ELISAキット

ELISAキットとは

ELISAキットとは、抗体を使った免疫学的測定法(Immunoassay)の一つで、ELISA(Enzyme Linked Immunosolvent Assay)による定量を行うためのキットです。

ELISA(エライザ/エライサ/イライザ)はEnzyme Linked Immunosolvent Assayの頭文字を取った言葉で、抗原抗体反応を利用して微量生体物質を定量する方法です。酵素免疫測定法、酵素結合免疫吸着測定法などの和訳が当てられることもありますが、一般にはあまり使われません。

ELISAキットの使用用途

ELISAの概要

抗原抗体反応によって微量生体物質を高精度で検出できる観点から、バイオロジー分野で使用されることが多いです。例えば、サイトカイン、ケモカインおよび増殖因子などの血中タンパク質を測定したり、Immuno-Oncology分野ではがん免疫の状況を明らかにするために溶解性の免疫チェックポイント分子を測定する際などに用いられます。

神経生物学では、神経障害を引き起こすとされているAβ、タウ、α-シヌクレインタンパク質の定量に利用されています。その他にも、リン酸化特異的 ELISAキットや免疫グロブリン ELISA キットなど、豊富なラインナップの中から、研究内容・目的に適したELISAキットを選択することができます。また、ヒスタミン、農薬、ダイオキシンなどを測定する際には、競合法タイプのELISA分析が適切です。

ELISAキットの原理

ELISAでは、測定したい物質に対し、特異的に結合する抗体または抗原となる物質を用います(抗原抗体反応)。最終的には酵素標識された抗体(或いは抗原)を用い、吸光度測定によって酵素活性を検出・評価します。

この酵素活性の測定によって、溶液中の酵素濃度・抗原抗体反応に関与した試薬中の物質、及び、目的物質の定量が可能となります。主に直接法、間接法、サンドイッチ法、競合法の4つの方法があります。

直接法と間接法

1. 直接法

マイクロプレート上に目的抗原物質(或いは目的抗体)を固相化し、標識した抗原や抗体を直接作用させる方法です。抗原または抗体を作用させた後に洗浄し、マイクロプレート上の酵素活性を検出します。二次抗体が不要なので1工程で行うことができ、短時間で行えます。

2. 間接法

まず、マイクロプレート上に固相化された目的抗原物質に特異的な抗体を作用させます。更にその抗体に対して酵素標識済みの二次抗体を反応させ、最後に標識された二次抗体上の酵素の酵素活性を検出します。感度が上がることが特徴ですが、直接法と比べて時間を要します。

サンドイッチ法と競合法

3. サンドイッチ法

試料中の目的物質に結合する抗体を固相化したマイクロプレートを用い、試料を抗原として反応させます。続いて、試料に対して酵素標識した別の抗体を反応させ、過剰な抗体を洗い流した後、マイクロプレート上の酵素活性を測定します。

固相化に用いる抗体と酵素標識抗体とでは、抗原認識部位が異なっているものを選ぶ必要があります。サンドイッチ法では、反応の特異性が直接法よりも高くなり、検出精度が高くなる点がメリットです。

4. 競合法

目的物質に結合する抗体を固相化し、濃度既知の標識抗原と、試料を同時に作用させます。試料中に含まれる目的物質が多い場合は、抗体と結合できる酵素標識抗原が少ないため、吸光度が減少します。

逆に試料中の目的物質が少ない場合は、抗体と結合できる酵素標識抗原が多くなるため、吸光度が増加します。サンドイッチ法では検出が難しい分子が小さい場合や、一か所しか抗体の結合部位がない場合なども競合法では測定を行うことが可能です。

ELISAキットの選び方

前述の通り、特異的な抗原抗体反応を利用して検出を行うため、まず大前提として、試料に対して正しい組み合わせの試薬が用いられている製品を用いることが重要です。また、直接法、間接法、サンドイッチ法、競合法、いずれの場合もそれぞれに一長一短があるため、測定の目的に合わせて一番好ましいものを選ぶ必要があります。

マイクロプレートへの固相化は、疎水的相互作用あるいは共有結合による固相化が一般的ですが、結合様式に応じて正しいマイクロプレートを選択することが重要です。疎水タイプ、親水タイプの種別の他、共有結合用途に向けてアミノ基、カルボキシル基などの加工がされたものなど、多くの種類が販売されています。

参考文献
https://www.thermofisher.com/jp/ja/home/life-science/antibodies/immunoassays/elisa-kits.html
https://labchem-wako.fujifilm.com/jp/category/lifescience/assay_kit/index.html
https://ruo.mbl.co.jp/bio/support/method/elisa.html
https://www.abcam.co.jp/kits/simplestep-elisa-kits-2
http://xn--ockr9eud.com/webinar/elisa.html
https://www.cosmobio.co.jp/product/detail/00780001.asp?entry_id=2723

