YAGレーザーとは
YAGレーザーとは、イットリウム (Yttrium)、アルミニウム(Aluminum)、ガーネット(Garnet)の結晶を使用した固体レーザーです。
YAGレーザーの原理
レーザー(LASER)とは、英語で””Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation(誘導放出による光の増幅)””の頭文字をとったものです。
まず、YAG結晶にフラッシュランプやレーザー半導体などを用いて外部からエネルギーを与えるます。すると、中の電子が下準位から上準位へと移り、励起状態となります。
励起状態になった電子は、しばらくすると基底状態へ戻ろうとし(遷移)、この際に光を放出します。放射された光はさらに励起状態にある他の電子にぶつかり、同様に遷移させることでさらに光が放出されます。これを誘導放出といいます。
YAG結晶にドープ(添加)される希土類元素によって、その波長および特徴が異なります。よく使われているYAGレーザーとして、ネオジム(Nd)をドープしたNd:YAGレーザー、エルビウム(Er)を添加したEr:YAGレーザーがあり、取り出したい波長によってドープする元素を選択します。
幅広く使用されているNd:YAGレーザーの基本波長は1064nmで、非線形光学結晶を通すと第二高調波の532nm、第三高調波の355nmの光を取り出すこともできます。
YAGレーザーの使用用途
YAGレーザーは研究分野、産業分野をはじめ、医療分野で広く使用されています。
産業分野では、微細加工からマーキング、トリミングをはじめ、金属の溶接・切断にも使用されています。なかでも、Nd:YAGレーザーとYb:YAGレーザーは溶接などにも対応できることから、多用されています。
医療分野では眼科での白内障治療や、美容皮膚科でのシミ・アザの除去、歯科での膿瘍切開・虫歯治療など幅広く使用されています。
YAGレーザーを使用する際の注意点
Er:YAGレーザーは波長2.94 μmの中赤外線で、組織への浸透性が低く、表面に吸収されるという安全性の高いレーザーです。しかしEr:YAGレーザーはミラーや金属に反射するものの、目には見えません。そのため、使用中はその場にいる人すべてにEr:YAGレーザー専用の防護用ゴーグルの着用が必要です。また電源のON/OFFは常に確認し、周囲に関係の無い人がいないことを十分に確認してから使用するようにします。
そしてレーザー照射する部位だけに意識を集中させないよう、常に周囲に配慮し、無関係な場所に照射してしまう事故は絶対に避けましょう。
参考文献
https://www.nuee.nagoya-u.ac.jp/labs/yoshidalab/equipments/NdYAG.html
https://www.keyence.co.jp/ss/products/marker/lasermarker/basics/principle.jsp
http://www.obara.co.jp/jp/product/laser/yag.html