ジグリセリン

ジグリセリンとは

ジグリセリンとは、グリセリンが2つ結合した二量体です。

分子中に4つの水酸基を有する多価アルコールの1種です。別名では、ジグリセロールと称されます。ジグリセリンは、消防法によって「危険物第4類」「第三石油類」に指定されています。

無色無臭であり、透明な粘稠液体です。ジグリセリンは、例えばグリセリンを脱水縮合反応させてジグリセリンやトリグリセリンなどの混合物を生成させたあと、蒸留によって精製されて製造されます。

吸湿性を有し保湿性が良好であるため、主に各種化粧品の保湿剤として使用されます。

ジグリセリンの使用用途

ジグリセリンは、水になじみやすくて肌への刺激性が低いため、基礎化粧品 (化粧水、乳液、洗顔料など) の配合成分として汎用されています。また、皮膚に塗布されたときに温感を付与できるため、マッサージジェルなどにも配合されています。

主な工業用用途は、ウレタン (ポリウレタン) の原料、脂肪酸エステルなどの誘導体を合成するための原料、界面活性剤の原料、または水溶性高分子の可塑剤などです。後述するようにジグリセリンは、分子中に4つのヒドロキシ基 (-OH) を有します。ヒドロキシ基 (-OH) は化学反応によって比較的容易に反応するため、ヒドロキシ基 (-OH) を有するジグリセリンからさまざまな化合物を合成できます。

また、ジグリセリンは、例えばガスクロマトグラフ (GC) で用いられる強極性カラム充填剤 (固定相液体) として使用されます。

ジグリセリンの性質

ジグリセリンは、水になじみやすい性質を有します。水およびエタノールに溶けますが、 エーテルに不溶です。ジグリセリンの引火点は190~202℃程度であり、比重は1.29です。

グリセリンと同様に、肌に対して保湿効果を有します。皮膚に塗布したときにグリセリンよりも軽い感触 (テクスチャー) です。グリセリンおよびジグリセリンはいずれも肌への安全性が高いですが、グリセリンの方がニキビの原因菌を増やしやすいデメリットがあると考えられます。

ジグリセリンの構造

ジグリセリンの分子構造は、文字通りグリセリンが2つ結合しています。各グリセリンの3つのヒドロキシ基 (-OH) のうちの1つが、互いに脱水縮合したような分子構造です。したがって、ジグリセリンは分子中に4つのヒドロキシ基 (-OH) を有します。

化学式はO [CH2CH (OH) CH2OH]2 で表せます。分子量が比較的大きい有機化合物ですが、分子中に4つのOH基を有するため親水性が比較的高い物質です。

4つのOH基のうち1つのOH基に脂肪酸をエステル結合させると、界面活性剤の1種であるジグリセリン脂肪酸エステルとなります。

ジグリセリンのその他情報

ジグリセリン構造を有する界面活性剤

上述の通り、ジグリセリンからジグリセリン脂肪酸エステルという界面活性剤が得られます。ジグリセリン脂肪酸エステルのジグリセリン部分が親水基であり、脂肪酸部分が疎水基です。

脂肪酸にはいくつかの種類があるため、ジグリセリンにエステル結合した脂肪酸の種類によって、ジグリセリン脂肪酸エステルの界面活性性能が変わります。ジグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、ジグリセリンラウレート、ジグリセリンステアレート、ジグリセリンオレートなどがあります。

ジグリセリンラウレートは、ジグリセリンに対して炭素数が12のラウリン酸がエステル結合した界面活性剤です。同様に、ジグリセリンステアレートおよびジグリセリンオレートは、炭素数が18のステアリン酸または炭素数が12のオレイン酸がそれぞれ結合した界面活性剤です。

なお、ジグリセリンは4つのヒドロキシ基 (-OH) を有するため、理論的には1分子のジグリセリンに4つの脂肪酸がエステル結合できます。しかし、すべてのヒドロキシ基 (-OH) がエステル化されると親水基がなくなるため、界面活性剤としては機能しなくなります。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen_pg/KAG_DET.aspx?joho_no=28452
https://www.nite.go.jp/chem/jcheck/detail.action?cno=59113-36-9&mno=2-0418&request_locale=ja

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