ポリウレタン

ポリウレタンとは

ポリウレタン

ポリウレタンとは、イソシアネート基と水酸基を反応させることによって得られるウレタン結合をもつポリマーです。

主原料の種類や配合および成形方法を変えることで、スポンジ状のものから、ゴムのような柔軟性を持つもの、ゴムタイヤのような硬くて強靭なものまで作ることができます。

ポリウレタンの反応式

ポリウレタンの使用用途

ポリウレタンは、外観の観点から多孔質であるフォーム系と、ゴム状の非フォーム系の2つに大別することができます。それぞれの使用用途が大きく異なるので、以下に別々に記載します。

1. フォーム系

発泡させたフォーム系のポリウレタンは、軟質フォームと硬質フォームがあり、特に軟質フォームは日常品や工業用途に至るまで幅広く使用されています。軟質フォームの用途は、キッチンで使用されるスポンジ、ヘッドホンなどのクッション、産業機器のローラー、防音材などです。

硬質ウレタンフォームの用途は、断熱材として建設現場で使用されることが多くあります。

2. 非フォーム系

発泡させない非フォーム系のポリウレタンは弾性、靭性に富むため、ゴム、エラストマーのような弾性をもつ構造材としての利用や、繊維、塗料、接着剤などに使用されています。

エラストマーとしては、タイヤ、ベルト、パッキン、ローラー、機械部品、自動車のバンパーなどに使用されています。また、ポリウレタン繊維はスパンデックスと呼ばれ、伸縮性が高いため、ジャケットやパンツ、水着、スポーツウェア、などの衣類にも幅広く用いられています。

ポリウレタンの構成

ジイソシアネートとポリオール

ポリウレタンを構成する原料としては、分子内に2官能のイソシアネート基をもつジイソシアネートと、分子内に水酸基をもつポリオール、低分子量ジオールが挙げられます。

ポリウレタンに使用されるジイソシアネートは表1に示したように数種類であるのに対して、水酸基成分側の原料であるポリオールの種類は非常に多岐にわたります。これはポリオール自体が分子量が数百~数千の重合体であり、さらにその構成するモノマーの組合せが多岐に及ぶからです。

水酸基成分の低分子量ジオールも表1にあるものは代表的なもので、これらの2量体なども低分子量ジオールとして使われます。表1の右下に示した水酸基を3つもつトリオールや、分子量を調整する目的で水酸基が1つのアルコールも用いられます。

ポリウレタンの特徴

ポリウレタンの特徴は混合する原料の種類により大きく特性が変わりますが、一般的には、機械的強度 (弾性、靭性) に優れており、その他以下のような特徴があります。

1. 長所

  • 機械的強度が高く、弾性・靭性に優れており引張強さが高いです。高い硬度でも弾性を維持します。
  • 耐摩耗性および耐老化性に優れています。
  • 耐油性、耐溶剤性に優れており、接着性が良好です。
  • 低温での特性に優れており、耐候性が良いです。
  • 圧縮に対して高い復元性を有しています。

2. 短所

  • 耐熱性に劣っており、連続使用温度は80℃~100℃程度が限界です。
  • 加水分解されやすく、水に弱いです。
  • 燃焼により有毒なガスが発生します。

これらの特徴は、使用する原料の組合せによっても大きく変化します。例えば、使用するポリオールと低分子量ジオールの比率によって、硬度、強度が大きく変わります。また、耐候性、耐加水分解性などはポリオール成分の寄与が大きく、求められる性能に合わせた分子設計を行うことが重要です。

ポリウレタンのその他情報

ポリウレタンフォームの製造方法

ウレタンフォーム発泡の反応式

ポリウレタンフォームとは、ポリウレタンを成形する際に発泡させることでスポンジ状にした成形体です。ポリウレタンフォームの製造方法は複数あり、原料を混合したものを型に入れずに発泡させた後に、製品の形に切断する「スラブ成形」、金型を用いて必要な形状に成形する「モールド成形」、大型の断熱ボードの製作に有効な「ラミネート成形」などがあります。

1. 軟質フォーム系のポリウレタン
軟質フォーム系のポリウレタンは、原料のポリオール中に発泡剤として水が添加されており、イソシアネート基が水と反応することで炭酸ガスが発生します。これと同時に、ポリオール、低分子量ジオールとイソシアネートの反応による樹脂化も進行するので、炭酸ガスの各気泡は連通状態で硬化し多孔質状のフォームになります。

水との反応の際に、イソシアネートはアミンになりますが、アミンの反応性が非常に高いため、すぐに別のイソシアネート基と反応し、ウレア結合を形成します。このため、軟質フォーム系のポリウレタンの組成はウレタン結合だけではなく、ウレア結合も多く含んだ組成です。

2. 硬質フォーム系のポリウレタン
硬質フォーム系のポリウレタンは、発泡剤としてウレタン化時の反応熱で気化する低沸点の物理発泡剤が用いられます。硬質フォームの気泡は独立泡になっており、高い断熱効果を得られるようになっています。

参考文献
http://www.urethane-jp.org/
https://www.orizuru.co.jp/media/technical_information/synthesis_technology/a30

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