シクロプロパンとは
シクロプロパンは、炭素原子3つが互いにつながり単純な環を形成するとともに、それぞれの炭素原子が2つの水素原子と結合しているシクロアルカン分子です。常温では無色の気体であり、融点−127℃、沸点−33℃です。また、4〜6気圧に加圧すると液化する特徴があります。なお常温で2.7倍の体積の水や、エタノールやアセトンに溶解します。
1881年にアウグスト・フロイントにより、シクロプロパンが発見されました。その後、1929年にヘンダーソンとルーカスにより麻酔作用が発見されました。以降、商業利用が始まり、1936年に工業生産が始まりました。
シクロプロパンの使用用途
シクロプロパンを吸引すると麻酔作用を示すことから、以前は麻酔として利用されていました。シクロプロパンは刺激性の無い、甘い臭いのする薬剤です。酸素と共に吸引することで素早く麻酔を誘導する反面、持続的麻酔の結果として「シクロプロパンショック」と呼ばれる血圧の低下や、不整脈を起こす危険性があります。このことから、麻酔の導入にのみに使用されていました。
なおシクロプロパンガスを酸素と混合すると、爆発の危険性が高くなる特性もあることから、現在では使用されていません。