業務用布団乾燥機

監修:株式会社TOSEI

業務用布団乾燥機とは

業務用布団乾燥機とは、コインランドリーやその他各種施設などで使用される布団専用の乾燥機です。

敷き布団専用乾燥機や、マットレス乾燥機などがあり、シングル布団1枚用の小型のものから複数枚の布団乾燥が可能な超大型のものまで様々なものがあります。家庭用の、布団に温風を送り込んで乾燥させる小型の機械とは異なり、業務用の布団乾燥機は、布団を丸ごと入れるボックス型の装置です。また、ドラム型の業務用洗濯乾燥機の中にも、布団の乾燥に対応しているものがあります。

業務用布団乾燥機の使用用途

1. 概要

業務用布団乾燥機は、コインランドリーやクリーニング店など、洗濯乾燥を業務として行う施設で導入されています。通常の洗濯乾燥機と異なり、布団乾燥機は数十分の短時間で布団の乾燥を完了することが可能です。

また、寝具を大量に使用する各種施設 (病院、福祉介護施設、公共施設、ホテルなど) でも導入されています。大量の寝具を短時間で効率的に乾燥させ、カビやダニの発生を防ぎ、衛生的に管理することができます。

2. 業務用布団乾燥機で得られる効果

敷き布団は、一晩にコップ約1杯~1.5杯分の汗を吸い取っていると言われており、アレルゲンとなるダニやカビの温床になる場合があります。アレルゲンとなるダニは掃除機や家庭用の洗濯機では除去することができず、天日干しではなかなか死滅させることができない場合もあります。

ダニを死滅させるには50度以上の熱で20~30分間温める必要があるとされており、業務用布団乾燥機が有効です。また、ダニだけでなく、細菌も高温殺菌され、除菌効果も期待できます。

業務用布団乾燥機の原理

1. 敷き布団専用乾燥機

コインランドリーなどで使用されている敷き布団専用乾燥機は、大きなボックス型の形状をしており、中の三角台に敷き布団1枚を掛けて固定します。ふとん全体に約18,000個の通気穴が面するようになっており、この通気穴から100℃以上の熱風が送り込まれ、乾燥が進行します。必要な乾燥時間は、ポリエステル100%の敷布団1枚あたりにつき、約20~30分、綿の敷布団で約50~60分です。

2. 家庭用布団乾燥機との違い

家庭用布団乾燥機は、小型の本体機器に付属したホースを布団のあいだに入れて、ホースから出る温風を送り込む (もしくは、乾燥マットを用いて温風を送り込む) 仕組みです。

一方、業務用布団乾燥機は、布団全体を装置に収め、丸ごと熱風で乾燥させます。家庭用布団乾燥機が基本的に電気式であるのに対し、業務用布団乾燥機はガス式で強力な乾燥機能を持ちます。短時間で効率的に乾燥を行うことができ、ダニや細菌の死滅効果も高いです。

業務用布団乾燥機の種類

1. 概要

業務用布団乾燥機には、上記で挙げた敷き布団専用乾燥機の他にも、平面乾燥を行う製品、3〜8枚などの複数枚の乾燥が可能な大型の施設用製品や、マットレス・布団兼用の乾燥機など、様々な製品があります。

基本的には熱風乾燥ですが、中には消毒薬を併用して、ダニや細菌を死滅させることができる製品や、スチーマー機能を備えている製品もあります。

コインランドリー用の製品では、決済機能が搭載されており、硬貨による決済などが可能です。また、感染症対策としてタッチレスパネルを採用している製品もあります。

2. リフレッシュスチーマー

リフレッシュスチーマーとは、布団乾燥機の一種ですが、高温のスチームで消臭と除菌を行うことができます (乾燥のみのコースも選択可能) 。スチームを使用することにより、細菌の除菌効果、ダニの死滅効果において、より高い効果を得ることが可能です。また、消臭除菌剤を併用して噴霧することもできます。

