水力発電用水車

水力発電用水車とは

水力発電用水車

水力発電用水車とはダムなどで行われる水力発電のために用いられる水車です。滝やダムのような高い位置から大量の水が落下する場所、急流など大量の水が大きな速度で動いている場所に設置することで水車を回転させ、そのエネルギーを電気に変換します。

水力発電用の水車は衝動水車と反動水車に分類され、両者は落下した水による羽根の回転法が異なります。衝動水車の例としてはペルトン水車が挙げられ、落下して加速した水の速度エネルギーを用いて羽根を回転させます。一方で反動水車の例としてはフランシス水車やプロペラ水車が挙げられ、こちらは水の速度と圧力を利用して羽根を回転させる水車です。

水力発電用水車の種類と構造

以前の水車は落下した水の位置エネルギーによって羽根を回転させていましたが、最近の水車では水の位置エネルギーを速度エネルギーに変え、高速の水を羽根に当てて水車を回転させています。

水力発電用水車には羽根を回転させる仕組みが異なる、衝動水車と反動水車があります。また、衝動水車の例としてはペルトン水車、反動水車の例としてはフランシス水車やプロペラ水車が挙げられます。

水力発電用の水車は非常に大きく、発電容量も大きいため効率が1%変化するだけでも出力量に大きな影響を与えます。そのため、発電所の大きさや落下する水の高さなどの条件から最適な手法での設計が必要です。

衝動水車

衝動水車の代表例はペルトン水車です。ペルトン水車とは水の速度のみを利用する水車で、落差が大きく水の速度が大きい発電所で用いられています。ペルトン水車は流れてきた水の管路の先を細いノズルにして、強い勢いで噴出する水をランナーと呼ばれる水車の羽根に当てることで水車を回転させます。

ペルトン水車はほぼすべての落差が大きい発電所で使用されており、最大級のものは水の落差が約1900メートルというスイスのビュードロン発電所です。一方でペルトン水車は最大効率が他の手法に比べて劣ります。

反動水車

反動水車の代表例としてはフランシス水車やプロペラ水車が挙げられます。フランシス水車とは水の速度と圧力を利用してランナーを回転させる構造の水車です。落下した水は渦巻状のケーシングに入り、旋回する内向きの流れとなった状態で流量調整用の可動羽(ガイドバーン)を通ってランナーに接触、水車を回転させます。

フランシス水車は日本の水力発電ダムの約7割を占めており、10メートルから300メートルの落差といった幅広い領域で使用可能なのが特徴です。大型のものでは落差430メートルの北陸電力有峰第一発電所があります。

プロペラ水車は基本的な原理としてはフランシス水車と同様で、落下した水がケーシング、ガイドバーンを通った後にランナーに接触、水車が回転するという形式のものです。ただし、プロペラ水車はランナーの形状がフランシス水車と異なっており、船のプロペラのような形をしています。プロペラ水車は水の落差が比較的小さく、流量が多い発電所で用いられることが多いです。

最近ではマイクロ水力発電とも呼ばれる発電出力が小さい発電所も増えてきており、このような反動水車のような落差やエネルギーが小さい発電の仕組みが利用されています。マイクロ水力発電では例えば上下水道、農業用水などの水の流れが利用されており、プロペラ水車などが用いられています。

水力発電用水車とタービン

水力発電用の水車は発電機とつながっており、水車の回転によって発電機も回転することで電気を生み出しています。したがって、水力発電用水車はタービンの一種ともいえます。

水力発電では水量や落差によって水車の回転数が変わり、回転数の変動によって電力出力も不安定になるリスクがあります。そのため、このような水量の変化による速度、圧力変動の影響を小さくすることが必要です。実際にはケーシングの渦の中心に空気や水を入れるなどの対策が行われています。

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