DCクランプメーター

DCクランプメーターとは

DCクランプメーターとは、クランプメーターの一種であり、直流 (DC) 電流を測定するものです。

他にも、交流 (AC) クランプメーターや交直流両用 (AC/DC) クランプメーターがあります。ただし、DC専用のクランプメーターは、微小電流測定等限られた製品しか見当たりません。通常は、交直両用のクランプメーターを利用して直流電流を測定します。

クランプメーターは、被測定回路の電線を挟むことでそこを流れる電流値の測定が可能です。通常、電流値を測定する場合は、一旦回路を切断して電流計を挿入する必要がありますが、クランプメーターでは電線をヘッド部に挟むだけなので、手軽な上安全性にも優れた方法です。

DCクランプメーターの使用用途

DCクランプメーターは前項で記した通り、微小電流測定に特化した機種があり、0.1mAから100mA程度の電流測定に対応します。一方、一般的な交直両用のクランプメーターは10mAから100A以上の測定レンジであることから、半導体電子回路で使うにはDCクランプメーターが適しています。

なお、直流高電圧回路用に特化したDCクランプメーターは製品化されておらず、交直両用のクランプメーターが利用されます。クランプメーターでは回路を切断せず電流を測定するため、高電圧回路でも比較的安全に作業可能で、特に電気工事の際は非常に便利です。

DCクランプメーターの原理

DCクランプメーターを含むクランプメーターでは、測定したい電線を挟むクランプ部とクランプ部が検出した磁界の強さを電流値に換算して表示する処理部から成ります。通常、電線に電気が流れている場合は、その電線の周辺に磁力線が発生しています。この磁力線をクランプ部のコアに閉じ込めます。

クランプ部の構成は、磁性体材料から成るコアとコア内の磁力線を検出する手段の2つです。また、コアの一部を分割できる構造で、そこを通して電線を挟みます。なお、測定時にはコアを閉じた状態にします。交流電流用のクランプ部では、コアにコイルを巻きトランスの原理を利用して挟んだ電線に流れる電流を検出するタイプが広く使われていますが、これだと直流電流を測定することはできません。

直流電流を計測するクランプ部は、ホール素子をコアの内部に埋め込んだものが主流となっています。ホール素子はコア内の磁力線の密度に応じた電圧を出力 (ホール効果) するため、直流であっても電流測定が可能です。また、交流電流にもホール素子は反応するので、その出力電圧を測定してケーブルに流れる電流値を算出することができます。

従って、ホール素子を使ったクランプ部は交直両対応のものが主流ですが、コアが磁化されるとその影響で電流値の測定誤差が大きくなる欠点があります。そのため、定期的にコアの残留磁気を除去するのが望ましいです。尚、ホール素子の出力電圧から電線に流れる電流を求める部分は処理部が対応します。

DCクランプメーターの使い方

1. クランプ方法

クランプテスタの操作は、ケーブルをヘッド部で挟むだけの至極簡単なものです。ケーブルをヘッドの中心に置くと測定誤差が小さくなりますが、多少ズレても大きな影響はありません。

2. 電流の向き

直流電流測定の際は、ケーブルに流れる電流の方向に注意が必要です。一般的なクランプテスタのヘッド部には”+”と”-“が表示がされています。これが電流の向きを示すガイドとなり、直流電流が”+”から”-“方向に流れる場合はプラスの電流値、”-“から”+”方向に流れる場合はマイナスの電流値となります。

3. リーク電流測定

機器に流れる電流を測定する場合は、往路もしくは復路どちらかのケーブルをヘッドに通します。しかし、機器内部で漏洩電流があると、アース (大地) に電流の一部が流れるため、往路の電流に対して復路の電流が若干少なくなります。

そこで、アース線にクランプ部を挟んで流れる電流を測定すると、リーク電流と見なすことが可能です。なお、リーク電流は数mAから数十mA程度なので、微小電流測定に適したDC専用のクランプメーターはこの用途にも合致します。

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