ベーキング処理

ベーキング処理とは

ベーキング処理とは、金属製品、特にめっき処理を施した製品に対して行われる熱処理です。

一般的には190℃から220℃程度の温度に加熱し一定時間保持することで、製品内部に侵入した水素を除去する目的で行われます。水素は金属の強度を低下させる「水素脆化」を引き起こす原因となるため、ベーキング処理は製品の品質と安全性を確保する上で重要な役割を果たします。

ベーキング処理は、目に見える変化をもたらすものではありません。しかし製品の信頼性を左右する重要な工程であり、特に高強度鋼などの水素脆化の影響を受けやすい材料に対しては必要な処理となっています。ベーキング処理は、製品の寿命を延ばし安全性を高めることで、最終的には製造業における品質向上とコスト削減を実現しています。

ベーキング処理の使用用途

ベーキング処理の使用用途として、めっき処理後の水素除去、高強度鋼の水素脆化対策、溶接部の水素脆化防止、酸洗後の水素除去の4つを解説します。

1. めっき処理後の水素除去

一般的な用途はめっき処理後の水素除去です。電気めっきや無電解めっきなどの工程では、金属表面に被膜を形成する過程で水素が発生し、素地となる金属内部に侵入します。特に亜鉛めっき、ニッケルめっき、クロムめっきなどは水素脆化の影響を受けやすく、ベーキング処理による脱水素が不可欠です。ベーキング処理を行うことで、めっき工程で侵入した水素を効果的に除去し、製品の強度低下を防げます。

2. 高強度鋼の水素脆化対策

高強度鋼は自動車部品や航空機部品など高い強度が求められる用途に用いられますが、その強度ゆえに水素脆化の影響を受けやすいという特性も持っています。製造工程や使用環境中で水素が侵入すると予期せぬ破壊を引き起こす危険性があるため、ベーキング処理によって水素を除去し、製品の信頼性を確保する必要があります。

3. 溶接部の水素脆化防止

溶接は、金属同士を接合する際に熱を加えるため、水素が侵入しやすい工程の一つです。溶接部に水素が残留すると溶接割れと呼ばれる現象が発生し、製品の強度や耐久性が著しく低下します。こうした状況を防ぐために、溶接後、特に高強度鋼の溶接においてはベーキング処理を行い、溶接部に残留した水素を除去することが重要です。

4. 酸洗後の水素除去

金属表面の錆や汚れを除去するために行われる酸洗処理も、水素が発生する工程の一つです。酸洗液中の酸と金属が反応して水素が発生し、金属内部に侵入します。酸洗後にベーキング処理を行うことで、水素脆化のリスクを低減し後工程でのトラブルを防げます。

ウォーターブラスト

ウォーターブラストとは

ウォーターブラストとは、高圧で水を噴射し、水圧によって対象物の表面を洗浄・加工する技術です。

水を高速で噴射することで発生するエネルギーを利用して、汚れの除去、塗装剥離、コンクリートのハツリ作業など様々な用途に用いられます。一般的に、研磨剤を含まない水を噴射する工法をウォータージェット、水と研磨剤を混合して噴射する工法をウェットブラストと呼び区別されることが多いですが、ここでは広義のウォーターブラストとして両者を含めて解説します。

ウォーターブラストは、従来の手作業や工具による洗浄・加工方法と比較して、作業効率が格段に向上させることが可能です。また水のみを使用する工法では、薬品による洗浄と比較して環境負荷が低く、排水処理も容易です。さらに、研磨剤を混合するウェットブラストは、サンドブラストなどの他のブラスト工法と比較して研磨材の飛散が少なく、作業者への健康被害のリスクを軽減できます。加えて、水が緩衝材となることで、対象物へのダメージを抑えながら効率的に表面処理を行うことが可能です。

ウォーターブラストの使用用途

ウォーターブラストの使用用途として、船舶のメンテナンス、建築物の外壁洗浄、コンクリート構造物の補修、工場設備の洗浄・メンテナンス、塗装・コーティングの剥離の5つを解説します。

