アイソレータ

アイソレータとは

アイソレータ (英: Isolator) とは、分離または絶縁するための装置です。

使用される業界によって指すものが異なり、電気・電子機器の業界ではアナログ信号を絶縁する装置を、建築業界では地震から建物を絶縁する装置を、医療や薬学の業界ではある系内を外部の雑菌から絶縁する装置を指します。

英語のisolationが分離や絶縁を意味し、isolatorは絶縁するものを意味するため、装置の機能をそのまま表しています。

アイソレータの使用用途

各業界の指すアイソレータは装置が異なるため使用用途も違います。

1. 電子機器業界

電子機器業界のアイソレータは信号受信装置のサージ電圧保護や責任分界点の切り分け等に使用されます。

2. 建築業界

建築業界のアイソレータは耐震装置として建物の下で基礎鉄骨を支えるために使われます。

3. 医薬業界

医薬業界のアイソレータは医薬品開発のための環境作りに用いられます。患者や薬品を無菌状態で保つためにも使用可能です。

アイソレータの原理

各業界で使用されるアイソレータは仕組みが全く異なります。

1. 電子機器業界

電子機器業界のアイソレータは外部から流入する電気信号を完全に絶縁した状態で出力端子から同信号を出力可能です。具体的には入力信号に対してアンプを介して出力電圧を増幅させて検知した後、その信号を出力回路に伝達して出力します。電圧入力の場合には直接入力し、抵抗を介して電圧入力に変換します。出力信号の種類は需要に応じて変換しているため、信号変換器としても使用可能です。

2. 建築業界

建築業界のアイソレータはゴム等の弾性が高い材料を主鉄骨の下に敷くことで振動を逃がす構造を有します。高層ビル等で地震が発生した場合には上部へ向かう程振幅が増幅し、機械的衝撃が強くなります。免震ゴム等によって地下で衝撃を吸収すると振幅を抑え、建物への機械的衝撃を軽減可能です。

3. 医薬業界

医薬業界のアイソレータはドラフトチャンバと同様に吸引ファンを有し、常に陰圧に保つことで菌や毒物の系外流出を防ぐ装置です。流入する気体は過酸化水素等で殺菌されて系内無菌環境が担保されます。

アイソレータの種類

アイソレータには光アイソレータやデジタルアイソレータがあります。

1. 光アイソレータ

光アイソレータの部品内部には受光素子やLEDがあり、光で信号を伝送します。フォトカプラとも呼ばれ、発光素子と受光素子がパッケージングされており、各素子は抵抗体に接続されています。

2. デジタルアイソレータ

デジタルアイソレータはコンデンサやコイルを使用して出力側と入力側を絶縁する部品です。絶縁に用いる部品で誘導式 (インダクティブ) と容量式 (キャパシティブ) に分けられます。

誘導式は電流がコイルに流れた際に生じる磁界を使用し、容量式は直流信号をコンデンサが絶縁して交流信号だけを伝送します。

アイソレータの選び方

光アイソレータやデジタルアイソレータにはメリットやデメリットがあります。

1. 光アイソレータ

光アイソレータは光の送受信が離れた状態でも可能なため、容易に絶縁できます。構造がシンプルで信頼性が高く低コストで長寿命なため、昔から幅広い用途で使用され続けてきました。ラインナップが豊富なため、用途に合う製品を選択しやすいです。

フォトトランジスタやLEDは長寿命ですが、温度変化で発光効率が落ちる可能性があり、入出力効率が低下して信号伝送に支障が出ます。

2. デジタルアイソレータ

誘導式と容量式はどちらも部品がほとんど劣化せず、長寿命で高性能です。フォトカプラで対応が難しい用途で使われます。

しかし伝送できるのはデジタル信号だけであり、高価でラインナップも少ないです。CMOS (英: Complementary Metal-Oxide-Semiconductor) を使った製品によって高速応答や小型化が可能になり、現在でもデジタルアイソレータは進化しています。

参考文献
https://www.m-system.co.jp/mstoday/plan/mame/b_signal_con/0207/index.html
http://www.airexx.co.jp/contents/isolater/

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