ニッケル

ニッケルとは

ニッケル

ニッケルとは、元素記号  (Ni) で表される、原子量58.71の金属元素です。

銀白色の金属で、比重は8.9 (20℃) 、融点は1,453℃、沸点は2,730℃、線膨張係数は13.3×10-6/℃となっています。耐食性良好、展延性にも優れ、加工しやすい材料です。

ニッケルの使用用途

ニッケルを含む製品は、私たちの周りに溢れています。例えば、調理器具や医療機器、携帯電話や建築物、発電機などです。

その中でも特に重要なものとして、エレクトロニクス分野や非常用電源、電気自動車などに用いられる充電式電池があります。その一つが、ニッケル水素電池です。このニッケル水素電池の正極にニッケルが使用されています。

また、ニッケル水素電池に限らず、リチウムイオン電池にも、ニッケルを原料とする正極用活物質が使用されています。リチウムイオン電池で用いられる正極活物質すべてにニッケルが含まれてはいませんが、ニッケルを使用した正極活物質を用いたリチウムイオン電池は、エネルギー密度や出力を上げやすいことから、主流の原料となっています。

ニッケルの特徴

ニッケルは、特に淡水・海水・アルカリ性水溶液に対しての耐食性が高いです。「金属を海水に浸すとすぐ錆びる」というイメージがありますが、ニッケルはその強い耐食性を活かして海水中でも安全に使用することができます。

また、ニッケルは腐食や酸化にも強いです。強度が高くても腐食に弱い金属では耐久性に問題が出てしまいますが、ニッケルを使うことでこれらの課題を解決できます。その他、ニッケルを他の金属と混ぜて合金化することで、様々な材料に変えられる点も特徴の一つです。

ニッケルは容易に合金化できるため、あらゆる金属と掛け合わせて新たな合金が作られています。比較的低コストで加工可能で、コストパフォーマンスにも優れています。ニッケルの融点は1,453℃であり、非常に高い熱耐性を持っています。合金化した際にこの特性を活かすことで、熱に強い合金を生み出せます。

ニッケルの合金として有名なものとして、ニクロムが挙げられます。これは名前の通り、主にニッケルとクロムからなる合金で、電気抵抗が高いため、発熱素子として用いられます。

ニッケルのその他情報

1. ニッケルの合金

ニッケルを含む合金は、元の金属だけの素材と比べて耐食性、耐久性が向上し、温度変化に対する強度も向上するのが一般的で、特殊な磁気電気特性を幅広く備えています。ステンレス鋼は、鉄、ニッケル、クロムの合金であり、ニッケルを約8~12%含有しています。

ニッケルの含有率がさらに高いのが、ニッケル基合金です。硬貨の原料にもニッケル合金が使われており、50円、100円、500円硬貨はとニッケルの合金です。

2. ニッケルを含む化合物

ニッケルは他の金属と合金をつくる以外にも、ニッケルの酸化物や硫酸塩酸などの酸成分との塩のような、無機化合物も工業的に生産されています。

酸化ニッケル (II)
化学式:NiO、暗黄緑色~灰色の粉末。水に不溶、塩酸に可溶。
用途:電子部品、電池電極材料、触媒、窯業製品などの原料

硫酸ニッケル
化学式:NiSO4、緑色の結晶または粉末。水に易溶、エタノールには溶けない。
用途:ニッケルめっき、ニッケル触媒、亜鉛・真鍮の黒色着色剤、窯業用顔料、リチウムイオン電池用活物質原料

塩化ニッケル
化学式:NiCl2、緑色柱状晶、単斜晶結晶で潮解性。水、アルコールに易溶。
用途:電気めっき、試薬

炭酸ニッケル
化学式:NiCO3、淡緑色結晶または粉末。水に不溶、酸に可溶。
用途:触媒、窯業用顔料、ニッケル塩の原料、電気メッキ

硝酸ニッケル
化学式:Ni(NO3)2、緑色単斜晶結晶で潮解性。エタノール、アンモニア水に可溶。
用途:触媒原料、金属表面処理剤、メッキ用原料、電池

参考文献
http://www.nickel-japan.com/nickel/used.html

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