地を生成した後、金型に流し込みプレスして成形します。

非常にシンプルな方法のため、高い生産効率を得られます。一方で、加水分解を受けやすいことや材料特性が悪くなるなどのデメリットもあります。

2. サーモプラスチックタイプ

樹脂の加工方法を応用した製造方法で、インジェクションタイプとも呼ばれます。ペレット状のウレタンゴムを加熱し融解した後、金型に注入して成形します。安価で生産できるメリットがありますが、製造機器が高価なため大量生産を前提とした製造方法になります。

3. キャスタブルウレタンタイプ

液状のウレタンゴムと硬化剤を混合して金型内で加硫を行います。加硫によりウレタンゴム分子同士が架橋し、高い弾性を得ることができます。

この工程を1日かけて行った後、成形して製造されます。製造設備が安価に抑えられると同時に複雑な形状の加工も可能なため、この方式を導入する企業も多くあります。ただし、製造に時間がかかるため製造効率は低くなります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です