1. 船舶のメンテナンス

ウォーターブラストは船舶のメンテナンスに使用されます。船体に付着した貝殻や海藻などの海洋生物は、船の航行速度を低下させるだけでなく燃費の悪化にもつながります。高圧のウォーターブラストを用いることでこれらの付着物を効率的に除去し、船体の性能を維持することが可能です。また錆や古い塗膜の除去にも効果的で、再塗装前の下地処理としても用いられます。

2. 建築物の外壁洗浄

長年放置された建築物の外壁には排気ガスや雨水による汚れ、カビや苔などが蓄積し、美観を損ねるだけでなく劣化の原因にもなります。ウォーターブラストによる洗浄は汚れを効果的に除去し、建築物本来の美しさを取り戻すことが可能です。

3. コンクリート構造物の補修

コンクリート構造物の補修において、ウォーターブラストは劣化した部分を効率的に除去する「ハツリ」作業に用いられます。従来の手作業によるハツリ作業は、時間と労力を要するだけでなく、粉塵の発生や振動による周辺環境への影響が問題となっていました。ウォーターブラストによるハツリはこうした問題を解決し、作業効率の向上と環境負荷の低減を実現しています。

4. 工場設備の洗浄・メンテナンス

工場内の様々な設備には、製造過程で発生する油汚れや粉塵などが付着します。汚れを放置すると、設備の性能低下や故障の原因となります。ウォーターブラストは配管内部や熱交換器など複雑な形状の設備にも対応可能で、効率的に洗浄・メンテナンスを行うことが可能です。

5. 塗装・コーティングの剥離

ウォーターブラストは金属製品や構造物の古い塗装やコーティングの剥離にも有効です。水圧によって塗膜を物理的に除去するため、薬品による剥離と比較して環境への影響が少なく、安全に作業を行えます。

硬質クロム

硬質クロムメッキとは

硬質クロムメッキとは、硬いクロムメッキ皮膜を生成する表面処理技術です。

JIS規格では「工業用クロムメッキ」とも呼ばれ、卓越した硬度と耐摩耗性から、過酷な環境下で使用される機械部品や金型など工業製品に幅広く採用されています。装飾クロムメッキが美観付与を主な目的とするのに対し、硬質クロムメッキは機能性付与を主目的としており、メッキ厚は一般的に1μm以上、場合によっては1000μmにも達することがあります。

硬質クロムメッキの特徴は、ビッカース硬さでHv750以上という電気メッキの中で最も高い硬度を有することです。また耐摩耗性、耐食性、摺動性、離型性にも優れ、過酷な使用環境下でもその性能を長期間維持します。近年では、高硬度、高耐食、高効率を実現するHEEF浴と呼ばれるマイクロクラッククロムメッキ浴の採用が増加傾向にあります。硬質クロムメッキ皮膜の高い硬度・耐摩耗性・耐食性は、メッキ皮膜の物性に依存しており、その皮膜物性に大きく影響を与えるのがクロムメッキ浴の浴組成とメッキ条件です。そのため高度な技術と厳密な管理が求められる表面処理技術と言えます。

硬質クロムメッキの使用用途

硬質クロムメッキの使用用途として、ロール、金型、シリンダー・ピストン、工具の4つを解説します。

1. ロール

製紙、フィルム、繊維、鉄鋼など、あらゆる素材の製造工程で使用される各種ロールに硬質クロムメッキが施されています。例えば製紙用カレンダーロールでは、紙に平滑性と光沢を与えるために高い硬度と耐摩耗性が求められます。

2. 金型

プラスチック成形用金型やガラス成形用金型など、精密な成形が求められる金型にも硬質クロムメッキが広く採用されています。硬質クロムメッキは、金型の耐摩耗性を向上させるだけでなく離型性も良化させるため、成形品の品質向上と生産効率の向上に寄与します。

