稼働監視とは
稼働監視は、生産設備の稼働状況を収集して異常を事前に予測する仕組みのことを指します。生産設備の運転や停止、異常などの情報を収集することで稼働監視を行うためだけでなく、工場の生産実績を把握し「工場の見える化」にも貢献しています。
これまでの異常検知の方法は、しきい値やルールを取り決めることにより人の手で行われてきました。
しかし、近年は、第5世代移動通信システム(5G)や「IoT(Internet of Things)」といった商用サービスが開始されるほど、システムが発達し、取り扱う情報量が拡大しました。
このことから解析対象も多様化し、監視する対象も複雑になり、人間の限界を超えたといっても過言ではありません。
また、データを収集しても解析するためには、高度な専門知識が必要となり人材が不足しています。
このような理由から稼働監視は、機器やソフトウェアを組み込んで1つのシステムとしてまとめることで、監視領域の拡大と高度なデータ分析を画面上から正確な判断を下せるようになりました。
稼働監視の導入
稼働監視を導入すると、データベースやアプリケーションサーバーに問題が発生した場合、稼働しているシステムに対しての被害を最小限で食い止められます。
また、システムは、休むことなく稼働しているため、想定外のアクセスなどで、リソースが不足しても稼働監視を導入していれば、未然に回避することが可能になります。
しかし、稼働監視を導入していなければ、システム管理者は、サーバー障害の発見に遅れてしまい、必要な資源をシステムに投資できなくなってしまいます。
そして、膨大な情報の精査に追われてしまい、システムの問題要因を把握することが困難になります。
さらに、サーバー障害が発生すると顧客側からシステムにアクセスできなくなり、クレームにつながる可能性が高まります。
例えば稼働監視は、設備の監視システムとして導入されています。このシステムを導入することにより、生産設備に付属している積層表示灯や警告灯の状態を工事を行うことなく確認することが可能です。
これは表示灯の上からかぶせて使用する機器で、ゲートウェイなどの中継機に接続すればIoTソリューションとして利用することが可能になります。配線や電源が不要なタイプも販売されており、集光レンズを表示灯に貼り付けるだけで稼働監視を実現できます。
稼働監視の活用
以下に、稼働監視の活用例を挙げます。
2011年の東日本大震災の影響を受けて同年の5月に「電気事業法第27条による電気の使用制限」が、政府により一時的に実施されました。これにより電気事業法第27条の対象となる大口需要家は、電気の需要対策に取り組む必要がありました。
大口需要家は、需要対策として合成需要電力デマンドの監視装置を設置し、事業所毎の節電状況および電力会社管内単位で、全事業所の合成需要電力をリアルタイムで監視するシステムを構築しました。
しかし、電気事業法第27条に基づく共同使用制限スキームでは、複数事業所が共同で使用最大電力を制限値以内に収める必要がありました。これは従来の事業所別に設置されたデマンド監視装置では対応できないため「株式会社エナリス」が開発した監視システムを「王子製紙株式会社」が導入しました。
その結果、法規制値および王子製紙グループの節電目標電力を共に上回る電力削減を達成することが可能になりました。
このように稼働監視は、時折、早急な対応が必要になることがあります。稼働監視を活用すれば、あらゆる問題への対処がより迅速になるため、稼働監視の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
稼働監視と見える化
稼働監視を仕組みとして取り入れることで、生産設備の生産数や稼働状況が見える化できるようになります。
そのため、いつでもリアルタイムで生産数の確認が可能となり、設備の稼働率や停止率が「いつ・どこで・どのように」発生したのか?といったような問題点の洗い出しと改善を早急に行えます。
また、稼働監視の導入や増設の際に、IoTセンサも同時に取り付けることで、安価で設置することが可能です。IoTセンサを併設することにより、長期的な設備のメンテナンスにもつながります。
稼働監視と見える化を活用し、設備の事前保全や保守部品の在庫を確認できるようにしましょう。