本記事は業務用布団乾燥機を製造・販売する株式会社TOSEI様に監修を頂きました。

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コインランドリー洗濯機

監修:株式会社TOSEI

コインランドリー洗濯機とは

コインランドリー洗濯機とは、コインランドリーに設置されている業務用の洗濯機です。

一般的にはドラム型の形状をしており、家庭用の洗濯機よりも大型で、集金機能が付帯しています。一般には乾燥機能付きのものが多く、現金の他にもプリペイドカードでの決済に対応しているものや、靴用洗濯乾燥機など、製品によって機能は様々です。尚、コインランドリー洗濯機のメーカーの中には、製品提供の他にもコインランドリーの開業支援や開業・経営セミナーを行なっているメーカーもあります。

コインランドリー洗濯機の使用用途

コインランドリー洗濯機は、コインランドリーで一般消費者などを顧客として使用されています。コインランドリー洗濯機は家庭用に比べて大型 (容量15kg〜) であるため、大量の洗濯物を洗濯することが可能です。通常、コインランドリーは24時間営業であるため、早朝や深夜などの時間帯や天気を問わない洗濯ニーズに対応します。

また、乾燥機能では家庭用よりも高温での乾燥ができるため、ダニ、花粉、雑菌、臭い、ハウスダスト対策にもなります。また、家庭では洗濯しにくく、クリーニングでは費用のかかる寝具などの大型洗濯物も洗濯可能です。具体的な下記のようなものに対応している場合があります。

  • 羽毛布団、敷布団、こたつ布団
  • 毛布、シーツ、タオルケット、マット
  • じゅうたん、ラグ、カーペット
  • カーテン

コインランドリー洗濯機の原理

コインランドリー洗濯機は基本的に下記のような流れで使用されます。

  1. 洗濯機に洗濯物を入れて、ドアを閉める
  2. 洗濯コースを選択して表示された料金を投入する
  3. 洗濯機がロックされ、指定したコースの洗濯が行われる
  4. 洗濯終了後、ロックが解除される

コインランドリー洗濯機はドラム型もしくは縦型の渦巻き式です。多くの機種では、洗濯物を入れる前にドラム内を洗浄する機能がついています。洗濯の基本的な仕組み自体は、通常の家庭用洗濯機と同様ですが、コインランドリー洗濯機は製品によっては電解水やファインバブル水を利用していたり、水の勢いが強くなっていたりするため、汚れ落ち効果が強力です。

また、乾燥にはガスが用いられ、家庭用洗濯乾燥機よりも強力に乾燥させることができます。洗濯も乾燥も一般に家庭用洗濯機よりも短時間で完了します。

コインランドリー洗濯機の種類

コインランドリー洗濯機には主に下記のような種類があります。

  • コイン式全自動洗濯乾燥機
  • コイン式全自動洗濯機
  • コイン式渦巻き洗濯機
  • コイン式ガス衣類乾燥機
  • コイン式靴用洗濯乾燥機
  • コイン式敷布団乾燥機

コイン式全自動洗濯乾燥機は、最も一般的なドラム式のコインランドリー洗濯機です。洗い・すすぎ・脱水・乾燥までを1台で行うことができます。コイン式全自動洗濯機とコイン式渦巻き洗濯機は乾燥機能がなく、洗い・すすぎ・脱水までで洗濯が完了します。乾燥機にかけられない衣類などはこちらが使用されます。渦巻き洗濯機は縦型の洗濯機です。

靴用洗濯乾燥機や敷布団乾燥機などは、特定の目的に特化している種類の洗濯機・乾燥機です。また、通常の全自動洗濯乾燥機でも、敷布団コース、羽毛布団コース、強力洗浄コース、毛布コース、おしゃれ着洗い機能など、業務用ならではのコースなどが搭載されている製品もあります。決済機能では、硬貨の他にプリペイドカードに対応しているものや、感染症対策としてタッチレスパネルを採用しているものもあります。