3. シリンダー・ピストン

油圧機器や空圧機器のシリンダーやピストンにも、硬質クロムメッキが多用されています。シリンダー内壁やピストン表面に硬質クロムメッキを施すことで、摺動部の摩耗を抑え、機器の性能を長期間維持することが可能です。

4. 工具

切削工具や計測工具にも硬質クロムメッキが利用されます。工具の刃先に硬質クロムメッキを施すことで耐摩耗性が向上し、工具寿命が延びます。

ヘッダー加工

ヘッダー加工とは

ヘッダー加工とは、常温で金属材料に圧力を加え、目的の形状に変形させる塑性加工技術です。

熱を加えないため「冷間圧造加工」とも呼ばれ、その名の通り、熱エネルギーを用いずに加工を行うことが大きな特徴です。ヘッダーという名称は、ネジやボルトの頭部 (ヘッド) を成形する工程に由来しています。ヘッダー加工では、通常ヘッダーやフォーマーと呼ばれる専用の機械が使用されます。ヘッダーやフォーマーは、線状の材料 (線材) を所定の長さに切断し、パンチとヘッダーダイスと呼ばれる金型を用いて材料を絞ったり押し広げたりすることで、複雑な形状を自動的に連続生産することが可能です。加工の仕組みを理解する上で、「ツーダイ・スリーブロー」や「ダブルヘッダー」といった用語が頻繁に登場します。こうした用語は使用される金型 (ダイスとパンチ) の数を表しており、例えばツーダイ・スリーブローは、2個のヘッダーダイスと3個のパンチを使用して加工を行う機械の方式を指します。機械によって加工可能な線材の最大径や最大長が異なるため、製品の大きさにより使い分けが必要です。

ヘッダー加工は切削加工など他の加工方法と比較して、材料の無駄が少なく生産効率が非常に高いという利点があります。また加工硬化により材料の強度が増すため、高強度な部品を製造することも可能です。そのため自動車、航空宇宙、電子機器など幅広い産業分野で活用されています。

ヘッダー加工の使用用途

ヘッダー加工の使用用途として、ネジ・ボルト類、リベット・ピン類、電子部品用接点、自動車部品、医療機器の5つを解説します。

1. ネジ・ボルト類

ヘッダー加工の主な用途はネジやボルトといった締結部品の製造です。ヘッダー加工では、材料の切断、頭部の成形、ねじ山の転造までの一連の工程を高速かつ連続的に行うことが可能です。

2. リベット・ピン類

リベットやピンといった部品同士を接合・固定するために使用される部品の製造にも、ヘッダー加工が広く用いられています。航空機や鉄道車両、建築物など高い信頼性が求められる構造物において、リベットは重要な役割を果たしています。

3. 電子部品用接点

電子機器の小型化・高機能化に伴い、電子部品の接点にも高い精度と信頼性が求められています。ヘッダー加工は、微細な形状の接点を安定した品質で大量生産することを得意としています。

4. 自動車部品

自動車産業はヘッダー加工の主な応用分野です。エンジンやトランスミッション、サスペンションなど、自動車の性能や安全性につながる部品の製造にヘッダー加工が用いられています。

5. 医療機器

近年、医療機器分野でもヘッダー加工の活用が進んでいます。特に、チタンなどの生体適合性に優れた材料を用いた人工関節やインプラントといった医療用部品の製造に用いられています。

マルチフォーミング

マルチフォーミングとは

マルチフォーミングとは、単一のネットワークやデバイスが、複数の異なるインターネットサービスプロバイダ (ISP) やネットワークに同時に接続されている状態のことです。

通常のシングルフォーミング環境は単一のISPに依存するため、ISPに障害が発生した場合にインターネット接続が完全に途絶えてしまうリスクがあります。しかしマルチフォーミングを導入することで、仮に一つのISPに障害が発生しても他のISP経由でインターネット接続を維持することが可能となります。マルチフォーミングを使えば、ビジネスの継続性が担保され、ダウンタイムによる損失を最小限に抑えることが可能です。

