クロックジェネレータ

クロックジェネレータとは

クロックジェネレータとは、一つの発信源のクロック信号から複数の周波数のクロックを生成する回路です。一般的に生成される周波数範囲は数KHz~数GHzです。

クロックジェネレータの使用用途

クロックジェネレータは主に下記のような用途で使用されます。

1. CPU

クロックジェネレータはコンピュータの中心を成すCPUにおいて最も多く使用されます。CPUの中にはレジスタなどの記憶素子が多数配置されており、それぞれに対してクロックジェネレータで生成されたクロック信号が接続されています。

クロック信号の刻みに応じて、各記憶素子からの出力が様々な論理演算回路や算術演算回路を通り、次段の記憶素子に入力されます。このような回路構造は同期回路と飛ばれ、この同期回路の動作のトリガーになり同期を司っているのがクロックジェネレータです。

2. デジタル機器

クロックジェネレータはCPU内に留まらず、TV、スマートフォン、DVD等のデジタル機器は勿論、マイコン制御されている一般的な家電製品や産業用機器でも使用されています。

クロックは各電子機器にタイミングを伝える役目をしており、各機器はそのタイミングでそれぞれの動作を行うことで全体として動作しています。幅広い周波数帯の信号を正確に発振することができるクロックジェネレータは、様々な電子機器の動作に欠かせない装置です。

近年は高品位な映像や音楽に対する要求が高まり、そのようなニーズに応えるための高品質で高価なクロックジェネレータも製品化されています。特に、異なるサンプリング周波数の機器間でデータをやり取りするような場合は、データの欠落によるノイズ混入を防ぐために、クロックジェネレータを用いて機器間で同期してやる必要があります。

クロックジェネレータの原理

クロックジェネレータは基本的に共振回路と増幅回路から成り立ちます。

共振回路としては水晶発振器がよく用いられています。水晶発振器はクォーツ時計でも用いられており、水晶が電圧印加により固有振動数の発振出力をする圧電効果を利用しています。固有振動数は水晶の形状や、どの結晶断面でカットされているか等の物理特性により異なりますが、高純度で結晶化した人工水晶により、必要な固有振動数の発振器が得られます。

この発振波形は正弦波のため、クロックジェネレータではデジタル回路に使用できるように矩形波に整形します。ジェネレータ内では分周回路と逓倍回路により元の周波数のM/N倍 (M、Nは自然数) の周波数のクロック信号を生成し、これを増幅回路で増幅して出力しています。

クロックジェネレータの選び方

クロックジェネレータは生成される周波数範囲だけでなく、電源電圧、矩形波の立ち上がり時間/立下り時間といった違いがあり、使用用途に応じて選択する必要があります。

このようなポイントの一つにクロックジッターがあります。クロックジッターとは一つ一つの矩形波の時間軸方向に対する揺らぎで、クロックがいかに整然とした周波数を発信し続けているかを示す指標であるため、低ジッターであることが求められます。

ジッターについては、立ち上がりエッジ間で見たジッター、立下りエッジ間で見たジッター等があり、用途に応じて精査することでより高品質なシステムを追求することができます。

クロックジェネレータのその他情報

新しい技術としてMEMS発振器を用いたクロックジェネレータがあります。MEMS (英: Micro Electro Mechanical Systems) は微小な機械部品、センサ、電子回路等を一つの基盤上に集積化したデバイスで、半導体の微細加工技術の応用により作られます。

MEMS発振器は固有周波数がある水晶とは違い、製造工程の最終段階で周波数をプログラムすることが可能なため、コスト減、リードタイム短縮といったメリットがあります。又、内部に温度センサを組み込むことで、水晶よりも温度特性変化を抑えることができる等、水晶発振器に対して品質と信頼性の面で優れていると言われています。

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