ノギス

ノギスとは

ノギス (英: vernier calipers) とは、測定物の寸法を簡単に測定できる現場用測定器です。

外側用ジョウと呼ばれる部分に測定物を挟み、その挟んだ部分の寸法を読み取ります。内側用ジョウの部分を使用すれば部品や穴の内寸を、デプスバーでは深さを測定可能です。

ノギスには、本尺目盛と副尺目盛 (バーニア目盛) があり、これらから目視で寸法を読み取ります。近年では、寸法がデジタルで表示されるデジタルノギスが主流となっています。バーニア目盛は、人によって読み取る値が変わる可能性があったり、目視での読み取りに若干の時間を要したりするためです。

ノギスの使用用途

ノギスは、部品の寸法を測定するために使用します。一般的に、バーニアスケールのついたノギスでは0.05mm単位、デジタルノギスやダイヤルノギスでは、0.01mm単位での測定が可能です。部品をつくる現場や組み立ての現場で寸法を測定する場面があれば、その簡易さからノギスを使用する事が最初の選択肢となります。

部品の厚み、外形、内寸、深さなどを測定できますが、測定物にある程度の硬さが必要です。例えば、ゴム材料のローラーやシート材を測定する場合、ノギスで挟んだ時にゴムが柔らかいと変形してしまい、正しい寸法の測定をできません。

その他に注意が必要な場面として、中空パイプの肉厚を測定する時が挙げられます。パイプの内側は曲面になっているため、実際の肉厚よりも厚くなっており、ジョウの先端はそれを考慮して薄くなっています。

ノギスの原理

ノギスは、容易にあらゆる部分の寸法を測定できるのが特徴です。ノギスがよく用いられるのは、バーニア目盛による寸法の読み取りが容易なためです。本尺目盛は1mm間隔で刻まれていることが主流ですが、バーニア目盛については19mmを20等分したものや39mmを20等分したものがついています。この場合、本尺の目幅である1mmを20分割した値がバーニアにおける読み取り最小値です。

一方で、バーニアに代わり登場したデジタルノギスでは静電容量式に代表され、100分台まで瞬時に数値で表示されます。注意点としては、寸法は100分台まで瞬時に表示されますが、その測定精度 (器差) は通常 ±0.02mm程度、もしくはそれ以上持っています。

どちらのノギスでもはめ合い公差が入っている部分の測定では、測定の精度が満たされないためマイクロメーター等を使用することが多いです。

ノギスの構造

ノギスは、主尺の入った基準面を持つメインのフレームに、測定物を挟むジョウがスライド可能に構成されています。基本的にジョウは基準面に対して直角ですが、測定物を強く挟み込んだ場合はジョウが微小に傾き、誤差要因となり得ます。一般的にノギスには定圧で測定物に当てる装置は付いていないので、測定時には注意が必要です。

寸法測定をする機器を設計する際の指針の1つに、アッベの原理というものがあります。これは、計測を高い精度で行うためには、基準と測定物を同じ軸上に配置するというものです。

ノギスは基準面 (主尺が入っている面) と同じ軸上に測定物を置けないので、この原理に反しています。しかしながら、ノギスの特徴を理解して使用することで、簡単かつ高精度に寸法の測定を行えます。

ノギスの種類

標準ノギスであっても外側・内側の寸法をはじめ、段差や深さについても測定することができますが、測定物の状態に合わせたノギスも存在します。

1. ポイント

ジョウ先端が細く尖っており、狭い空間の寸法が測定可能です。

2. オフセット

ジョウの先端が異なる高さになっているため、同一直線上ではない段違い部の寸法が測定可能です。

3. デプスゲージ

径の大きな穴の深さを測定できるように、本尺部を大きくしたものです。

4. ブレード

通常のジョウが入り込まない細溝径の測定が可能です。

5. C型

内側用ジョウのみがある仕様で、ジョウが通常に比べ長く、奥にある外側寸法を測定可能です。

6. CN型

C型に短い外側ジョウがついた仕様のものです。ノギスには測定できる大きさが決まっているので、測定物の大きさに応じてノギスのサイズを選ぶ必要があります。

参考文献
https://www.mitutoyo.co.jp/products/nogisu/menu/nogisu.pdf
https://www.monotaro.com/s/pages/readingseries/sokuteikougukisokouza_0101/

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