クラウドサービスの利用が増加している現代において、インターネット接続の安定性は業務効率につながるため、マルチフォーミングの重要性は高まっています。また、複数の接続経路を持つことで通信の負荷分散が可能となり、全体的なネットワークパフォーマンスの向上も実現します。

マルチフォーミングの使用用途

ここでは、マルチフォーミングの主要な使用用途について詳しく解説します。

1. 障害対策としてのバックアップ回線確保

マルチフォーミングの一般的な用途の一つは、障害対策としてのバックアップ回線の確保です。企業活動において、インターネット接続の途絶は業務停止に直結する重大な問題です。マルチフォーミングを導入することで、主回線に障害が発生した場合でも自動的に副回線に切り替わり、インターネット接続を維持できます。マルチフォーミングにより、ダウンタイムを最小限に抑え事業継続性を確保することが可能になります。

2. 通信の負荷分散によるパフォーマンス向上

マルチフォーミングは通信の負荷分散にも効果的です。複数のISPと接続することで、ネットワークトラフィックを複数の経路に分散させることが可能です。

3. セキュリティ対策としての経路多様化

マルチフォーミングはセキュリティ対策としても有効です。単一のISPに依存している場合、そのISPがセキュリティ攻撃の対象となった際に自社のネットワークも影響を受ける可能性があります。しかし、複数のISPを利用することで攻撃経路を多様化し、リスクを分散できます。

点火装置

点火装置とは

点火装置とは、燃料を燃焼させるために必要な「火種」を供給する装置の総称です。

身近な例を挙げれば、ガスコンロをひねった時に火花を散らす装置も点火装置の一種と言えます。ただし一般的には、自動車やバイクなどの内燃機関においてシリンダー内に圧縮された混合気に点火し、爆発的な燃焼を引き起こすための装置を指します。

点火装置の歴史は古く、内燃機関の発展とともに進化を遂げてきました。初期の点火装置は加熱管を直火で熱する原始的な方法が用いられていましたが、安全性や効率の面で課題がありました。19世紀末に電気火花を用いた方式が開発されると、その利便性から急速に普及し現代の点火装置の原型となります。その後、バッテリー式点火装置、機械制御式点火装置、電子制御式点火装置といった具合に技術の進歩に伴って点火装置も高度化・多様化してきました。現代の点火装置は、単に点火するだけでなく、エンジンの回転数や負荷に応じて最適なタイミングで点火を行うことで燃費向上や排ガス低減も実現しています。特に近年の電子制御式点火装置は、エンジンコントロールユニット (ECU) と連携し、高度な制御を実現しています。

点火装置の使用用途

点火装置の使用用途として、内燃機関における点火、ガス機器における点火の2つを解説します。

1. 内燃機関における点火

点火装置の最も代表的な用途は、自動車やオートバイ、船舶などに搭載される内燃機関 (エンジン) における混合気への点火です。内燃機関は、シリンダー内で燃料と空気を混合し圧縮した「混合気」に点火し、爆発的な燃焼によって生じるエネルギーを動力に変換します。点火装置は、この混合気に火花を飛ばして点火する役割を担います。点火のタイミングはエンジンの性能を左右する装置であり、エンジンの回転数や負荷に応じて適したタイミングで点火することが求められます。そのため、現代の点火装置は電子制御化が進み、エンジンコントロールユニット (ECU) によって高精度に制御されています。

2. ガス機器における点火

家庭用のガスコンロや給湯器、ガスファンヒーターなどのガス機器にも点火装置が用いられています。ガス機器ではガスと空気を混合して燃焼させることで熱エネルギーを得ていますが、燃焼を開始するために点火装置が必要です。多くのガス機器では、圧電素子を用いた点火装置が採用されています。ガス機器は圧電素子に機械的な圧力を加えることで高電圧を発生させ、その電圧を利用して火花を飛ばす仕組みです。ガス機器は電源が不要で構造がシンプルなため、ガス機器の点火装置として広く普及しています。

