酸化アルミニウム

酸化アルミニウムとは

酸化アルミニウムとは、アルミニウムの酸化物です。

工業的矢鉱物学的には、アルミナと呼ばれています。アルミナにはγ-アルミナや最も安定なα-アルミナなどがあり、これら以外にも数種の中間アルミナがあります。

コランダム (鋼玉) は、天然の酸化アルミニウム鉱石です。ボーキサイトには、酸化アルミニウムが水和物の形で多く含まれています。工業的には主にボーキサイトを原料として、アルミナやアルミニウムが製造されています。

酸化アルミニウムの使用用途

酸化アルミニウムは物理的および化学的に優れ、酸化系のセラミックス素材として幅広い分野で利用されています。融点が高く、耐熱性に優れているのが特徴です。

そのため、耐火れんがや骨材を代表として、さまざまな耐火物の材料に使用可能です。耐食性が高く、化学的に安定しており、耐薬磁器、腐食性液体の配管材などにも利用できます。

ほかにも、機械的強度、精密性、耐摩耗性などが高く、強度と精度が要求される精密機器の部品に広く使われています。さらに、生体への親和性が優れ、医療の分野では人工関節、インプラントの素材として役立ちます。

酸化アルミニウムの性質

酸化アルミニウムの融点は2,072°C、沸点は2,977°Cです。白色の粉末で、水、ジエチルエーテル、エタノールに溶けません。酸やアルカリにも溶けにくく、化学的に安定しています。

酸化アルミニウムの酸素とアルミニウムの結合は強いため、アルミニウムの単体を分離することは難しいです。ただし、ホール・エルー法 (英: Hall–Héroult process) によって、電気分解でアルミニウムを製錬する方法が実用化されています。

酸化アルミニウムの構造

酸化アルミニウムはアルミニウムの両性酸化物であり、化学式がAl2O3と表されます。モル質量は101.96g/molであり、密度は3.95〜4.1g/cm3です。

純粋な酸化アルミニウムはα‐アルミナと呼び、水分を少量含んだものをγ‐アルミナと呼びます。γ‐アルミナの化学式はAl2O3・nH2O (0<n<0.6) です。γ‐アルミナを強熱すると、脱水してα‐アルミナに変わります。

α‐アルミナは三方晶系の結晶構造で、γ-アルミナは立方晶系の結晶構造を持っています。γ-アルミナは高比表面積を有し、触媒として有用です。β‐アルミナの化学式はNa2O・11Al2O3で表されます。

酸化アルミニウムのその他情報

1. 酸化アルミニウム (III) の産出

天然で酸化アルミニウム (III) は、コランダムだけでなく、サファイアやルビーとして産出します。サファイアやルビーは、コランダムの変種です。

金属イオンが微量に混入すると呈色して、宝石として珍重されます。ルビーは、クロムが混入して深赤色を呈します。サファイアは、微量のチタンや鉄などが混入して、赤以外の色になったコランダムです。

2. 酸化アルミニウム (III) の合成法

硫酸アルミニウムなどの塩を、直接1,200〜1,300°Cで熱分解すると、酸化アルミニウム (III) が得られます。

塩化アルミニウムの蒸気に、酸素や水蒸気を1,000°C以上で反応させても、粉末状のアルミナが生じます。

3. 酸化アルミニウム (II) と酸化アルミニウム (I) の特徴

酸化アルミニウムには酸化アルミニウム (III)  (Al2O3) 以外にも、酸化アルミニウム (II) や酸化アルミニウム (I) が存在します。酸化アルミニウム (II) の化学式はAlOで、酸化アルミニウム (I) の化学式はAl2Oで表されます。

アルミニウム処理された手榴弾が高層大気中で爆発したときに、酸化アルミニウム (II) が検出されました。星の吸収スペクトルにも見られます。

真空中で金属ケイ素と酸化アルミニウム (III) を1,800℃に熱すると、酸化アルミニウム (I) を生成可能です。安定に存在できる温度領域は、1,050°C〜1,600°Cです。そのため、通常は気体として存在しています。

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