コインランドリー洗濯機と家庭用洗濯機の違い

コインランドリー洗濯機と家庭用洗濯機の違いは主に下記のようなものがあります。

  • 容量が大型 (20kg、30kgを超えるものもある)
  • 布団、毛布、シーツ、カーペットなど様々なものに対応
  • 価格が高額 (数十万円~数百万円程度、乾燥機などが付くと高額になる)
  • コース選択などの機能が充実しており、機種によってはドライクリーニングも可能
  • 業務用のパワーで洗浄力が高く、機種によっては温水、電解水、除菌水、などが使用可能であり、清潔性が高い

本記事はコインランドリー洗濯機を製造・販売する株式会社TOSEI様に監修を頂きました。

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業務用掃除機ロボット

監修:株式会社テナントカンパニージャパン

業務用掃除機ロボットとは

業務用掃除機ロボットとは、清掃箇所を学習して、障害物を避けながら自律的な清掃を行うロボットです。

家庭用ロボットに比べて、よりプロフェッショナルな仕様なので長時間運転、大容量のごみ収集、広い面積の洗浄等が可能であるという特徴があります。機種によってはナビゲーションシステムやセンサーを駆使して、効率的で、精度の高い清掃も可能です。ロボットの動作環境は各メーカーの機種により大きく異なり、必ずしもであらゆるエリアの清掃が可能な訳ではありませんが、こうしたロボットをうまく取り込み、省力化していくことにより、人件費のコストダウン効果も期待されます。

業務用掃除機ロボットの使用用途

業務用掃除機ロボットは、様々な業務における清掃シーンで活用されています。

主な活用施設には下記のようなものがあります。

  • 飲食店
  • 宿泊施設
  • オフィス、会議室、事務室
  • 医療機関、介護施設、福祉施設
  • 工場
  • 小売店
  • 空港
  • 運動施設 (屋内競技場など)
  • 各種公共施設

これらの施設において、業務用掃除機ロボットは、

  • 効率的で均一な清掃を行う
  • 清掃における人件費を削減し、効率的な人員配置を行う

などの目的を達成することが可能です。

業務用掃除機ロボットの原理

1. 清掃機能

業務用掃除ロボットは、ゴミや塵を吸い込む乾式のスイーパータイプのものと、ブラシ・吸引口・モップの機能がついている水拭き式床洗浄機 (スクラバー) タイプのものがあります。基本的な原理は従来のスイーパー、あるいはスクラバーと変わりません。

各社、色々な製品方式がありますが、概して水拭き式の製品では、一度の作業でモップがけと、その際発生する汚水の回収が同時に完了させることが可能です。また乾式の製品であれば、ホコリをブラシでかき上げ、バキュームで吸引する作業が同時に完了させることが可能です。

2. センサー・ナビゲーション

業務用掃除機ロボットは、センサー技術を駆使して周囲の障害物や壁、家具などを検知することが可能です。障害物に接近した際には自動的に方向を変えたり、避けることができ、衝突や事故のリスクを最小限に抑えます。また、光学センサー技術、人工知能、ナビゲーションシステム、クラウド技術を統合的に活用することで、効率的な清掃が可能です。

多くの業務用掃除機ロボットは、マッピングまたはティーチングという方式で走行ルートを決めてから自走します。一方、製品によってはランダム走行モード、センサーウォール機能を用いることで、掃除機ロボットを敢えて入れない場所を決めて回避したり、一度に清掃できない広いスペースを複数に分けて清掃させることも可能です。

業務用掃除機ロボットの種類

1. 大きさ

業務用掃除機ロボットには様々な製品があります。大きさごとでは、大型、中型、小型の分類があります。

大型の業務用掃除機ロボットは清掃速度が速く、最大清掃可能面積が広いというメリットがあります。また、1時間あたりの清掃範囲でも、2000m2以上の範囲を清掃できます。

