シート検査装置

シート検査装置とは

シート検査装置 (英: sheet inspection device) とは、シートやフィルムの製造時に発生する欠陥を検査する装置です。

日常生活において、食材や家電製品、生活用品などあらゆる場面でフィルムやシートが使用されています。その一方で、これらは非常に薄い作りとなっているものがほとんどです。ただし、十分に強度があり、簡単には破れません。

シート検査装置を製造工程のラインに追加することによって、製造中の欠陥を検査して、シートの規格を守ることができるようにします。

シート検査装置の使用用途

シート検査装置は、主にシートの製造工程における様々な欠陥・不良が生じていないか確認・検査する用途で用いられます。シートの製造工程で、種々の工程に検査装置を設置します。

製膜工程では基材の樹脂のコンタミやフィッシュアイの検査、ラミネート工程では混入物やしわの検査、コーター工程では薬液の塗布の検査、スリッター工程や検反工程では、最終の出荷検査をそれぞれ行います。製造過程で種々の欠陥を見つけることにより、製品の品質維持や後工程の不良防止、歩止まり率低下の防止、生産性の向上などに効果的です。

さらに近年では、光学シート、多層シート、高機能シート、コート紙、フローリング材、ガラス板、金属箔シート、不織布などの外観における、目での確認が難しい欠陥検査にも用いられるようになっています。

シート検査装置の原理

明確な定義はありませんが、シートとフィルムの違いはそれらの厚さで区別することが多いです。ここではすべて「シート」について説明します。

1. シートの製造

シートは、ポリエチレンなどの樹脂を押出機を使用して製造します。その際、シートはTダイからスリット状に薄く引き伸ばされ、冷却ロールによって冷却され、巻き取り機で巻き取られ、製品として完成します。

これをTダイ法と言いますが、このほか、空気を利用して、冷却後、空気によって袋状に膨らませ、2枚の重なったシートにするインフレーション法という方法も1つの手です。

2. シートの欠陥検査

これらのシート製造過程において、厚さのばらつきや色むら、フィッシュアイ、ごみや油分などの異物付着、しわ・すじ、傷、ピンホール、汚れ、充填不良など様々な欠陥が発生します。これらの欠陥を検出するのがシート検査装置です。

カメラによる検査では、検査するエリア全体をカメラで映し出すエリアカメラ、及び検査対象のラインを一度に検査するラインカメラが使われます。シートが流れているラインで連続検査する場合は、ラインカメラが最適です。

高分解能のラインカメラをシート幅方向に複数台設置し、シートの地合の変動に対応して各カメラの感度閾値の設定を行います。また、1台のスキャンカメラを使用して、高速スキャンにより検査する方法もあります。

また、レーザー光と反射型レーザー変位計を用いて厚さを検査する装置等、検査するものによって検査装置を選択することが大切です。

シート検査装置のその他情報

1. シート検査装置の目的

シート検査装置を設置する目的は、検査の機械化による欠陥の確実な検出、人的ミスを減らして製品の品質向上、生産性の向上などです。

2. シート検査装置による検査事例

シート欠陥の高速検査
3台のラインカメラ、透過型及び反射型のLEDライン照明などで構成します。2台のカメラでシートの表面と裏面の検査を行い、1台のカメラで透過型と反射型のLEDライン照明を使用して検査して欠陥を高速で検出する方式です。

塗工むら欠陥の検出
シートに塗工する場合、わずかな厚みのばらつきにより、むら欠陥が発生します。多波長カメラを使うシート検査装置を使用すれば、色成分の違いが出るので、塗工むらが明瞭に検出できます。

しわ欠陥の検出
透明シートを製造する際、シートがよれてしわ欠陥が発生する場合があります。しわ欠陥は平面部と欠陥との差が小さいため、モノクロの画像では欠陥の検出が困難です。多波長カメラを使って、RGB画像を取得すれば、鮮明にしわ欠陥が検出できます。

異物と気泡の判別
シートの張り合わせをする場合、わずかな気泡と異物とを判別する必要があります。モノクロ検査では、光沢がある異物と気泡とは同じ明欠陥となるため、判別ができません。

しかし、多波長カメラでの検査では、濃淡情報の差が検出可能なので、判別ができます。

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