フェニトロチオン

フェニトロチオンとは

フェニトロチオン (C9H12NO5PS) とは、殺虫剤に分類されアブラムシやカメムシ類、ケムシ類などの害虫から農作物を守る用途で使用される農薬の成分です。

フェニトロチオンを含む農薬は、マイクロカプセル剤、エアゾル剤、油剤、乳剤、水和剤、粒剤、粉剤等に加工されます。加工された農薬は、MEPと省略されることが多いです。

1961年に初回登録をされてから現在まで、長く使用されています。農薬としての安全性については、毒劇物に該当しない普通物としての扱いです。

フェニトロチオンの使用用途

フェニトロチオンの使用用途は、害虫の防除です。イネ、果樹、野菜などの農作物に使用することができ、アブラムシやアザミウマ類、カメムシ類、カイガラムシ類など幅広い害虫に登録があります。

フェニトロチオンを含む農薬の使用方法は、農薬の散布です。水に希釈して農作物に散布する方法と土壌に散布して、地中に染み込ませる方法があります。

その他、家庭用の殺虫剤として、不快害虫であるハエ類、蚊の駆除に用いたり、シロアリの駆除などにも用いられます。アブラムシ類、ダニ類、アザミウマ類、カメムシ類、カイガラムシ類、ヨトウムシ類などの害虫防除に使用しますが、適用作物群ごとに対象となる害虫が指定されているため、防除したい害虫を確認してから使用することが大切です。

フェニトロチオンの原理

フェニトロチオンは有機リン系の農薬で、農薬の作用機構による分類ではアセチルコリンエステラーゼ阻害のグループ (1B) です。フェニトロチオンの作用機作は、本剤が害虫体内に吸収されるとオキソン体 (P=O基) に酸化され、神経と神経の伝達物質の代謝に不可欠なコリンエステラーゼと結合してその活性を低下させます。

害虫の神経伝達機能が阻害された結果が、殺虫効果につながると考えられています。

フェニトロチオンの種類

フェニトロチオンは使用する成分量で次のような殺虫剤に分けられ、使用されています。

1. スミパイン乳剤

スミパイン乳剤は有効成分にフェニトロチオン (MEP) を80.0%含む、黄褐色液体状の殺虫剤です。水に希釈して使用し、水に希釈すると白色の乳濁色になるのが特徴です。

スミパイン乳剤は、マツやサクラ、樹木類のカミキリムシ類やキクイムシ、ゾウムシなどに登録があり、使用できます。特にマツでは、マツノマダラカミキリやキクイムシ類、シンクイムシ類などマツの害虫を同時に防除できることが大きな特徴です。

また、散布方法も通常の液体散布だけでなく、ガンノズル散布や無人ヘリコプターによる散布など数種類あり、幅広い用途に対応しています。

2. スミチオン乳剤

スミチオン乳剤は有効成分にフェニトロチオン (MEP) を50.0%含む、黄褐色液体状の殺虫剤です。スミパイン乳剤同様、水に希釈して使用し、水に希釈すると白色の乳濁色になるのが特徴です。

スミチオン乳剤はイネや果樹類、ジャガイモや豆類などの野菜類のアブラムシやアザミウマ、カメムシ類など多くの農作物と害虫に登録があります。また、ホームセンターなどでも購入することができるため、家庭菜園の方から農家の方まで幅広く使用されています。

3. スミチオン水和剤40

スミチオン水和剤40は有効成分にフェニトロチオン (MEP) を40.0%含む粉末の殺虫剤です。使用方法は水に希釈して、農作物に散布します。

スミチオン水和剤40は、リンゴやナシ、ブドウ、オウトウなどの果樹多くの果樹のアブラムシやシンクイムシ、カメムシ類、カミキリムシ類に登録があり使用できます。

フェニトロチオンその他情報

使用上の注意点

  • 使用時は手袋やマスクを着用し、目や鼻、肌に直接かからないようにします。
  • ミツバチに対して影響があるので、ミツバチの巣箱やその周辺、受粉促進でミツバチを放飼中のハウスなどでは使用できません。
  • 水産動植物に対して影響があるので、河川や養殖池などに流入しないようにします。

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