トルクスソケットとは
トルクスソケット (英: Torx Socket) とは、ラチェットハンドル等に組み合わせて使用する工具です。
「トルクス (英: TORX®) 」は、アメリカ アキュメント社 (英: Acument Intellectual Properties、 LLC) の登録商標で、T型とE型の2種類があります。
T型は、ねじ頭に六角星型の溝が加工されたネジで、溝にトルクス工具を差し込んでネジ締め/緩め作業を行います。E型は、ねじ頭外形が六角星型の形状のネジです。なお、この場合の「ネジ」は、スクリュー状の形状だけを示すのではなく、小さいサイズのネジ製品を示します。
トルクスの特徴は、ネジの締め/緩め作業時に工具と六角星型形状の接地面積が多いため、すべりにくく高いトルクがかけやすいことです。一般名称では、「ヘックスローブソケット」や「ヘクサロビュラ穴用ソケット」と呼ばれています。
トルクスソケットの使用用途
トルクスソケットは、先端に六角星型のビットが付いた「T型用」と、先端に六角星型穴の空いた「E型用」があり、トルクスソケットをラチェットレンチや電動ドリルなどに装着することで、トルクスネジを締め/緩め作業を行います。
ねじ頭の溝もしくは外形が六角星型をしているため、トルクスソケットのビットとねじとの噛み合いが強く、効率的にトルクを伝達できるのが特徴です。高強度の締め付け部位に適しています。
優れた特徴や作業性の良さから、自動車産業や各種産業機械になど、幅広い分野で採用されています。トルクスネジはアメリカやヨーロッパ等の海外では広く一般的に使用されていますが、近年日本においても度々見かけるようになってきました。
トルクスソケットの特徴
トルクスネジは六角星型なため、以下の特徴があります。
- トルクが中心にかかり、トルクの伝達効率が良い
- 専用工具がネジから簡単に抜けない
- 摩耗や割れに強く耐久性がある
- デザイン性がある
十字や六角等の一般的なネジ形状は直線的な形状となっているため、ネジ締め/緩め作業時にトルクをかけるとガタ等も相まって工具と点で接触し、トルクが逃げてしまいやすい構造になっています。
しかし、トルクスネジは六角星型で星型形状も直線的ではなく花びらような曲線で構成されているため、工具と面接地しやすくなっておりトルクの伝達効率に優れています。また、面接地が発生していることで、力が分散せずトルクがネジの中心にかかることでネジの締め/緩め作業で力をかけてもすべりが発生しにくくなります。結果として、ネジから工具が抜けにくいです。
さらに、面接地で力が分散する点から、六角星型のどこか1箇所に力が集中しないためネジ山をなめにくくなり耐久性が上がります。それに加えて、六角星型の見た目も模様のように見えることからデザイン性にも優れています。
トルクスソケットの選び方
1. ネジサイズ
T型トルクスソケットのビットサイズ (先端六角星型軸の寸法) は、一般的にT4 (ボルトねじ径 M2) からT100 (ボルトねじ径 M22) 程度まであり、Tの後の数字が大きいほど大きいネジ用となります。
E型トルクスソケットの穴サイズ (先端六角星型穴の寸法) は、一般的にE4 (ボルトねじ径 M3) からE24 (ボルトねじ径 M18) 程度まであり、T型と同様にEの後の数字が大きいほど大きいネジ用です。
トルクスソケットは、トルクスネジと同じサイズを使用する必要があり、サイズ違いのトルクスソケットを使用するとトルクスネジが損傷してしまうことがあるため、適合するサイズをよく確認することが重要です。
2. ネジ形状
T型トルクスネジ形状には、一般的に「トルクス (英: TORX (T) ) 」「トルクスプラス (英: TORXplus (IP) ) 」の2種類があります。トルクスプラスは、普通のトルクスと比較して溝の角部が丸くなっていて、ネジ締め付け時の穴の潰れやカムアウト(締め付けのビットの浮き上がり)を防止し、より強力なトルクで締め付けることが可能です。
なお、トルクスプラスのソケットビットでトルクスネジの締め付けはできませんが、トルクスのソケットビットでトルクスプラスネジを締め付けることができます。しかし、可能な限り専用のトルクスソケットのビットを使用するのが望ましいです。
3. 長さ
T型のトルクスソケットのビット長さと、E型のトルクスソケットの長さは数種類あり、使用用途に応じて選定することが大切です。