中型の業務用掃除機ロボットは70〜200m2の店舗・施設の清掃に適しています。大型の業務用清掃ロボットでは入れない狭い通路の清掃も可能であり、細かい部分の清掃が求められる中規模店舗・施設での使用に最適です。

小型の業務用掃除機ロボットは、清掃するスペースが小さい現場に適します。小回りが効くため、テーブルや椅子の下、壁際などすみずみまで清掃作業を行うことができます。

2. 機能面

機能面でも製品によって多様な種類があります。床の掃除やモップがけ、除菌など、さまざまな清掃タスクに対応することが可能です。製品によっては、Wi-Fiと専用アプリに対応しており、スマートフォンやタブレットで遠隔操作が可能なものもあります。

対応床面は、タイルなどの硬質床のみに対応している製品と、カーペット使用可能な製品とに分かれます。

業務用掃除機ロボットのその他情報

1. 業務用掃除機ロボットの選び方

業務用掃除機ロボットの選定の際は、下記のようなポイントに注意する必要があります。

  • コスト・予算: 総費用に対して見合った効果が得られるか
  • 清掃能力: 清掃範囲の広さや汚れの種類に製品機能が合っているか
  • 操作性: 作業者が容易に操作・管理可能であるか

これらを考慮して、適切な製品を選定することで十分な清掃効果を得ることができます。

本記事は業務用掃除機ロボットを製造・販売する株式会社テナントカンパニージャパン様に監修を頂きました。

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スイーパー

監修:株式会社テナントカンパニージャパン

スイーパーとは

スイーパーとは、「Sweep(スイープ ほうきで掃く)」を語源とした、ブラシでごみや塵を集めて回収する掃除機の機能を備えた床清掃機で、床洗浄機(スクラバー)とは異なり、水は使いません。

また最近では床清掃機のみならず、刈り込んだ芝生をブラシで掃き込み回収する芝生専用のローンスイーパーという機械もあります

スイーパーは、ほうきとちりとりのようにごみをブラシで掃き上げて回収します。作業者が手で押して走行させる歩行型や、人が乗って運転する乗車型と呼ばれる種類があります。工場、建設現場、物流施設、オフィスなど様々なシーンで清掃に活用されている機械です。

スイーパーの使用用途

スイーパーは、床洗浄機(スクラバー)と同様に、様々な業務用清掃に利用されている機械です。主にプラスチックタイルなどのケミカル床カーペット床、コンクリートなどの平坦な床面に堆積した、粉塵、ホコリ、木屑、紙屑をはじめとする様々なゴミ、粉体の回収はもちろん、スクラバーやポリッシャーなどで床洗浄作業を実施する際、床表面に付着しているホコリや砂などで床表面に傷がつくのを防止するために、事前に清掃する場合にも使用されます。

こうした清掃を頻繁に行う事で、施設内の路面上の砂や小石等のゴミを除去するため、運搬車両のスリップやパンクなどの事故防止に貢献する効果もあります。また、フィルターを備えている機種では回収後、機械の内部でホコリやチリをフィルタリングした後に、排気をするので排気も綺麗に保たれ、作業環境をクリーンに保つことが可能です。

主な使用場所の例には下記のようなものがあります。

  • 工場一般、アスファルト合材工場
  • 建設現場、道路工事現場
  • 産業廃棄物中間処理場
  • 倉庫、物流施設
  • 港湾施設
  • テーマパーク、大型展示会場
  • ショッピングセンター、商業施設
  • 大型ビルなどの駐車場
  • 駅、空港
  • 学校、幼稚園、保育園などの教育機関
  • オフィス、事務室

特に、工業用に特化した製品 (インダストリアルスイーパー) は、物流、鉄鋼、金属加工、建設、セメント工場などの粉塵が堆積しやすい環境での清掃に活用可能です。路面上の砂や小石等のゴミを除去するため、運搬車両のスリップや
パンクなどの事故防止に貢献する効果もあります。

