USBオシロスコープとは
USBオシロスコープとは、USBインターフェイスを介してPCと接続し、電圧の波形を観測・解析する測定機器です。
デジタルオシロスコープの1種で、アナログ入力された信号をADコンバータでデジタル化し、波形データをUSB経由でPCに転送して解析します。USBオシロスコープのメリットは、デスクトップ型のオシロスコープに比べて小型かつ低価格である点です。
また、専用のソフトウェアを使うことで波形の観測だけでなく、周波数解析やデジタルフィルタ処理などの高度な信号処理がPC上で実行できるのが特徴です。工場の現場での保守・点検や開発現場でのデバッグに活用されています。
USBオシロスコープの使用用途
USBオシロスコープは、信号の観測を行うのに使われます。主な用途として以下のものがあります。
1. デバッグとトラブルシューティング
USBオシロスコープは、電子機器の設計や開発の過程で、デバッグとトラブルシューティングのための極めて貴重なツールとなります。特定の信号が正しく動作しているかどうかを確認したり、機器間の通信に問題がないかを診断したりする際には、信号の視覚的な表現が欠かせません。
2. 教育現場での実験・実習
教育現場で、USBオシロスコープは生徒や学生が電子信号の振る舞いを直接観察し、理解を深めるための助けとなります。実験や実習の際に、理論を現実の観察結果と結びつけることが可能となり、学習効果を高められます。
3. 信号品質の確認
電子機器が正しく動作するためには、信号品質が一定であることが必要です。USBオシロスコープは、信号の品質や整合性を視覚的に確認可能にします。特に高速なデジタルシステムでは、タイミングのズレやノイズ、ジッターなどの問題を早期の発見が重要となります。
4. 工場の保守・点検
工場の設備やシステムの保守・点検にも、USBオシロスコープは有用です。機器の性能を監視し、異常が発生した場合には即座に警告して、大きなトラブルを未然に防ぎます。
また、定期的な点検時には、機器の性能を評価し、必要な場合にはメンテナンスを行うことが可能です。これにより、長期的な運用の効率性と信頼性を確保します。
USBオシロスコープの原理
USBオシロスコープの本体側では、被測定物の波形をキャプチャして、これをデジタルデータに変換します。その後、USB端子を経由して、PC本体に送信するのが役割です。このようにUSBオシロスコープは、PCのUSB端子で接続されています。
USBオシロスコープの種類
現在、USBでPC接続できるオシロスコープは非常に増えており、近年のモデルでは接続できない機種の方が少なくなっています。また、大きさによって以下の2つに分けられます。
1. ハンディタイプタイプ
小型で持ち運びがしやすいタイプです。小型化のため内臓ストレージのみのタイプがほとんどです。小さいながら液晶を装備しているものが多く、PCと接続せずに波形を確認できます。また、USB充電式で電池やACアダプター不要なタイプもあります。
2. デスクタイプ
従来の据え置きタイプにPCとのUSB接続端子を装備したものです。ハンディタイプよりは大きく持ち運びでかさばるとはいえ、小型・軽量化が進んでおり、1kg程度のものも多く存在します。
性能は従来型と変わらず、違いはPC接続のほかにUSBメモリにデータ保存できるタイプがあることや、専用のPCソフト・ドライバが同梱されていることです。この専用のソフトでパソコンに取り込んだデータ解析もできるようになっています。
USBオシロスコープのその他情報
USBオシロスコープの注意点
1. 共通のGND
1点目は、USBオシロスコープとPCのUSBポートのGNDが共通であることです。USBオシロスコープのGND端子に、不用意に高い電圧 (数十V以上) を印加すると、この電圧がPCのUSB端子のGNDを経由してPCの内部に入り込む可能性があります。
これにより、PCのUSB端子が破壊され、PCボードの故障につながることも多いです。したがって、不用意に高い電圧を加えることは避けなければなりません。
2. USB端子の耐圧
2点目は、PCのUSB端子の耐圧はさほど高くないことです。したがって、USB端子のGND端子だけではなく、他の端子に不用意に数十Vの電圧を印加するとPCのUSBポートもしくは、内部の基板が故障する可能性があります。
3. 操作性
3点目は、PCのキーボードを利用して全ての設定を行うため、操作に慣れにくいことです。キーボードの1つ1つに、直接関係のない機能が割り当てられることが多いため、簡単に覚えられるものではありません。
それに対して、スタンドアロン型のオシロスコープの場合、専用の操作ボタンがついているので、一度操作方法を覚えてしまえば比較的操作がしやすいです。