紙ベーク

紙ベークとは紙ベーク

紙ベーク (英:paper Bakelite) とは ベークライトの1種でフェノール樹脂に基材となる紙を混ぜ込んだ素材のことです。

ベークライトの中には紙ベーク以外にも布を基材とした布ベークなどがあり、使用シーンによって使い分けられます。紙ベークは比重が軽く、安価な割に電気絶縁性に優れています。また、切削加工や研磨加工など加工がしやすいため様々な形の部品を作ることができます。

紙ベークの使用用途

紙ベークを含むベークライトの素材は、強度が高く電気絶縁性に優れているため、電気絶縁のために使用されることが多いです。絶縁用ベースプレート、絶縁用途各種部品、電子部品、プリント配線基板、ハンドル、配電盤ブレーカーなどに使われます。また、取手・つまみ、機械部品、食器、建材などの用途もあります。

一般的には配電盤など機器の内部に使用されますが、電気のスイッチや音のボリュームを調節するつまみなどにも使用されます。これらは人が触る場所になるため、感電が起きないよう電気絶縁性が高く、形を加工しやすい紙ベークが使用されます。

紙ベークの原理

紙ベークライトはエンジニアリングプラスチックの1つで、紙を基材としたフェノール樹脂素材です。

フェノール樹脂はフェノールホルムアルデヒドを合成することで製造が可能です。フェノール樹脂だけでは強度が低いため、強化材となる紙の基材を積層させ加熱プレスすることによってベークライトにします。

フェノール樹脂は、熱硬化性の樹脂ですので、紙を積層させて、加熱することで硬化し、ベークライトの板ができます。原料のフェノール樹脂を紙に塗布して、熱によって硬化させます。基材に紙を使う場合を紙ベーク、布の場合を布ベークと呼びます。

フェノール樹脂は機械的強度、電気絶縁性、耐熱性に優れており、プリント配線基板などに使用されます。

紙ベークの特徴

1. 優れた耐熱性

ベークライトは熱硬化性樹脂の1つであり、大きな特徴は熱に強いことです。耐熱温度は150~180℃程度で優れており、高温でも強度が維持されます。ベークライトは積層板であり、層に対して垂直な面はかなり機械的強度が高いですが、層に対して平行な面は剥離が起きやすいのが欠点です。

2. 電気絶縁性に優れる

ベークライトは電気絶縁性が高い大きな特徴があり、絶縁材料としてプリント基板や遮断器、配電盤塗料などの用途に適しています。

3. 射出成形が可能

ベークライトを樹脂単体で成形する場合、熱可塑性樹脂と同様に射出成形加工が可能です。硬化しない程度の温度約50℃にベークライトを加熱した後、金型に射出し、150~180℃に加熱して硬化させます。

4. 機械加工が可能

紙ベークは、機械加工が可能です。加工を行う際は力がかかりやすい向きを確認しながら強度が保たれるように加工します。また、研磨加工も可能です。

5. 紙ベークのデメリット

・リサイクルが困難

ベークライトは、一度硬化させて成形した後は再成形できないため、リサイクルが難しい素材です。リサイクル技術の研究が行われています。

・吸水性が高い

ベークライトは基材に紙を使っているので、吸水性が高く、湿度が高い環境には不適です。

・耐候性が劣る

紙ベークは、紫外線に弱く、酸化すると赤黒く変色します。屋外使用は、推奨されません。また、アルカリに溶解しやすい欠点があります。さらに、衝撃に弱く、欠けやすく脆いのも短所です。

紙ベークのその他情報

1. 紙ベークの寸法

紙ベークの板材や丸棒には、寸法について規格品があります。

・板材:幅×長さは、1,000×1,000mmであり、板厚は0.5mmから60mmまで、多種類あります。

・丸棒:長さが1,000mmで、外径が3mmから70mmまで多くの種類が揃っています。

2. ベークライトの歴史

ベークライトは、1907年にベルギー生まれのアメリカ人のベークランド博士が発明したプラスチックで、商標となっています。世界で初めて植物以外の原料を使って人工的に合成されたプラスチックです。

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