スイーパーの原理

スイーパーは、

  • メインブラシでゴミや塵を掃き上げ、ホッパーやダストコンテナなどと呼ばれる回収ボックスに回収する
  • バキューム装置によって吸い上げられた細かい粉塵を高性能フィルターで捕集する
  • 高性能フィルターによってクリーンにされた排気がスイーパーから排出される

という仕組みで清掃を行い、小石からミクロン単位のチリまで回収することができます。またメインブラシのほかに、壁際のゴミを中央に寄せるためのサイドブラシがついており、効率的な清掃が可能です。

回収したゴミがおさまるホッパーの位置がブラシに対して前方にあるものを「ダイレクトスロー方式」といい、ブラシとホッパーとの位置関係が近いため、小さなものから大きなものまで効率よく捕集。大型の産業用スイーパーに多く採用されている方式です。一方、ホッパーがブラシに対して後方にある方式を「オーバースロー方式」といい、捕集効率はダイレクトスロー方式よりは落ちますが、コンパクトなマシン設計が出来るので、商業系施設を中心に使用される機械に採用されています。

スイーパーの選び方

1. スイーパーには、小回りの利きやすい歩行型、大型店舗や倉庫など広範囲の清掃に適した乗車型、自動で床洗浄をおこなうロボット型など多くの種類の製品があります。スイーパーの選定においては、清掃したい汚れの程度、清掃面積、通路幅などの清掃環境などから適切なものを選択することが重要です。面積が狭くても、粉塵が多いのであればホッパー容量にゆとりを持たせる必要がありますし。総面積が大きくても、通路幅が狭い場合は歩行型など小型機種を複数台使うことを考えなくてはなりません。

2. また清掃の頻度と動力源との関係も重要なポイントです。バッテリー式の場合、一般的にその連続稼働時間は2~3時間です。また充電には8~10時間程度要します。一日中、使わなくてはいけないといった場合、環境が許せばエンジン式のモデルも検討に加えてみるのも良いですし、複数台での運用を考える等の工夫も必要です。

歩行型の簡易なものは小型で取り回しが良く、狭い面積のちょっとした清掃に適している反面、ホッパー容量が乗車型と比較して小型になるので、ゴミ捨て作業の頻度は高めです。

3. おおよその目安では、清掃作業面積1万m2あたりで、生産施設の通路の清掃に乗車型スイーパーは1台~2台、ラインの床を掃除する歩行型スイーパーは5台~7台必要とされますが、こうした機械の形態による特長、短所を俯瞰した上で、必要な機種や台数を最適化することが、清掃作業の効率を向上させるカギになります

本記事はスイーパーを製造・販売する株式会社テナントカンパニージャパン様に監修を頂きました。

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床洗浄機(スクラバー)

監修:株式会社テナントカンパニージャパン

床洗浄機 (スクラバー)とは

床洗浄機 (スクラバー) とは、水や洗剤溶液を用いて床をブラシかけし、備え付けのバキュームで汚水回収までを行う機械です。

雑巾やモップで床を拭いたり洗浄したりする手作業と比較してブラシ清掃と同時に汚水回収を行うので床に残水が残ることなく安全に床洗浄作業が行える機械です。

スクラバーの名称は英語のSCRUB (磨く) から由来します。スクラバーは、作業者が手で押して走行させる歩行型や、人が乗って運転する乗車型と呼ばれる種類があります。また最近ではプログラムに沿って自律的に清掃を行う、ロボットタイプも各社から発売されています。清掃面積に応じて利用することで、清掃の効率化が果たせるのはもちろん、機械による洗浄の為、手作業よりも高い洗浄効果が得られます

床洗浄機 (スクラバー) の使用用途

床洗浄機は、様々な業務用洗浄に利用されている機械です。主にビニール、プラスチックタイルなどのケミカル床人造大理石、コーテッドコンクリートなどの平坦な硬質床での使用に適しており、産業用途では、工場施設、倉庫の床などに付着した切削油や、タイヤ痕などの汚れを落とすのにも多く使用されています。

