CPUボードとは
CPUボードとは、システムを制御するためのシステムコントローラチップとその周辺デバイスをボード上に実装したものです。
一般的によく使用される周辺デバイスが実装されているので、ほとんどの場合は専用ボードの設計を省いて、すぐにソフトウェア設計に着手できます。また、必要なデバイスドライバやOSが用意されている場合もあるため、ソフトウェアの設計が完了したら、CPUボード上にソフトウェアを実装してそのまま製品化することも可能です。
さらに、不要なハードウェアを取り除いて専用のボードを設計できます。このように、CPUボードは、短期間かつ容易にシステム開発できる点がメリットです。
CPUボードの使用用途
CPUボードはシングルチップマイコンが搭載される民生用機器や、より規模の大きな業務用システムのコントローラとして使用されます。
1. ファクトリーオートメーション
FA機器において、CPUボードは中心的な役割を担います。これらの機器は、生産効率を向上させるために設計されており、CPUボードは各種センサーやアクチュエータの制御により、機械の動作を最適化します。また、リアルタイムでのデータ処理が求められるため、高速・高性能のCPUボードが要求されます。
2. 小売業
POSレジは、小売業界での販売管理や在庫管理に欠かせないシステムです。CPUボードは、バーコードスキャナーやプリンターなどの周辺機器と連携し、複雑な処理を迅速に行うことが求められます。
また、長時間の連続稼働や省エネ性も重要な要素となるため、耐久性と効率性の高いCPUボードが使用されています。
3. 医療
医療機器では、患者の命に関わる重要な情報を扱うため、高い信頼性が求められるCPUボードが必要です。例えば、画像診断装置や心電計などでは、正確で高速なデータ処理が不可欠であり、高品質なCPUボードが採用されています。
4. セキュリティ
監視機器では、セキュリティカメラやアクセス制御システムなど、リアルタイムでの映像やデータ解析が求められます。そのため、高速で安定した処理能力を持つCPUボードが使用されており、監視機器の性能向上に寄与しています。
CPUボードの原理
1. ハードウェア
CPUボード上には、シングルチップマイコンもしくは汎用的なCPUを搭載するCPUボードいずれの場合も、メモリ、HDD/CD-ROM等のドライブユニットとその制御デバイス、USBドライバ、シリアルI/Fドライバ、イーサネットドライバ、HDMI I/FドライバをはじめAD/DAコンバータなど、マイコン側に内蔵されていないがシステムを開発する上でよく使用されるデバイス類が数多く実装されています。
2. ソフトウェア
CPUボード上のマイコンもしくはCPU、周辺デバイスを動作させるためのOSおよび周辺デバイス用デバイスドライバ、ファームウェアが一般的には用意されています。シングルチップマイコン用のOSとしては、チップベンダーが提供する独自のOSに加え、μIRON系のOSが主流です。他方、汎用的なCPU用のOSは、Windows、Linux、Androidなどが良く使用されています。
CPUボードの選び方
CPUボードを選ぶ際には、以下の要素を考慮してください。
1. 用途と性能
CPUボードを使用する目的や必要な性能を明確にします。例えば、IoTデバイス、ロボット制御、画像処理など、用途に応じて適切な性能を持ったCPUボードを選ぶことが重要です。
2. プロセッサ
搭載されているプロセッサの種類と性能は、CPUボードの選択において重要な要素です。プロセッサは、ARM、x86、MIPS、RISC-Vなどのアーキテクチャがあります。必要な処理能力やアプリケーション、電力消費に応じて選びます。
3. メモリ
CPUボードには、RAMとROM (フラッシュメモリ) が搭載されています。プロジェクトの要件に応じて、十分なメモリ容量を持ったボードを選びます。
4. 入出力インターフェース
CPUボードには、GPIO (英: General Purpose Input/Output) 、UART (英: Universal Asynchronous Receiver/Transmitter) 、I2C (英: Inter-Integrated Circuit) 、SPI (英: Serial Peripheral Interface) 、USB、Ethernet、Wi-Fi、Bluetoothなど様々なインターフェースがあります。プロジェクトで必要なインターフェースが搭載されているボードを選びます。
5. 電源
CPUボードは、バッテリーや外部電源から電力を供給されます。プロジェクトで使用する電源に適したボードを選ぶことが重要です。
6. サイズ
CPUボードのサイズも選択の要素です。限られたスペースに収める必要があるプロジェクトでは、サイズが小さいボードが適しています。
7. OSと開発環境
厳密なリアルタイム性が求められる場合はリアルタイムOSやOSなしで開発できる開発環境を持つCPUボードを選択します。特定のOSでしか稼働できないアプリケーションが必要となる場合はアプリケーションの要件に基づいて選びます。