日立製作所の不祥事・不正一覧

2018年の不正・不祥事

元役員と元社員の不正競争防止法違反(外国人への贈収賄)容疑

概要

  • タイ王国の火力発電所建設の中で、海上輸送された建設資材を桟橋に荷揚げする際に、桟橋の利用許認可手続きを適切に実施していなかったため、桟橋が封鎖される事態となった。
  • 火力発電所の建設遅延にもつながり多額の損害が見込まれたことから、トラブルを早期に解決するために、地元港湾当局の公務員2000万バーツを支払った。
  • 2000万バーツは同国の建設業者へ架空工事を追加発注することで捻出された。

会社の公式リリース(日時: 2018年7月20日)

2014年の不正・不祥事

国立国会図書館の内部情報の不正取得

概要

  • 国立国会図書館は日立製作所へネットワークシステムの保守・運用業務を委託していたが、管理者となった日立社員が国立国会図書館の業務システムに侵入し、内部情報を不正に閲覧・取得していた。
  • 取得した情報には国立国会図書館の発注関連書類や他社の提案書などが含まれていた。さらに、日立製作所のビジネス拡大のために、他の日立社員にも情報が共有・利用されていた。

会社の公式リリース(日時: 2014年6月20日)

2008年の不正・不祥事

東京消防庁から修理交換依頼されたハードディスクドライブの不正流出

概要

  • 東京消防庁が日立製作所に修理交換依頼を出し、廃棄処分となったビジネスPCのハードディスクドライブの一部が中古品量販店で販売されていることが発覚した。
  • 流出したハードディスクドライブには東京消防庁の職員など2500人分の個人情報のデータが残されたままであった。

会社の公式リリース(日時: 2008年1月18日)

日産自動車の不正・不祥事一覧

2019年の不正・不祥事

日産自動車の有価証券報告書等の虚偽記載における課徴金命令

概要

  1. 2005年度(2006年3月期)から2017年度(2018年3月期)までの有価証券報告書において開示した役員報酬等の内容に誤りがあった。
  2. 2019年12月10日、証券取引等監視委員会は日産自動車に対し、24億2,489万5,000円の課徴金納付命令を発出するよう、金融庁に勧告。2020年2月28日に、金融庁は課徴金納付命令の決定を行う。

会社の公式リリース(日時: 2019年12月10日)

カルロス・ゴーン元会長を会社法違反で東京地方検察庁に刑事告訴

概要

  1. カルロス・ゴーン元会長の指示により、日産が子会社を介して海外の日産車販売会社へ資金を送金したが、実は業務上必要性のない自己の利益を得るための不正な支出であったことが判明
  2. 会社としては到底容認できるものではないと判断し、会社法違反(特別背任罪)での刑事告訴をした。

会社の公式リリース(日時: 2019年4月22日)

カルロス・ゴーン元会長が会社法違反(特別背任罪)により起訴、これに先立ち、日産は、元会長を同法違反で東京地方検察庁に刑事告訴

概要

  1. ゴーン元会長が個人的な投資の損失を、いったん日産に付け替えたことが判明
  2. 損失の追加担保を逃れるため、保証人である知人に中東日産から不透明な資金を支払う
  3. 多額の会社資金の不正支出は容認できず、刑事告訴に至った。

会社の公式リリース(日時: 2019年1月11日)

2018年の不正・不祥事

完成車検査におけるブレーキやハンドル、スピードメーターなど6項目で不正が発覚

概要

  1. 会社内部の独自調査で、追浜工場とオートワークス京都の2工場で検査不正を行っていた。
  2. 品質よりもコスト削減を重視するため、各工場で1人のみが不正を行い、ほかの従業員は不正をしているという認識はなかったと説明。

会社の公式リリース(日時: 2018年12月7日)

完成検査における抜取検査で測定値を改ざん

概要

  1. 新車の出荷前に行う排ガス性能の抜き取り検査で、都合が悪い数値が出た場合に測定値を改ざんしていたことが判明
  2. 排出ガス検査以外にも、精密車両測定検査で数々の不正が行われていた。
  3. 国内における多数の工場で、こうした不正が日常的に行われていたとされる

会社の公式リリース(日時: 2018年9月26日)

 

三菱電機の不正・不祥事一覧【2021年7月6日更新】

2021年6月30日に三菱電機株式会社が鉄道車両向け空調機器で不正な検査をしていた問題を公表しました。このようなことが起こらないで欲しいという思いも込めて、過去の三菱電機の不祥事についてまとめました。

