採光とは
採光とは、窓や天窓を利用して太陽光を家の中に取り入れることです。
常に絶え間なく変化する天候に左右される光は、居住者に対して適切な刺激を与え、生産的な環境を作り出すのに役立ちます。
適切な採光を実現させるためには、建物の形状、場所、気候、建物の構成要素 (窓や天窓など) 、照明制御を念頭に入れて採光の手段を吟味する必要があります。そのため、設計の初期段階から、常に採光を意識することが重要です。
採光の使用用途
採光は商業オフィスビル、学校、小売店、病院、図書館、倉庫など、あらゆる種類の建物でも機能します。ほとんどの建物の種類と場所で採光は取り入れられていますが、建物の種類、気候、まぶしさの許容度によって、適切な採光の方法が異なります。
人工照明の代わりに昼光を利用すると、建物の居住者の全体的な態度、満足度、幸福度が向上することができます。具体的には、採光の利点は以下のように示されています。
- 従業員の生産性を向上
- 従業員の欠勤を減らす
- 学校での生徒の教育成績を向上
- 病院での患者の回復時間を改善
- 人の全体的な健康を高める
- 体内時間の調整/安定化
採光の原理
採光は、居住者の不快感やその他の建物の負荷が増加することを防ぎながら、1日の一部で電灯を暗くしたりオフにしたりできるように、建物に自然光を取り入れるように設計されています。
例えば建物の居住者の目に直射日光があたると、居住者の目に対して極度の眩しさを引き起こす可能性があります。極度の眩しさは、居住者の作業を阻害する可能性が高いため、回避する必要があります。建物の構造と気候によっては、窓の面積が大きすぎると、夏の冷房負荷が増加したり、冬の熱損失が加速したりする可能性があります。
採光は、室内にたくさん光が入ることも重要ですが、それと同じぐらい、どのような光が室内に入るのかということが重要です。直射日光やスカイライト、反射光など、屋外の光の種類に応じてその光の明るさは大きく変化します。
採光の種類
窓は採光の為に重要な設備ですが、窓ならば全て一緒というわけではありません。窓はその方角によって、日光の入り方の特徴が変化します。方角別の窓に対する光の入り方の特徴は下記の通りです。
1. 南向きの窓
冬のほとんどの日差しを家に取り入れますが、夏の間は直射日光をほとんど取り入れません。
2. 北向きの窓
比較的均一な自然光を取り入れ、まぶしさをほとんど発生させず、不要な夏の熱の増加はほとんどありません。
3. 東向きの窓/西向きの窓
それぞれ朝と夕方に十分な日光の透過を提供しますが、まぶしさを引き起こし、通常は望まれない夏に多くの熱を取り入れ、冬の太陽熱にはほとんど寄与しません。窓から入る光が明るすぎる場合は、カーテンやルーバーを使用することが効果的です。
採光のその他情報
屋外の光の基本的な特徴
屋外の光の種類と基本的な特徴は下記の通りです。
1. 直射日光
非常に強い強度と絶え間ない動きによって特徴付けられます。地表で生成される明るさは、100,000ルクスを超える場合があります。直射日光の明るさは、季節、時間帯、場所、空の状態によって異なります。日当たりの良い気候では、光の拡散、陰影、反射を慎重に管理した建築設計が必要です。
2. スカイライト
スカイライトとは、大気と雲によって散乱された日光によって特徴付けられ、柔らかく拡散した光のことを指します。曇り空の照度レベルは、冬には10,000ルクスに達し、夏の明るい曇りの日に約30,000ルクスに達することがあります。曇った気候では、スカイライトが有効な日光の主な光源となることがよくあります。
3. 反射光
反射光は、地面や壁から反射される光によって特徴付けられます。ビル群などの建物が密集している地域では、地面や周囲から反射した光が、採光の主要な光源となる可能性があります。
設置上の注意
採光を考える上では、天窓や窓などの開口部の他にも、その光を制御する装置も大切です。装置の一例としては、カーテンやルーバー、UVカットされたガラスなどがあります。
また、採光を考える際には、窓、または建物内の窓の位置を、直射日光が作業面や居住者の目に入ることを避けるように設計する必要があります。直射日光が入ることを避けられない場合、ブラインドやシェードなどの適切な遮光装置を設置します。
採光だけで十分な周囲照明が得られる場合、採光は照明のための電力を削減することもできます。商業ビルにおいて、電気照明は、総電力消費量の35%から50%を占めています。加えて、照明器具が熱を生み出すことで、建物内のエアーコントローラー等の冷却装置にかかる負荷も増加させます。採光に起因する照明器具の使用機会の減少によって、建物の冷却エネルギー使用量をさらに10%から20%直接的に削減することができます。その結果、商業ビルなどの大型施設では、採光を最適に取り入れることで、総電気消費量を3分の1まで削減することができます。