ジプロピレングリコール

ジプロピレングリコールとは

ジプロピレングリコールとは、二価アルコールの1種で、常温で粘性を有する無色の液体です。

融点は-40℃であり、沸点は231.8℃です。2個のプロピレングリコール (PG) が脱水縮合したような分子構造を有します。ジプロピレングリコールは、消防法において「危険物第4類」「第三石油類」に指定されています。

以前、ジプロピレングリコールは、プロピレンオキサイド (PO) 水和反応を用いてプロピレングリコール (PG) を製造する際に発生する副反応生成物でした。近年、ジプロピレングリコールの需要が増えていることから、PG生産における副反応頼らなくてもジプロピレングリコールを製造できる方法が実用化されつつあります。

ジプロピレングリコールの使用用途

ジプロピレングリコールの使用用途は、繊維強化プラスチック (FRP) などの材料である不飽和ポリエステル樹脂の原料、安息香酸エステル系可塑剤のグリコール成分としての原料、または化粧品の原料などです。

ジプロピレングリコールは、特に化粧品の分野において、角層水分量を増加させるための保湿剤または防腐剤の目的で使用されています。ジプロピレングリコールが使用される化粧品を列挙すると、以下のとおりです。

  • スキンケア化粧品
  • メイクアップ化粧品
  • 化粧下地
  • シート&マスク製品
  • 日焼け止め
  • 洗顔石鹸
  • シャンプーやコンディショナー
  • ヘアカラー
  • ヘアスタイリング剤
  • ネイル剤
  • 香水

ジプロピレングリコールの性質

ジプロピレングリコールの特徴は、有機化合物でありながら親水性が高い点です。有機物でありながら分子内に水酸基 (-OH) およびエーテル基 (-O-) の両方を有するため、親水性化合物の性質を有します。

ジプロピレングリコールは、水と完全に混ざり合って溶解します。アルコールなどの極性有機溶媒にも溶解しやすい物質です。

ジプロピレングリコールの分子構造

ジプロピレングリコールの分子構造は、文字通り2つのプロピレングリコールがつながったような構造です。具体的には、2つのプロピレングリコールの-OH基が互いに脱水縮合したような分子構造をとっています。分子鎖の両端部にそれぞれ-OHがあり、両端部の間には1つのエーテル結合が炭化水素を挟んで配置されています。

分子式で単純に示すとHO (C3H6O) 2Hとなりますが、カッコ内の部分は直鎖ではなく一般的には分岐鎖です。プロピレングリコールには、3つの炭素 (C-C-C) のうちどの2つの炭素に-OH基が付いているかによって分子構造が異なる異性体が含まれています。

このようなプロピレングリコール同士を脱水縮合反応させたと仮定すると、-OH基の反応パターンによってさまざまなジプロピレングリコールの異性体が生じます。したがって、工業原料として使用されるジプロピレングリコールは、通常各種異性体が混ざった混合物です。

ジプロピレングリコールのその他情報

ジプロピレングリコールの製造方法

ジプロピレングリコールは、プロピレングリコールまたはトリプロピレングリコールと同様に、一般的にはプロピレンオキサイドから製造されます。具体的には、水の存在下でプロピレンオキサイドを開環させることによって得られます。

この製造法ではプロピレングリコールが主産物として得られる一方で、ジプロピレングリコールは副産物として得られるのが特徴です。したがって、ジプロピレングリコールは必ずしも多量に製造されているわけではありません。

ジプロピレングリコールだけを特異的に製造する方法も検討されていますが、主流の製造方法にはなっていないのが現状です。

参考文献
https://www.nies.go.jp/kisplus/dtl/chem/JPN00359
https://www.tcichemicals.com/JP/ja/p/D0933

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です