粒子径分布測定装置

粒子径分布測定装置とは

粒子径分布測定装置とは、物質中の微小な粒子のサイズ分布を測定するための装置です。

光散乱、光透過、電気抵抗、超音波測定などの技術を使用して、微粒子のサイズ分布を測定することができます。粒子状の物質は医薬品や食品をはじめ、洗剤、塗料やインクの顔料、工業で使用される様々な化学薬品など非常に多種多様なものがあります。そして粒子は同じ物質でも、大きさが異なれば特性や外観、扱いやすさに差が生じます。

例えば、個体の粒子の表面面積の違いは、化学反応の速度に影響を与えます。粒子が小さくなるほど、化学反応が早くなります。溶解速度も粒子が小さいほど早くなります。

粒子の大きさの違いは、製品を瓶に詰める際に充填密度の違いを生じさせます。また、大きさが揃っていない粒子は、外観の質感も良くありません。このように、粒子状の製品を作る過程において粒子の大きさを整えることは、製品の特性や品質を整えるうえで非常に重要です。

しかし、粒子状の製品の一個一個の粒子のサイズを測定することは現実的ではありません。粒子径分布測定装置は、粒子の大きさの分布状況を測定することで、粒子のサイズ管理に寄与する装置です。

粒子径分布測定装置の使用用途

粒子径分布測定装置は、化学工業、製薬業、食品産業などの様々な産業や環境調査、材料科学など、幅広い分野で使用されています。

1. 化学工業

化学工業では、化学反応における、反応物の分散度や反応速度、生成物の品質を評価するために粒子径分布測定装置を使用しています。

2. 製薬業

薬剤の効果は、粒子の大きさに依存することがあります。したがって、粒子径分布測定装置は、医薬品の品質管理において重要な役割を果たしています。

3. 食品産業

食品産業では、食品に添加される添加物や香料の微粒子の大きさを測定することで、製品の品質や風味の改善に粒子径分布測定装置を使用しています。

4. 環境科学

環境科学の分野では、大気中の微粒子の大きさを測定することで、大気汚染のレベルや健康への影響を評価することができます。

材料の物性は、粒子の大きさや分散度に依存することがあります。粒子径分布測定装置は、材料の品質評価や改良に役立ちます。

粒子径分布測定装置の原理

古くから用いられていて、最も簡単な粒径分布測定装置は、網目の大きさが違うザルを使った“ふるい”です。ふるいは、構造が単純で故障も少なく、材料の全量をサイズごとに分けられる、優れた方法です。

現在の工業的な粒径分布測定装置には、レーザー回析/散乱式、動的光散乱法、遠心沈降式、粒子軌道解析法などがあり、それぞれに特徴があります。

レーザー回析/散乱方式では、レーザー光を適量の粒子が入った資料容器にあてて、粒子にあたって散乱して来る光を検出器で捉え、光の入射角に対する散乱光の散乱角度ごとの強度分布から、粒子径の分布状況を測定します。これは散乱角度の大きさは、レーザーの波長と、照射された粒子の大きさによって決まるという原理に基づいています。

レーザー回析/散乱方式では0.01μm~3,500μmまでの広い範囲の粒子形状を測定でき、試料容器を差し替えるだけで、乾式測定と湿式測定の両方を行える装置もあります。

  • 湿式測定
    湿式測定は、粒子を水などの液体の中に入れて測定する方式です。湿式測定に向いた粒子には、空気中で凝集しやすい粒子や、ナノサイズの粒子があります。
  • 乾式測定
    乾式測定は、空気の中で粒子を分散させて測定する方法です。乾式測定に向いた粒子には、凝集しない粒子や、サイズが数ミリ程度の大きな粒子があります。また水などに溶解してしまう粒子の測定には、乾式測定が用いられます。

測定結果は、粒度分布としてヒストグラムで表されます。ヒストグラムでは、縦軸はその粒子が存在する頻度を示します。粒度分布からは、中央値や平均値などの代表値や、偏差や分散などのばらつきを示す値を求めることができます。これらの値は、粒子の性質や品質を評価するための管理指標として利用されます。

粒子径分布測定装置の選び方

粒子径分布測定装置には、レーザー回析/散乱方式以外にも様々な測定方法があります。また、計測対象の粒子にも、ペースト状のものもあります。ペースト状の粒子の測定には、ペーストを乾燥させてから、画像解析法で測定するのが適しています。

測定結果は、粒度分布としてヒストグラムで表されます。ヒストグラムでは、縦軸はその粒子が存在する頻度を示します。頻度の数え方には様々な方法があり、その基準となる数え方を「粒子径基準」と呼びます。

測定方法によって使用する粒子径基準が異なるため、同じ試料を異なる測定方法の装置で測定した場合、結果が異なる可能性があります。

粒径分布測定装置には測定方式以外にも試料の形状、測定結果の捉え方など多くの検討項目があるため、使用状況に合わせて選択をすることが大切です。