金属カラーとは

金属カラー (英:Metal Collar) とは、金属製の円筒またはリング形状の部品です。
スペーサと同じように駆動シャフトや軸に六角穴付きボルトなどで締め付けて固定できます。ボルトで締め付けず、単に駆動シャフトや軸にはめ込むだけのものもあります。一般的に、セットカラーも同義語で使用されることがあります。カラーとスペーサの相違点は以下の通りになります。
- カラー:部品を固定する、または位置決めするために使用する。
- スペーサ:部品同士の間隔を調整するために使用する。
金属カラーの使用用途
金属カラーは、以下のような用途で使用されます。
1. 部品の固定
金属カラーは、軸に対して任意の位置で固定できるため、金属カラーにブラケットやプレートなどを取り付け可能にしておくことで、ブラケットやプレートを軸上の任意の位置にスライドさせて固定することが可能になります。
2. 部品の位置決め
金属カラーを軸に固定することで、ベアリングやスプロケット、プーリー、ギヤ、軸などの部品を軸方向に対して固定する場合に使用されています。
3. 間隔の調整
ボルトで締め付けずに単に駆動シャフトや軸にはめ込み、部品と部品の間を金属カラーの高さ分で一定間隔に保つために使用することもあります。例えば、機械内部で部品同士が干渉しないよう適切なクリアランスを確保する役割を果たします。
金属カラーの原理
金属カラーの基本的な仕組みは、軸に対する摩擦力や機械的な干渉を利用して固定することです。以下のように、いくつかの固定方法があります。
1. 締結力による固定
金属カラーには、ボルトで締め付けるタイプの製品が多く見られます。金属カラー内径は軸径に応じた精度穴が開いており、六角穴付きボルトで軸に固定します。六角穴付きボルトで固定するため、軸には傷がつきます。
2. 干渉固定
カラーと軸の寸法を精密に合わせることで、カラーが軸に圧入され、摩擦力によって固定されます。
3. クランプ方式
金属カラーにスリットが設けられ、C型状になっています。クランプ機構を使用して軸に固定します。この方法は、軸を傷つけずにしっかりと固定できるため、再利用性が求められる場面に適しています。
金属カラーの種類
金属カラーにはさまざまな形状や材質があり、用途に応じて選択されます。
1. 一体型タイプ
一体型タイプの金属カラーは、シンプルな形状で高い剛性を持つタイプです。主にボルトで締めて固定します。コストが低く、汎用性が高いのが特徴です。
2. スプリット (分割) タイプ
スプリットタイプの金属カラーは、2つまたは3つの部品に分かれた構造を持ち、クランプ機構で軸を挟み込むタイプです。軸の取り外しや再取り付けが容易で、メンテナンス性が高い点がメリットです。
3. 材質による分類
材質は、炭素鋼 (S45C) やステンレス鋼 (SUS304) などが使用されています。標準タイプの六角穴付きボルトで固定せず、挿入するだけの場合は、アルミニウム鋼(A2017)も使用されています。
- ステンレス鋼:耐食性が高く、医療機器や食品機械でよく使用されます。
- 炭素鋼:高い強度と耐久性を持ち、一般産業用途で広く使われます。
- アルミニウム鋼:軽量でありながら十分な強度を持ち、精密機器に適しています。