電子帳票

電子帳票とは

電子帳票とは、PCでWordやExcelで作成された帳票や紙の帳票をスキャンして電子化したもので、法的にも有効な文書保存方法です。

紙の帳票を無くすことで保管にかかるスペースを減らすだけでなく、環境資源としての紙の使用量を削減し、印刷コストや印紙代までコストカットも可能です。企業の場合、電子帳票を導入すれば、業務の効率も良くなります。

帳票を紙から電子データに移行することにより、自然災害等によるデータの紛失リスクにも強くなります。

電子帳票の使用用途

電子帳票は、企業で行われる取引を記録する帳簿とそれらの取引を客観的に証明する伝票を紙媒体に代わって電子化して使われています。

多くの企業で経理事務などを中心に使われていますが、以下のような使用事例があります。

1. 報告書の作成と管理

現場作業の報告書や営業の報告書をスマートフォンやタブレットなどの端末から入力して送信することにより効率化と情報共有を実現しています。

2. 注文書の管理

小売業の場合、Faxで1日に数百件の注文が入ることも珍しくありません。Faxを電子帳票システムと接続して電子化して保存することで、保管スペースの削減と検索の容易性を図っています。

3. 稟議書の承認と管理

稟議書の作成を電子化するだけでなく、承認サイクルもワークフローに載せることで進捗状況の確認ができます。また、社内での情報共有も簡単に行えます。

電子帳票の原理

電子帳票は、これまで紙で作成してきた帳簿や伝票をデジタルデータ化したものです。例えば、エクセルやワード、PDFといった形式で作成および保存されます。

また、紙の文書をスキャンしてPDFやその他の画像データとして変換したデータも電子帳票の1つです。改ざん防止とデータが存在した時期を証明するために、タイムスタンプが利用されます。

特定の時期にタイムスタンプが押された電子帳票であれば、それ以降に修正されていないことを証明できます。

電子帳票システムの選び方

電子帳票システムを選ぶ際には、以下のポイントに注意が必要です。

1. JIIMA認証の有無

JIIMA認証とは、日本情報産業協会が定めた認証制度です。JIIMA認証を取得しているシステムは、電子帳簿保存法の要件を満たしていることが担保されます。

2. 業務範囲の明確化

電子帳票システムには、作成・配信・保存・管理などの機能がありますが、すべての機能を備えているわけではありません。自社の業務範囲やニーズに合わせて、必要な機能を持つシステムを選ぶことが重要です。

3. 利用者の負担への配慮

電子帳票システムを導入する際には、利用者 (社内外問わず) の負担をできるだけ減らすことが望ましいです。例えば、操作性や視認性が良いインターフェースや、多様な端末やフォーマットに対応した出力方法などが挙げられます。

4. セキュリティ・ガバナンスの観点

電子帳票システムでは、個人情報や機密情報などを扱うことが多いため、セキュリティ対策は欠かせません。データ暗号化やアクセス制限などの基本的な機能に加えて、法令遵守や内部統制などにも配慮したシステムを選ぶことが必要です。

5. サポートの充実度

電子帳票システムは、導入後もメンテナンスやトラブル対応などが必要になる場合があります。そのため、サポート体制やサービスレベルなどを確認しておくことも大切です。

電子帳票のその他情報

1. 電子帳票システムの主な機能

帳票作成機能
帳票のレイアウトや項目を設計する機能です。デザインツールやテンプレートを利用して、自由に帳票を作成できます

帳票配信機能
帳票データを相手方に配信するための機能です。メールにファイルとして添付したりURLを記載してダウンロードさせたりすることができます。

帳票管理機能
帳票データを一元的に管理する機能です。キーワードや条件で検索したり、閲覧履歴や変更履歴を確認したりすることができます。

セキュリティ機能
帳票データの改ざんや漏洩を防ぐための機能です。ユーザー認証やロック、タイムスタンプなどの仕組みがあります。

2. 電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法とは、1998年7月に制定された帳票の電子保存に関する法律です。従来、国税関係書類は紙媒体で保存する必要がありました。

しかし、電子帳簿保存法では、書類を電子化して保存することが可能です。さらに、2015年の改正で電子帳簿に対する電子署名が不要になり、3万円以上の契約書や領収書も対象となりました。

電子帳簿保存法を利用するためには、事前に税務署への申請が必要でしたが、2022年1月1日より事前申請は不要となっています。また、電子取引で交わしたデータは紙への出力・保存は認められなくなりました。

なお、電子帳簿保存法の対象となる書類は下記以外にも数多くありますが、電子帳簿保存法の対象外となっている書類は電子保存できないので注意が必要です。

  • 仕訳帳、売掛金元帳、仕入帳、買掛金元帳、固定資産台帳等の会計関連書類
  • 棚卸表、貸借対照表、損益計算書等の決算書類
  • 契約書、領収書、預金通帳、見積書、請求書等の書類

参考文献
https://keiriplus.jp/tips/2020zeiseikaisei_dencyohou/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です