2021年の不祥事

鉄道車両用空調装置等の不適切検査

2021年三菱電機不祥事時系列

概要

  1. 三菱電機が製造する鉄道車両用空調装置において、購入の仕様書と異なる検査を実施をし、検査成績書に実際の数値とは異なる数値を記載。
  2. 三菱電機が過去に出荷した鉄道車両用空気圧縮機ユニットにおいて、購入仕様書の記載とは異なる検査の実施や検査の不実施。

会社の公式リリース (日時: 2021年6月30日)

本不祥事発表後に株価は約6%下落

不祥事が発表された6月30日から7月1日にかけて株価は1,612円から1,515円に約6%下落した。

比較対象として、この間の日経平均は28,791円から28,707円に約0.3%下落している。

現在の三菱電機の時価総額は3.32兆円。(2021年7月2日時点)

2021年の三菱電機不祥事による株価の下落

画像出典: googleスクリーンショット

6月29日に開催された株主総会の1日後に三菱電機は不祥事を公表

三菱電機は6月29日に株主総会を開催していたが、鉄道車両用空調装置等の不適切検査の不祥事の公表は6月30日。会社公式リリースによると、三菱電機内での不祥事の判明は6月14日であった。

株主総会前に発覚していたにも関わらず、株主総会後での発表を行ったことに対してはいささか疑問が残る。

また、株主総会では「品質不適切行為について深く反省し、再発防止に努める」との三菱電機社長の言及もあった。

株主総会での三菱電機社長の「品質不適切行為への言及」原文

「近年発生した一連の労務問題について心からお詫び申し上げます。また、不正アクセスによる情報漏洩、品質不適切行為でも社会の皆さまに多大なご迷惑をお掛けいたしております。当社として、厳粛に受け止めて深く反省し、再発防止策も含めた諸課題にグループをあげて取り組んでまいります。」

三菱電機株式会社第150回提示株主総会ビデオより

本不祥事関連ニュースの時系列整理

  • 2021年6月14日:  製造する鉄道車両用空調装置の一部において、購入仕様書の記載とは異なる検査の実施や検査の不実施、検査成績書への不適切な記載を行っていたことが社内調査で判明
  • 2021年6月28日:  過去に出荷した鉄道車両用空気圧縮機ユニットの一部において、購入仕様書の記載とは異なる検査の実施や検査の不実施が判明
  • 2021年6月29日: 第150回株主総会の実施
  • 2021年6月30日: 鉄道車両用空調装置等の不適切検査に関する不正公表
  • 2021年7月2日: 東京都内で会見を開き、三菱電機の杉山武史社長は社長を辞任
  • 2021年7月3日: 三菱電機柵山会長の経団連副会長としての活動の自粛を発表 (会社公式リリース)
  • 2021年7月6日: 内閣府が主催する「Society 5.0 科学博」への出展の取りやめを発表 (会社公式リリース)

2020年の不祥事

パワー半導体製品を出荷検査せずに出荷

概要

2014年11月上旬から 2019年6月下旬までの間、顧客と契約をした規格どおりの出荷検査を行わずに出荷。

会社の公式リリース(日時: 2020年2月10日)

欧州向けカーオーディオ製品で欧州域内の規制に適合しない製品を出荷

概要

欧州向けカーオーディオ製品の一部において、欧州域内のラジオ受信器に関する規制に適合しない製品を出荷していた。

影響として、欧州地域での AM ラジオ受信時に、音声にノイズが混入する可能性。

不適合製品は自動車メーカー向けに販売、一般消費者への直接の販売は行っていない。

会社の公式リリース(日時: 2020年11月6日)

2017年の不祥事

労使協定の上限を超える残業を社員に強制

概要

2017年1月11日に労使協定の上限を超える残業を社員にさせたとして、労働基準法違反の疑いで三菱電機と、同社の幹部を書類送検。

日本経済新聞ニュース

不祥事への三菱電機の対応

2017年1月27日に総労働時間削減と適切な労働時間管理に向けた取り組みの強化を目的として「労働時間適正化委員会」を設立。

会社の公式リリース(日時: 2017年1月17日)

2012年の不祥事

防衛省・JAXA・内閣衛星情報センター・情報通信研究機構への過大請求

概要

防衛省、内閣衛星情報センター、独立行政法人 宇宙航空研究開発機構及び独立行政法人 情報通信研究機構との契約において、費用を実際よりも多く計上し請求。

違約金・延滞利息により773億円を営業外費用に計上。

会社の公式リリース

まとめ

こちらの記事については随時更新を行っていきます。

三菱電機株式会社の概要

設立: 1921年1月15日

連結従業員数: 145,653人

連結売上高: 4,191,433百万円

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事業概要

重電システム(タービン発電機など)、産業メカトロニクス(プログラマブルコントローラなど)、情報通信システム(人工衛星など)、電子デバイス(液晶表示装置など)、家庭電器(液晶テレビなど)の製造販売を行う。

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