コルソン合金とは

コルソン合金とは、ニッケル (Ni) とシリコン (Si) を主な副成分とする特殊な銅合金です。

強度、電気伝導度が高く、曲げ加工性に優れるという特徴を持ち合わせています。コルソン合金の特性から主にパソコンや携帯電話などの電子機器のコネクタ端子やリードフレームなどに使用されており、現代の情報化社会において欠かせない合金と言えるでしょう。

数十年にわたりコルソン系合金の改良ならびに新規コルソン合金の研究・開発が行われており、高強度、高導電で曲げ加工性に優れるコルソン系合金について広範な特許網を有しています。業界トップのシェアを確立していることからも、有用性が伺えます。コルソン合金の特性を引き出すためには、適切な製造プロセスと品質管理が重要です。高度な技術力によって、コルソン合金は高性能な電子機器の開発を実現しています。

コルソン合金の使用用途

コルソン合金は、その優れた特性から幅広い分野で利用されています。特に、高い強度と電気伝導度が求められる電子機器分野においては必要な材料となっています。ここではコルソン合金の使用用途として、コネクタ端子、リードフレーム、スイッチ、リレーの4つを解説します。

1. コネクタ端子

コルソン合金は高い電気伝導度と強度を持つため、コネクタ端子に適しています。小型で高密度なコネクタにおいても安定した接続を可能にします。

2. リードフレーム

リードフレームは半導体チップを外部回路に接続するための部品です。コルソン合金は高い強度と曲げ加工性を持つため、リードフレームの材料として適しています。

3. スイッチ

コルソン合金は優れたバネ特性と電気伝導度を持つため、スイッチの接点材料として使用されます。

4. リレー

リレーは、電気回路の開閉を行う部品です。コルソン合金は高い耐久性と電気伝導度を持つため、リレーの接点材料として使用されます。

多層基板

多層基板とは

多層基板とは、3層以上の導体層を持つプリント配線板です。

絶縁層と導体層を交互に重ね合わせ、圧着することで製造されます。多層基板は複雑な構造により、高い配線密度を実現します。また多層構造は信号の伝送特性を向上させられる点が特徴です。多層基板は片面基板や両面基板に比べて、配線密度が高い、部品実装面積を増やせる、高速信号伝送に適している、ノイズを低減できるといった点で優れています。多層基板はその利点から、スマートフォン、パソコン、サーバー、産業機器など様々な電子機器に利用されています。

多層基板の製造には高度な技術が必要です。精密な回路パターンを形成し、各層を正確に重ね合わせる必要があります。また材料も重要です。用途に応じて適切な絶縁材料や導体材料を選ぶ必要があります。

多層基板の使用用途

多層基板の使用用途として、スマートフォン・タブレット、パソコン、サーバー、産業機器、自動車の6つを解説します。

1. スマートフォン・タブレット

スマートフォンやタブレットは小型ながら高い機能が求められるため、多層基板が必要です。限られたスペースに多くの部品を実装し、高速な信号伝送を実現しています。

2. パソコン

パソコンのCPUやマザーボードには多数の配線が必要であり、多層基板が使用されます。高速なデータ処理を実現するために、信号の伝送特性が重視されます。

3. サーバー

サーバーは大量のデータを高速に処理する必要があるため、多層基板が採用されています。高い信頼性、放熱性も求められます。

4. 産業機器

産業機器は高い信頼性、耐久性が求められるため、多層基板が使用されます。過酷な環境下でも安定して動作する必要があります。

5. 医療機器

医療機器は、小型化、高性能化が求められると同時に、高い信頼性も必要です。

6. 自動車

自動車には多くの電子制御ユニットが搭載されており、多層基板が使用されています。高い信頼性、耐環境性が求められます。

炭化水素洗浄

炭化水素洗浄とは

炭化水素洗浄とは、炭化水素系溶剤を用いて、工業部品や金属製品に付着した油汚れや切削油、グリースなどの油性成分を除去する洗浄方法です。

炭化水素系溶剤は炭素と水素のみで構成される有機溶剤であり、その種類は多岐にわたります。代表的なものとしては、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、ナフテンなどが挙げられます。

