油入変圧器

油入変圧器とは油入変圧器

油入り変圧器とは、絶縁材料として油を使用した変圧器です。

油には主に鉱物油が使用されます。変圧器とは、2つのコイルを利用して電圧を変換する装置です。コイルはそれぞれ一次巻線と二次巻線と呼ばれ、巻線比率で一次と二次の電圧比率が決定します。

変圧器にはさまざまな種類がありますが、電力供給用途としては油入変圧器が最も広く使用されます。

油入変圧器の使用用途

油入変圧器は、さまざまな用途・分野で使用されています。最も主要な用途は送配電です。発電所で作り出した電力は、一般的に高電圧となります。

この電力は鉄塔などによって支持しつつ、送電線路へ送り出されます。油入変圧器を使用することで、この高電圧電力を変換して低電圧の配電線路に供給することが可能です。

低電圧となった電力は、一般の家庭や工場、商業施設などの需要場所へ送電されます。この需要場所でも油入変圧器を使用し、需要に適した電圧レベルに変換します。一般家庭ではAC100VまたはAC200Vなどの電圧が使用され、工場や商業施設ではAC200VやAC400Vが使用される場合があります。

油入変圧器の原理

油入変圧器は鉄心、コイル、油タンク、絶縁油などで構成されます。

1. 鉄心

変圧器の中心部には鉄心があります。鉄心はシリコン鋼板などを積層して作られ、磁気回路を形成しています。積層構造とすることによって磁気損失を最小限に抑え、効率的な電力変換を可能にします。

2. コイル

鉄心の周りには、高電圧側と低電圧側の巻線がそれぞれあります。銅線やアルミニウム線で作られており、電流が流れることで磁界が発生します。一般的な降圧変圧器の場合、高電圧側の巻線は少ない巻数で、低電圧側は多い巻数で巻かれています。

3. 油タンク

これらの部品は鋼鉄製タンクに収められます。タンクは絶縁油で満たされており、変圧器の構造を保護しつつ内部を絶縁しています。タンクにはフィンが付いていることが多く、冷却油の循環や熱の放散を助けます。

4. 絶縁油

絶縁油としては鉱油が広く用いられます。近年では環境に配慮して、ひまわり油や菜種油を使用した変圧器なども販売されています。高価な反面、漏洩事故による環境汚染を防ぐことが可能です。

また、絶縁油内部の有機ガスの濃度を分析することで、変圧器の劣化状況を監視可能です。変圧器が過熱するとエチレンエタンなどが発生し、部分放電によってアセチレンや水素が発生します。アセチレンは変圧器内部異常に起因するガスであるため、微量でも検出されてはならない有機ガスです。

油入変圧器の種類

油入変圧器は自冷式と強制冷却式に分類されます。

1. 自冷式

自冷式は、内部の油と冷却装置を使用して自然冷却されるタイプの変圧器です。タンクに取り付けられたラジエータなどを介して熱が放散されます。油入自冷変圧器は最も一般的な変圧器の形態であり、送配電システムに広く使用されます。

2. 強制冷却式

強制冷却式は、冷却装置によって強制的に油を循環させる変圧器です。強制循環により、冷却効果を増強することが可能です。ポンプやファンによって油を循環させることが多く、高負荷や高温環境での使用に適しています。

油入変圧器のその他情報

1. 油入変圧器の許容温度

油入変圧器が過熱してしまうと、絶縁油の強制劣化による絶縁不良が発生する危険性があります。最悪の場合は火災となる恐れもあります。したがって、使用温度を許容値以下に保つことは管理上重要な項目です。

一般に広く使われている油入変圧器の最高許容温度は105℃です。ただし、外部気温や温度差にも左右されるため、95℃以下程度で管理されます。

2. 油入変圧器の消防法での扱い

油入変圧器に使われる鉱油は、一般に第3石油類です。大型の油入変圧器内絶縁油は2,000Lを超えるため、油のみであれば消防法上危険物に該当します。ただし、変圧器が電路に繋げられた状態では電気事業法としての管理が適用され、危険物として扱われなくなります。

古い変圧器を解体して電路から切り離した場合は、危険物として扱われます。具体的にはさまざまなケースが想定されるため、消防署などに確認して対応する必要があります。

参考文献
https://www.asia-souken.co.jp/
https://www.daihen.co.jp/products/electric/faq/other/q01.html
http://fa-faq.mitsubishielectric.co.jp/faq/show/18389?site_domain=defaul

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