ガススプリング

ガススプリングとは

ガススプリング

ガススプリング (英: gas spring) とは、圧縮されたガスの圧力を利用したスプリングです。

ガスダンパー、ガス圧スプリング、ガス圧ダンパーとも呼ばれています。密閉されたシリンダ内に高圧の窒素ガスとオイルを封入し、ピストンに対して常に一方向 (ピストンロッドがシリンダから押し出される方向) に力が作用するように作られています。

ガススプリングは構造的にばね定数が小さいため、大きなストロークで使用しても力の変化は少ないです。動作はスムーズで、メンテナンスも不要です。封入された高圧ガスの圧力を利用しているため反力が温度の影響を受ける場合があり、経時的に反力が少しずつ落ちていく可能性もあります。

ガススプリングの使用用途

ガススプリングは自動車のハッチバックの開閉部に使用可能です。同様の使い方で棚や窓の開閉扉 (車のハッチバックと同様に回転式の扉を持ち上げる側に開く方式) にも多数使用されています。

これらは開くときにガススプリングが扉の重量を支持し、開いたポジションで保持します。また閉じた際には扉を閉める方向にガススプリングの力が働くように支点位置関係を設計する場合が多いです。そのほか産業機器やOA機器など、幅広く使用されています。

ガススプリングの構造

ガススプリングは取り付け方向が自在なタイプと取り付け角度が限定されるタイプに分けられます。取り付け角度が限定されるタイプはおおむねピストンロッドを下側に配置して±60°程度の許容範囲があります。これはシリンダ内の構成の違いで、ガススプリングの原理はいずれも同様です。

ガススプリングの原理

ガススプリングは長いストロークに対してほぼ一定の力を得ています。

1. 取り付け角度が限定されるタイプ

密閉されたシリンダ内にはピストンがあり、上下動できるように構成されています。

シリンダはピストンにより2つのスペースに仕切られており、ピストンロッドが出ている側 (ストロークして伸び縮みする側) をA室、反対側をB室とします。シリンダ内には高圧で窒素ガスが封入されており、この圧力がガススプリングの力の源です。ピストンにはオリフィスと呼ばれる小さな孔が開けられ、A室とB室を窒素は自由に行き来可能です。

ピストンに対して高圧窒素の圧力がかかり、ピストンが圧力を受ける面積はA室側とB室側では差があります。B室側ではピストン径全体で圧力を受けるのに対し、A室側はロッド径の分だけ面積が少なく、結果的にA室側の方にピストンが押されていき、常にロッドを伸ばす方向に力が働いています。

A室内のロッドがシリンダから出入りする部分にはオイルが封入されており、ロッドがシリンダに出入りする際に潤滑・シール性を確保可能です。取り付け角度が限定されるのは常にこのオイルをA室内のロッドが出入りするシール部分に留めるためです。

2. 取り付け方向が自在なタイプ

取り付け方向が自在なタイプはA室とB室には窒素ガスではなくオイルが封入され、B室のA室側と反対側にはフリーで動作するピストンで隔てられたC室があり、C室に高圧窒素が封入されています。

この圧力がA室やB室のオイルに加わるため、前述した原理と同様にピストンロッドを外へ押し出す方向に力が働きます。A室とB室は常にオイルで満たされているため、自在な取り付け方向が実現可能です。

ガススプリングの種類

ガススプリングには機能や特性によって複数の種類があります。

1. 標準タイプ

重いものを持ち上げたり押し下げる操作の補助に適しています。具体的には装置のカバーや車のボンネットで使用されます。

2. プッシュオープンタイプ

基本的に標準タイプと機能は同じですが、押す操作でラッチを解除できます。収納式のコンセントタップのように、頭部を押すと自動で徐々に上昇して使用後は押し込むと収納されます。

3. ロックありタイプ

ロック機能は剛性タイプと弾性タイプの2種類に分類されます。剛性タイプは任意の位置でロックし、弾性タイプはクッション性があるためロック後の衝撃を吸収できます。用途に応じてロックがかかる位置も選択可能です。

剛性タイプはしっかりロックするためにテーブルの上下昇降に、弾性タイプは快適な座り心地を保つためにオフィスチェアの上下昇降に使用できます。

参考文献
https://www.nabeya.co.jp/jig/point-gas-spring.html

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