炭化水素洗浄は、高い洗浄力と素材への低腐食性が特徴です。金属部品の洗浄、機械設備のメンテナンス、精密部品の洗浄などその用途は多岐にわたります。また、炭化水素系溶剤は蒸留再生が可能であるため繰り返し使用でき、環境負荷低減も実現可能です。ただし、炭化水素系溶剤は引火性があるため、取り扱いには注意が必要です。消防法などの法規制に基づいた管理体制を整え、安全対策を徹底する必要があります。また作業者の安全衛生管理も重要な課題となります。炭化水素洗浄は高い洗浄力と環境性能から、今後も様々な分野での活用が期待されています。安全管理を徹底し、環境負荷低減に努めることが必要です。

炭化水素洗浄の使用用途

炭化水素洗浄は、その高い洗浄力と素材への低腐食性から多様な産業分野で利用されています。炭化水素洗浄の使用用途として、金属部品の洗浄、機械設備のメンテナンス、精密部品の洗浄の3つを解説します。

1. 金属部品の洗浄

自動車部品、機械部品、電子部品など、様々な金属部品の洗浄に利用されています。切削油、プレス油、グリースなどの油性成分を除去し、部品の品質向上を実現します。

2. 機械設備のメンテナンス

工作機械、産業機械、建設機械など機械設備のメンテナンスに利用されています。油汚れやグリースを除去し、機械の性能維持や寿命延長を実現可能です。

3. 精密部品の洗浄

半導体製造装置、医療機器、光学機器など、精密部品の洗浄に利用されています。微細な油汚れやパーティクルを除去し、製品の品質向上を実現できます。

振動溶着

振動溶着とは

振動溶着とは、摩擦熱を利用して熱可塑性樹脂を接合する技術です。

2つの部品を高速で振動させながら押し当てることで、接触面に摩擦熱が発生し樹脂が溶融します。溶融した樹脂が冷え固まることで、2つの部品が強固に接合されます。接着剤やネジを使用せずに部品同士を接合できるため、環境負荷の低減や製造コストの削減の実現が可能です。複雑な形状の部品や異種材料の接合にも適しており、幅広い分野で利用されています。高い接合強度と気密性を実現できるため、自動車部品や家電製品など高い品質が求められる製品の製造に適しています。溶着時間が短く生産効率が高いという点がメリットです。

振動溶着の使用用途

振動溶着の使用用途として、自動車産業、家電製品、医療機器の3つを解説します。

1. 自動車産業

自動車産業では、バンパー、インストルメントパネル、ドアトリムなど多くの部品の接合に振動溶着が利用されています。例えばバンパーの接合では高い衝撃吸収性が求められますが、振動溶着によって強固な接合を実現することで安全性を確保しています。またインストルメントパネルの接合では、複雑な形状に対応できる振動溶着の特性を生かし、デザイン性の高い製品が実現可能です。

2. 家電製品

家電製品では、冷蔵庫、洗濯機、掃除機など多くの製品の外装部品や内部部品の接合に振動溶着が利用されています。例えば冷蔵庫のドアの接合では高い気密性が求められますが、振動溶着によってこれを実現し冷却効率の向上を実現しています。

3. 医療機器

医療機器では、注射器、輸液バッグ、カテーテルなど多くの製品の接合に振動溶着が利用されています。例えば注射器の接合では高い気密性が求められますが、振動溶着によって実現し、薬液の漏れを防いでいます。また、カテーテルの接合では柔軟性が必要です。これを振動溶着によって実現し、患者の負担を軽減しています。