DPSSレーザー

DPSSレーザーとは

DPSSレーザー (英: Diode Pumped Solid State Laser) とは、半導体レーザーダイオードを励起光として使用したレーザーです。

励起光源としてダイオードレーザーを使用することで、従来よりも高い効率と信頼性を有する点が特徴です。これにより、少ない電力で高出力を実現できます。軍事からエンターテイメントまで、様々な分野で使用されています。

また、 ダイオードレーザーは小型のため、レーザー全体を小型化することが可能です。これにより、設置スペースが制限されている場所や携帯用途に適しています。長寿命であり、幅広い波長での出力が可能である点も特徴の一つです。

DPSSレーザーの使用用途

DPSSレーザーは様々な用途で使用されます。以下はその一例です。

1. バイオ・医療

DPSSレーザーはレーザー手術において、微細な切開や凝固を行うために使用されます。眼科の網膜手術やレーシック手術などにおいて、DPSSレーザーが使用されることが多いです。

また、バイオ医学研究において、蛍光染料を励起するために使用される場合もあります。生体試料中の構造を可視化するために、蛍光顕微鏡などに組み込まれています。

2. 通信

DPSSレーザーは光ファイバーを介してデータを送信するための光源として使用されます。特定の波長で高い出力を発信できるため、高速かつ信頼性の高いデータ伝送が可能です。また、レーザー距離計や測距装置に使用することもできます。

3. 軍事

DPSSレーザーは軍事用途において、目標の位置を指示するためのレーザーポインターとして使用されます。地図上の特定の地点を指し示すために利用することが可能です。また、機関銃などの照準器として使用され、精密な射撃を支援します。

4. エンターテイメント

コンサートやイベントなどのエンターテイメント目的でも使用されます。多彩な色彩やパターンを投影することで、魅力的なライトショーを演出することが可能です。テーマパークなどのエンターテイメント施設では、レーザーディスプレイやレーザーアートに使用される場合もあります。

DPSSレーザーの原理

DPSSレーザーはダイオードレーザーからの励起光を使用してレーザー媒質を励起することで光を生成します。レーザー媒体には固体結晶が使用されます。Nd:YVO4やYb:YAGなどが代表例です。

内蔵されたダイオードレーザーから光を発し、レーザー媒質に照射します。これにより、レーザー媒質内の特定の原子を励起し、エネルギーレベルを上昇させます。励起された原子から放射する光がレーザー共振器内を複数回反射し、最終的に増幅されて外部に出力される仕組みです。

DPSSレーザーの波長は、使用されるレーザー媒質や励起光源、共振器の設計によって決定されます。特定の波長を得るためには、適切なレーザー媒質と励起光源を選択し、共振器の光学パラメータを制御する必要があります。

一例として、レーザー結晶にNd:YVO4を用いた場合、波長808nmのレーザーダイオードで励起することで、1064nmの赤外光を放射することが可能です。この赤外光を非線形結晶であるKTPによって532nmの緑色レーザ光に変換することができます。さらに、非線形結晶であるBBP結晶によって266nmのUVレーザ光に変換することもできます。

DPSSレーザーの選び方

DPSSレーザーを選ぶ際は、以下の要素を考慮することが重要です。

1. 用途

DPSSレーザーを使用する具体的な用途を確認することが必要です。様々な分野で使用されますが、それぞれの用途に適した波長・出力などが存在します。

2. 波長

波長はレーザーが発信する光の波長です。機器構成や素材に応じて多様な波長の光を生み出すことができます。 医療分野ではNd:YAGレーザーの1064nmが広く使用されており、通信分野では1310nmや1550nmなどが一般的です。

3. 出力

レーザーの出力は単位時間あたりに発生する光のエネルギーを示す指標です。ワット (W) で表されることが多く、光学系や励起源の設計によって決定されます。一般的には高出力の製品が高価なため、コストや効率性を考慮して選定することが多いです。

参考文献
https://www.fiberlabs.co.jp/tech-explan/about-dpss/

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