デジタルpH計

デジタルpH計とは

デジタルpH計とは、溶液のpHを測定するための計測器です。

pHとはpotential hydrogen、またはpower of hydrogenの略であり、液体の水素イオン濃度指数のことです。0~14の数値で表され、数値7の時に中性、7より小さい状態を酸性、7より大きい状態はアルカリ性であることを示します。

デジタルpH計を用いれば、溶液の水素イオン濃度指数をデジタル値として読み取ることが可能です。pHは「ペーハー」や「ピーエイチ (ピーエッチ) と呼ばれていますが、JIS Z8802:2011では「ピーエイチ又はピーエッチと読む」としています。

デジタルpH計の使用用途

デジタルpH計は、環境測定や化学分析などに用いられます。環境測定では上水や排水の水質管理、化学分析においては実験室から工業製品の生産ラインにおける品質管理に使われています。

化学分析において、pHはサンプルの前処理条件・分析条件に影響を与える指標の1つです。pHは化学反応の進行にも影響を与えるため、製造現場における大切な管理項目の1つです。

デジタルpH計の原理

デジタルpH計に多く用いられている測定法は、ガラス電極法です。ガラス電極方法では2本の電極 (ガラス電極・比較電極) を使います。電極のガラス薄膜で隔てられた2つの領域にpHが異なる液体がある場合、その差に応じた起電力が発生するため、ガラス電極・比較電極の電位を装置本体で測定することによってpHが計算されます。

なお、pH計は使用する前に校正が必要です。pH標準液はpH7をゼロ点とし、pH4とpH9の三点校正を行うのが一般的ですが、サンプルのpHに応じて校正に使用するpH標準液を変える場合もあります。また、検量線の傾きは温度による影響を受ける点に留意しなければなりません。

pHを精度良く測定するためには、pH標準液とサンプルの温度を可能な限り揃えること、電極のメンテナンスを適切に行うこと、電極の液落部をしっかりとサンプルに浸す必要があります。pH測定の作業自体は簡単ですが、測定時のポイントを押さえること、ならびにメンテナンス法を手順化させることが大切です。

ガラス電極式以外のpH測定方法には、リトマス試験紙等の指示薬を使う方法や水素電極法、キンヒドロン電極法、アンチモン電極法などがありますが、ガラス電極式法は他の測定方法と比べて安全で精度が高く、再現性も高いのが特徴です。

デジタルpH計のその他情報

1. デジタルpH計の校正

pH計の校正とは、pH計のゼロ点およびスパン点 (感度) を、pH標準液を用いて正しく調整することです。使用するデジタルpH計によって特有の操作があるので、実際に校正する場合には、付属の説明書を優先します。

校正には、1種類のpH標準液を使用する一点校正、2種類を使用する二点校正、3種類を使用する三点校正などがありますが、pH計の校正には二点校正を行うことが多いです。一点校正は、簡易的な校正です。より厳密に校正するためには、三点校正を行います。

ガラス電極における「pH当たりの起電力」の実際値は、ガラス膜の汚れや「アルカリ誤差」「酸誤差」 (それぞれ、強アルカリ性、強酸性における誤差) などの影響を受けます。このため一般的に、理論値 (59.16mV、25℃) より低い値を示します。また「pH7の起電力」も同じく、理論値 (0mV) から誤差が生じます。

測定前および定期的な校正を行うことで、精度の高いpH測定を行うことができます。

2.  デジタルpH計の校正液

pH標準液の種類と品質・組成は、下記の通りです。

シュウ酸塩pH標準液
0.05mol/kg二シュウ酸三水素カリウム水溶液で、25℃の時pH1.68

フタル酸pH標準液
0.05mol/kgフタル酸水素カリウム水溶液で、25℃の時pH4.01

ホウ酸塩pH標準液
0.01mol/kg四ホウ酸ナトリウム水溶液で、25℃の時pH9.18

炭酸塩pH標準液
0.025mol/kg炭酸水素ナトリウム、0.025mol/kg炭酸ナトリウム溶液で、pH10.02

中性リン酸塩標準液
0.025mol/kgリン酸に水素カリウム、0.025mol/kgリン酸水素二ナトリウム水溶液で、25℃の時pH6.86 

参考文献
https://www.yokogawa.co.jp/library/resources/faqs/an-ph-orp-02-measuring-methods/
https://www.jsac.or.jp/bunseki/pdf/bunseki2020/202005p161.pdf
https://www.horiba.com/
http://www.y-dkk.com/yusb01setu07.shtml
https://kikakurui.com/z8/Z8802-2011-01.html 

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