mSATA SSDとは
mSATA SSDとは、主にノートパソコンやコンパクトなデスクトップPCの記憶装置として使用するものです。
mSATAは接続方法を示しており、マザーボードに設けられている接続端子に差し込んで使用されています。また、SSDは記憶装置の種類で、磁気性の記憶装置であるHDDとは異なり、半導体の記憶装置です。
mSATA SSDは、接続方法とむき出しの形状が特徴です。この薄型でコンパクトな形状によって、パソコンの組み込みスペースに余裕が生まれます。このため、薄型で軽量なパソコンの開発に貢献しています。
mSATA SSDの使用用途
前述のとおり、mSATA SSDは、その薄型でコンパクトなフォーム・ファクタにより、主にノートPCやコンパクトなデスクトップPCのストレージ・デバイスとして使用されています。その小型サイズにより、ウルトラブックやミニPC、さらには一部のゲーミングノートPCなど、スペースが限られているデバイスに取り付けることができます。
従来のPCに加え、mSATA SSDは、スペースと重量が重要な要素となる組込みシステム、IoT機器、産業機器にも使用されています。耐衝撃性に優れているため、耐久性が重要視される環境に最適です。
mSATA SSDは、オペレーティング・システム、アプリケーション、およびデータの保存に一般的に使用され、起動時間の短縮とシステム・パフォーマンスの向上に貢献します。そのコンパクトなサイズは、パフォーマンス、スペース効率、信頼性のバランスを必要とするデバイスにとって不可欠なストレージ・ソリューションとなっています。
mSATA SSDの原理
mSATA SSDは、半導体の記憶デバイスであるSSD (英: Solid State Drive ) にmSATA規格で読み書きできるインターフェースを備えた記憶装置です。SSDは、不揮発性メモリであるフラッシュメモリを用いた記憶デバイスで構成されています。
フラッシュメモリは、セルとよばれている構造に電子を保存したり放出したりすることでデータを記録します。電子が保存されるセルは絶縁状態になっているため電源が切断されても、電子が保持されるので不揮発性メモリとして利用可能です。
なお、mSATA (英: mini serial ATA) は、インターフェース規格のSATAの一種です。SATAではデータを1つの経路で送ることにより、複数経路で送った場合に発生する伝送経路のズレによる待ちをなくすことで、高速化を図った転送方式です。
mSATAでは最大で6Gbpsの速度を達成しています。
mSATA SSDは、SSDとmSATAの技術を組み合わせることで小型軽量化と高速化の両方を実現しています。
mSATASSDの構造
mSATASSDの形状は、SSDは薄型の長方形よりも、もっと薄いカードの形状をしています。それによって、さらなる省スペース化を可能にしています。
mSATASSDの小型の特徴を生かして、SSD搭載のパソコンであってもmSATASSDを後付けで搭載可能なモデル等もあります。また、mSATASSDはむきだしになった基盤が特徴です。
SATASSDはケーブル接続なので配線を必要としますが、mSATASSDはケーブルを用いず、スロット端子にカード型の基盤を装着する形で接続することができます。
mSATA SSDのその他情報
1. mSATA SSDの類似製品
SSDを使った記憶装置はmSATA SSD以外にもあります。それぞれの違いは以下の通りです。
2.5インチSSD
形状が2.5インチサイズで接続インターフェースはSATAです。2.5インチのHDDと同じ形状でノートPCなど、起動やデータ転送の速度を高速化するのに使われています。mSATA SSDよりも大きなストレージ容量で、通常120GBから数テラバイトのものが提供されています。
M.2SSD
M.2 SSDはmSATA SSDの後継規格で、mSATA SSDと同様、M.2スロットを介してマザーボードに直接接続します。しかし、M.2 SSDはSATAとNVMeの両方のインターフェイスに対応し、NVMeの方がはるかに高速であるため、より汎用性が高くなっています。
M.2 SSDの理論上の最大転送速度は32 Gbps(PCIe Gen 3 x4の場合)で、SATA IIIを使用するmSATA SSDの最大速度6 Gbpsよりも高速です。M.2 SSDはよりコンパクトで、特にNVMeインターフェイスを使用した場合に優れた性能を発揮します。
2. mSATA SSDのメリット・デメリット
mSATA SSDのメリットとデメリットに関して、2.5インチHDDを比較対象として記載します。
メリット
サイズは2.5インチHDDよりも小さくかつ薄型です。また、接続インターフェースの速度は同等ですが、記憶装置を含めたアクセス速度を考慮するとmSATA SSDの方が数倍から10倍以上高速です。
さらに、振動や衝撃についても機械的部分がないmSATA SSDの方がより耐性を持っています。
デメリット
mSATA SSDのGB単価は2.5インチHDDの数倍で、大容量が必要な場合には高価になります。mSATA SSDは最大2TBの容量を提供できるようになりましたが、2.5インチHDDは依然として6TB以上の容量で提供されています。
参考文献
http://direct.pc-physics.com/column-mSATA-ssd-difference.html
https://www.partitionwizard.jp/partitionmanager/mSATA-ssd.html
https://www.pro.logitec.co.jp/houjin/usernavigation/hddssd/20191018/index.html
https://www.dospara.co.jp/5info/cts_str_parts_mSATA