キャップボルトとは
キャップボルト (英: Cap Bolt, Hexagon Socket Head Cap Screw) とは、ボルト頭部 (ヘッド) が円筒形や皿型で、上端面に六角形状の穴があけられているボルトです。
一般的に、「キャップスクリュー」「ソケットスクリュー」「六角穴付きボルト」も同義語として使用されます。
なお、キャップボルトの規格は、下記の通りです。
- JIS B 1176 六角穴付きボルト
- ASME/ANSI B18.3 Hexagon Socket Head Screws
キャップボルトの使用用途
図1. キャップボルトの使用例 (1)
キャップボルトは、主に取り付け作業のスペースが狭く、小さな機械や装置などへ部品を取り付け、固定するために使用します。
キャップボルトの締め付けは、キャップボルトのサイズに合った六角レンチ (六角棒レンチ) などの締め付け工具を使用します。六角レンチは、スパナやモンキーなどと比較して、小さい力で強い締め付け力を加えられ、締め付けるときにボルト周辺の作業スペースが狭くて済むことがメリットです。
図2. キャップボルトの使用例 (2)
ただし、六角レンチにはミリサイズとインチサイズがあるため、六角レンチの選定には注意が必要です。また、キャップボルトを取り付ける相手側に、キャップボルト頭部の円筒形の直径より少し大きく、頭高さより少し深いザグリ穴あけをすることで、キャップボルト頭部がはみ出さずに取り付けることができます。
なお、ザグリ穴とは、ボルト頭部が隠れるように取り付け部に穴あけ加工することです。ボルト頭部と他部品との干渉を避けすっきりとした状態になります。
キャップボルトの原理
キャップボルトは、一般の六角ボルトと同じで、ねじ (この場合の「ねじ」は、スクリュー状の形状だけを示します) により締結します。キャップボルトは、ナットを使用して締結せずに、タップ加工したメスねじに直接ねじ込み締結する方法に使用される場合が多いです。
六角ボルトのように、ボルト頭部にレンチをはめ込むのではなく、断面が六角状のレンチを六角穴に差し込み締め付けます。そのために、ボルト頭同士や他部品との間にスペースを確保する必要があります。しかし、キャップボルトの締め付け工具は、六角レンチのためボルト頭外側のスペースは不要で、密接してキャップボルトを配置することが可能です。
その結果、小さい寸法で設計が可能でコンパクトな部品や装置が実現できます。キャップボルトの材質は、比較的強度区分の高い材質を使用しており、鋼製の場合 JIS B 1051 8.8, 10.9, 12.9、ステンレス鋼の場合 JIS B1054 A2-70, A2-50 を採用しています。
高い締め付け力と高い強度が必要な場合に使用されています。使用箇所や用途に適した材質や強度区分選定が大切です。
キャップボルトの種類
図3. キャップボルトの種類と形状 (1)
キャップボルトの種類は、キャップボルト頭部の形状と締め付け工具用の穴形状で分けられます。
キャップボルト頭部の形状による種類は、下記のようなものがあります。
- 六角穴付きボルト
- 六角穴付き低頭ボルト
- 六角穴付き皿ボルト
- 六角穴付きボタンボルト
図4. キャップボルトの種類と形状 (2)
穴形状は、六角穴以外に六角星形溝のトルクス (TORX) 穴付きがあります。
キャップボルトのその他情報
キャップボルトの締め付け工具
図5. キャップボルト締め付け工具の種類と形状
キャップボルトの締め付け工具は、L形六角レンチ (六角棒レンチ) 、T形ハンドル六角レンチ、ドライバー形六角レンチ、ヘキサゴンビットなどが一般的です。また、六角レンチとヘキサゴンビットのキャップボルト差し込み側の先端形状は、「フラット」と「ボールポイント」があります。
ボールポイント先端の形状は、角部をR加工しているため、六角レンチが斜めの状態でも締め付けが可能です。