木槌とは
木槌は、頭と柄が木製のハンマーです。
家具の組立て、板金加工、杭の打ち込み、建築現場での解体など、様々な用途で使用されます。木製のハンマーは叩いても傷や凹みが残りにくいことが特徴で、傷を付けたくない作業に使われるケースが多いです。
頭の直径が100mmを超すサイズの木槌は、掛矢 (かけや) と呼ばれ、杭打ちや解体作業で利用されます。主に素材には樫が使われます。
木槌の使用用途
槌とは物を打ち付けたり、潰すための工具の総称です。槌の中でも木槌は主に対象物を傷つけない目的で使われます。
1. 建築用
建築用に用いられる少し大きい木槌は掛矢と呼ばれ、枘や柱などの木材を打ち込むために使用されます。土建重機が普及するまでは解体工事でも木造家屋を掛矢で打ち壊していました。
2. 機械用
機械工場では被削材を傷つけずに軽い打撃力を与えたい場合に、平削り盤・中ぐり盤・フライス盤に取り付けて利用されます。
3. 伝統用
会場に集った人々に対して代表者が静粛を求めたり、喚起を促したり、集会の開始・終了宣言のときに小槌を叩く伝統があります。
具体例は参議院やオークション会場、裁判所などです。参議院議長は本会議を始める合図に木槌を使用し、オークション会場の主催者は小槌を叩いて競りの終了を宣言します。さらに裁判長が出廷者に対して不規則な発言を慎むように求めたり、開閉廷宣言をする際にも小槌が叩かれることが知られていますが、実際には日本の法廷では使われません。
木槌の原理
1. 木槌の持ち方
木槌は木ハンマーとも呼ばれ、通常は片手で持って使います。頭の直径が100mm以上のものは、柄が長いため両手で持って使用します。
2. 力の制御方法
弱い力をコントロールして打つ際には、柄の頭に近い場所を持ちます。強い力で打ちたい場合には、柄の先に近い場所を持ちます。
3. 使用上の注意点
柔らかい材料に使用する際には注意が必要です。木槌は硬いため、頭の角が材料に当たると凹みができる可能性もあります。打つ場所に木を置いて上を打つと、傷や凹みが入らなくなります。
木槌の構造
頭部にある柄を入れる穴は一方向のテーパになっており、手元から先に向かって柄を打ち込み、摩擦力で留まっています。金鎚の頭部は木の柄を差し込み、楔を打って割り広げて留めているため、木槌とは構造が異なります。
木槌の選び方
木槌を選ぶ際にはサイズや形状を検討する必要があります。
1. サイズ
一般的に木製品の組立てや板金で使用する木槌のサイズは、頭の径が36~60mm、柄の長さが300~360mm程度です。土木や解体の現場で使用する掛矢のサイズは、頭の径が90mm以上、柄の長さが90cm以上です。目的に応じて使いやすい大きさを選ぶことが重要です。
2. 形状
一般的な木槌の頭は円筒形で、打面は平たいです。ただし使用用途に合わせて様々な形状を選択可能です。
木槌の種類
特殊な木槌の形状と特徴を以下にまとめます。
1. 田楽槌
四角く平たい頭が付いた木槌です。板金加工で折り曲げを行う際に使われます。
2. タイコ槌
打撃面の中心が膨らんでいます。工芸品の製作や特殊な板金作業で使いやすい小型の木槌です。
3. 仮枠木槌
杵のように柄に対して片側に長く伸びた形状をしています。コンクリートの仮枠用の木槌として使われます。
4. 横槌
叩く部分の底面から柄が伸び、両軸が同一直線にあるタイプを横槌と言います。木製の横槌はコントロール性に優れ、繊維をほぐすために藁を叩くときに使われます。ただし一般的な鎚よりも支点と打点の距離が短く、打撃力は弱いです。
土木用具にはタコと呼ばれる大型の木製の横槌もあります。切り出した丸太の槌頭の周囲に長柄が4本付いていて、数人で持って地面に打ちつけて土を固めます。現在では路盤整備は機械化していますが、過去にタコが広く使われていました。現在でも相撲の土俵は複数人で巨大なタコで締め固めています。