XYステージとは
XYステージとは、左右方向の移動を行うX軸と縦方向の移動を行うY軸の2つの軸を持った位置決めステージのことです。これを使用することにより、位置決めがしやすくなるという利点があります。装置構成としては、それぞれの軸方向に動くステージを重ねる形で構成されることが一般的です。
ステージのガイド方式や送りの機構の違いなどで、精度や特長が異なるため、用途に合わせた選定が必要となります。
XYステージの使用用途
主な使用用途は、位置決めが必要となる作業を伴う、半導体装置の製造や顕微鏡での観察などです。ガイド方式や送り機構の違いによって、低精度なものから高精度なものまで様々な位置決め精度のステージが存在し、特長も異なるため、使用用途によって適切な精度と特徴を持ったステージを選択する必要があります。
XYステージの原理
XYステージは、ステージの「ガイド機構」と「送り機構」によって構成されます。それぞれの機構の方式により特徴が異なるため、代表的なものを説明します。
〇ガイド機構
- アリ溝方式
オスとメスの台形溝を摺動させてガイドする方式の機構で、摩擦係数が高いため、精度の高い位置決めには不向きですが、コストが抑えられるため、簡単な位置決めを行う用途においては最適です。 - クロスローラー方式
ローラーとV溝のレールによる線接触で移動する方式の機構で、高い剛性が得られます。また、低摩擦で微小な送りが可能なため、正確な位置決めにも適しています。 - ボール方式
円弧に沿った加工を施したR溝とボールの接触による移動方式の機構で、R溝とボールとの接触がよく、あらゆる方向の荷重に対し、安定した負荷能力があります。
移動精度もクロスローラー方式と大きな差はなく、正確な位置決めにも適しています。
〇送り機構
- ラック&ピニオン
「ラックギア」と呼ばれる歯を切ったレールと、「ピニオン」と呼ばれる歯車を組み合わせた送り機構です。素早くステージを送ることができるのが特長ですが、高精度な位置決めには不向きです。 - 送りねじ
おねじとめねじの関係を利用した、ねじ方式の送り機構です。ねじのピッチの分解能でステージを送ることができるので、細かな送りが可能ですが、送りの速度は遅く、長いストロークでの位置決めには不向きです。 - マイクロメータ
送りねじよりも細かな精度での送りが可能な機構です。内部の構造としては送りねじとほとんど同じですが、目盛りもついているため、正確な移動量を把握することができます。こちらも送りの速度は遅いため、長いストロークでの位置決めには不向きです。
上記のようなガイド機構と送り機構の選択肢から、用途に合わせた組み合わせを選択し、XYステージを構成します。
また、XYステージの操作は手動での位置決めに限らず、各軸の駆動をモーターで行い、自動で位置決め可能なXYステージとして使用することもあります。この場合、位置決めの精度は送り機構の種類と駆動用モーターの分解能によって決まるため、モーターの仕様選定も重要になります。
一般的には、精密な位置決めが必要となる場合には、サーボモーターもしくはステッピングモーターを使用することが多いです。
参考文献
https://jp.misumi-ec.com/maker/misumi/mech/product/xy/faq/faq01.html
https://www.shodensha-inc.co.jp/solution/what-is-xy-stage/