熱交換塗料

熱交換塗料とは

熱交換塗料とは、主に太陽光による熱による温度の上昇を抑えるための遮熱塗料の1つです。

温度の上昇を抑制する塗料には光を反射させるメカニズムの製品もありますが、熱交換塗料は光反射とは違ったメカニズムで遮熱を行います。建築物の外壁に塗布することによって、外部からの熱の侵入を防ぐための塗料を、遮熱塗料とよびます。

一般的な遮熱塗料は外部からの太陽光を反射させることで遮熱を行いますが、この場合だと塗装面の汚れにより太陽光の反射率が落ちたり、反射した光が周囲に影響を及ぼしかねません。一方で熱交換塗料では、塗料内の熱交換物質が太陽光エネルギーを運動エネルギーに変化させることで遮熱を行います。

太陽光を反射させず周囲の環境に与える影響が非常に少ないため、熱交換塗料は環境に優しい塗料です。

熱交換塗料の使用用途

熱交換塗料は、遮熱と環境負荷の両方を考慮した優れた塗料です。そのため、遮熱が必要な建築物・設備などに多く使用されています。

具体的には、一般住宅やビルの屋根・外壁などです。建物以外にも、アスファルトの歩道、テニスコート、サッカー場、学校のグラウンド、農業用ビニールハウスの屋根、プールサイド、子供の遊具などにも使用されています。生コン車ドラムも用途の1つです。

熱交換塗料の原理

熱交換塗料の内部には、光エネルギーを運動エネルギーに変換する物質 (熱交換物質) が含まれています。太陽光は様々な波長の光の集合体ですが、熱交換物質が反応するのはこのうち可視光~赤外線領域の光です。

太陽光が熱交換塗料に当たると、熱交換物質が可視光~赤外線領域の光に反応して塗料内部の熱交換物質が振動します。つまりこの時点で、太陽光エネルギーは熱交換物質の運動エネルギーに変換されていることになります。この運動エネルギーは熱交換物質が動くことで消費されます。つまり、光エネルギーを塗料内部で、ほぼ全て消費することが可能です。

熱交換塗料は冬場 (5℃~25℃程度) だと機能しません。交換塗料を用いると冬場は外部からの太陽光エネルギーを建物内に取り込むことができるため、暖房機器の必要性が低下して省エネにつながります。一般の遮熱塗料の場合は冬場でも太陽光を反射してしまうため、このような省エネ効果は得られません。この点からも、熱交換塗料は自然に優しい塗料であるといえます。

熱交換塗料の特徴

1. 周辺環境への影響が少ない

熱交換塗料は光の反射によらないため、周辺へ熱害を与えることがありません。都市のヒートアイランド現象を助長せずに済みます。

2. チョーキングがおきにくい

チョーキングとは、外壁の表面が白亜化という自己崩壊によって白い粉を吹く現象です。手で触るとチョークのような白い粉が付着します。チョーキングの原因は塗料中の二酸化チタニウムの光触媒作用ですが、熱交換塗料はチョーキングの発生を遅らせる性質があります。

3. 汚れが影響しない

光の反射を利用した遮熱塗料は、汚れると遮熱効果も減少してしまいますが、熱交換塗料なら汚れが影響しません。長期間にわたって使用可能で、塗り替えサイクルも長くなります。

4. 輻射熱を抑制できる

輻射熱とは赤外線で伝わる熱のことで、建物の内部を温めているのも輻射熱です。熱交換塗料は輻射熱を抑制するため室温の温度上昇も少なくし、冷房の効率を向上させることができます。

5. 建築部材の耐久性を向上させる

熱交換塗料と施工すれば、塗装した部材の温度上昇も抑えられるため、屋根材などの耐久性向上にも貢献します。

6. 保温効果もある

熱交換塗料の効果は25度以上から発揮されるため、冬場は熱を逃すことはありません。光の反射を使った遮熱塗料では冬場でも熱を反射してしまうため、むしろ暖房費を増やしてしまう可能性があります。

参考文献
https://oacis.repo.nii.ac.jp/
http://www.yoshidakenso.co.jp/coat/index.html#a01
http://www.kyc.co.jp/products/development/tough-coat.html
http://www.arbar.co.jp/products/hep
http://www.mihashitoso.com/

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