排水処理装置

排水処理装置とは

排水処理装置

排水処理装置とは、工業、農業などの産業や下水など人の生活により排出された汚水を浄化する装置です。

水処理は、水の効率的利用の面、環境汚染防止の面、悪臭などの公害防止の面から、私たちの生活に欠かすことができない工程です。そのため多くの企業が、排水処理の効率化のため、技術革新に努めています。

排水の種類によって、重金属除去、有機物除去、脱窒、リン除去など様々な種類の物質の除去が必要となります。

排水処理装置の使用用途

排水処理装置は、工業、農業、畜産、浄水場などあらゆる産業に利用されています。

工業分野では、水が不足するシンガポールで工業排水のリサイクルが強く求められています。また中国、中東、東南アジアなどの新興国では、排水の再利用だけでなく環境汚染防止の面から見た汚水の浄化が必要です。

また、畜産分野では、家畜の糞尿を多量に含んだ汚水が大量に排出されるため、環境汚染、悪臭を防ぐために排水処理装置が利用されています。

排水処理装置の原理

一般に排水処理装置は、受け入れた汚水の前処置、凝集・沈殿分離、濾過を行い、pH等の調整後放流や再利用します。排水処理工程は、前処理工程と生物処理工程の大きく2つにわけられます。

1. 前処理工程

前処理工程では主に生物処理を阻害する物質を除去します。油分や有機溶剤などは、浮上しやすいため分離機により浮上させて分離し、重金属 (ニッケル亜鉛など) や懸濁物質は、凝集沈殿により処理します。

2. 生物処理工程

生物処理工程では、微生物の分解能力を利用して前処理後の水から有機物を除去します。水の中の有機物の量は、BOD (生物化学的酸素要求量) やCOD (化学的酸素要求量) といった指標で表され、この数値が基準を下回るまで水を浄化します。

排水処理や浄水場で多く用いられているのは活性汚泥法です。活性汚泥法とは、排水を曝気することで好気性微生物が水中の溶存酸素を利用して有機物を分解し、沈降分離することで排水を処理する方法を指します。

また、生物膜法という方式もあります。生物膜法は担体に微生物を張り付けて膜のようなものを作製し、汚水中の汚濁物質を吸収、分解させる処理方法です。

排水処理装置のその他情報

1. 小型の排水処理装置

小型の廃水処理装置は、工事現場や小規模な工場などで使用されています。排出量自体が少なく自所内で処理可能な規模であるためです。

用途としては、洗剤の排水、研磨時に出る排水、食品加工で出る排水などが挙げられます。小型であるため、2t~4tユニック車などで運ぶことができ、容易に設置も可能です。合わせて、先に述べた一連の処理操作ができ、また操作もシンプルで、設備投資費用も安く済みます。

一方で、生活排水や産業排水は日々、多くの量が排出されています。よって、排水処理装置自体が大規模になるため、小型の廃水処理装置の使用には向きません。

2. 工場の排水処理装置

工場の排水には、多くの汚染物質が含まれています。したがって、汚染物質の種類や各工場の排水特性により処理設備を検討する必要があります。

汚染物質の種類
処理水中の処理水中の油分、有機物、アンモニア、有害金属などの物質ごとに処理設備を検討します。例えば、BOD (生物化学的酸素要求量) やCOD (化学的酸素要求量) の低減には活性汚泥設備が、SS (浮遊物質) の処理には凝集沈殿設備が必要になります。

各工場の排水特性
食品や電子部品、石油・石油化学など、各工場ごとで処理水中の有害物質の濃度やpHなど排水特性が異なるため、工場ごとで設備の仕様が異なります。食品工場の場合、メタン発酵による嫌気処理、バイオフィルタによる濾過などです。

電子部品工場の場合は、フッ素やヒ素などの無機物質が多く使用されていることから、無機排水と有機排水を分けて処理をします。また、工場の処理水中の各有害物質の濃度は、関係法令によって決められています。必要に応じた処理濃度にするため、処理水の処理量や原水濃度の前提条件を固めてから設備の仕様が決まります。

参考文献
https://www.mhi.co.jp/technology/review/pdf/513/513021.pdf
https://www.sanki.co.jp/skk/solution/mizusyori/mizusyori09.html

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