代表的な使用場所には下記のようなものがあります。

  • 物流倉庫
  • 製造工場
  • オフィスビル
  • スーパーマーケット
  • 商業施設、医療施設
  • 駅、空港
  • 学校、幼稚園、保育園
  • 公共スペース

尚、床洗浄機はカーペット床など軟らかい床、不整地、粉塵が多い場所での使用には適していません。粉塵、土砂汚れを除去したい場合は、業務用清掃機(スイーパー)を使用することが必要です。

床洗浄機 (スクラバー) の原理

1. 概要

スクラバーが床を洗浄する基本的な仕組みは下記の通りです。

1.水(または洗剤溶液)を床面に散布する

2. ブラシやパッドが150~200回転/分で回転し、床面の汚れをこすり落とす

3. ブラシ後ろにある備え付けのバキュームで汚水を回収して床面を乾かす

洗浄は水用のタンクに直接投入される場合や、自動投入機能によりブラシヘッドの前部で直接水と混合される場合などがあります。製品によっては、本体内に電解水とナノバブルを生成する装置を備え、これらを洗浄に利用しているものもあります。

2. 構造

床洗浄機 (スクラバー) は、主に

  • 洗浄水を入れる清水(洗浄液)タンク
  • 汚水を回収する汚水タンク
  • 床を擦るブラシヘッド
  • 床面の汚水を回収するスクイージーとバキュームホース
  • 動力源(バッテリー あるいは エンジンが主流)
  • 操作パネル

から構成されています。製品によっては、洗剤の自動投入機能が搭載されているものもあります。各メーカーが発売している大半のスクラバーには車輪がついており、走行しながら洗浄と汚水回収を行います。動力は、マシンの大きさに合わせて歩行型(電源コード式、バッテリー式)、乗車型(バッテリー式、エンジン式)となっているのが主流です。

ブラシヘッドには、円盤状のディスクブラシヘッドや円柱状のローラーブラシヘッドなどの種類があります。ディスクブラシヘッドはブラシ、パッドのどちらでも選択できるのでブラシによる日常洗浄はもちろん、硬いパッドを使用した軽い研磨作業まで対応できるので様々な現場で使用されていますローラーブラシヘッドは、毛先がしっかり凹凸に追従するので溝や凹凸の多い床などには適しています。またローラーブラシを備えた機械の場合、ブラシの後ろにゴミ受けを備えている場合も多く、パレット片など、少量のゴミであれば洗浄と同時に回収が可能です。

床洗浄機 (スクラバー) の選び方

床洗浄機 (スクラバー)には、小回りの利きやすい歩行型、大型店舗や倉庫など広範囲の清掃に適した乗車型、自動で床洗浄をおこなうロボット型など多くの種類の製品があります。スクラバーの選定においては、洗浄したい汚れの程度、洗浄面積、通路幅などの清掃環境などから適切なものを選択することが重要です。

洗浄したい汚れが床にこびりついたひどい汚れであるならば、多少大きくても、ブラシの接地圧が大きいものを選ぶ必要があります。また総面積が大きくても、通路幅が狭い場合は歩行型を複数台使うことを考えなくてはなりません。

また洗浄の頻度と動力源との関係も重要なポイントです。バッテリー式の場合、一般的にその連続稼働時間は2~3時間です。また充電には8~10時間程度要します。一日中、使わなくてはいけないといった場合、環境が許せばエンジン式のモデルも検討に加えてみるのも良いですし、複数台での運用を考える等の工夫も必要です。

歩行型の簡易なものは小型で取り回しが良く、狭い面積のちょっとした洗浄に適している反面、清水タンクが乗車型と比較して小型になるので、水の入れ替え作業の頻度は高めです。

おおよその目安では、清掃作業面積1万m2あたりで、生産施設の通路の清掃に乗車型スクラバーは1台~2台、ラインの床を掃除する歩行型スクラバーは5台~7台必要とされますが、こうした機械の形態による特長、短所を俯瞰した上で、必要な機種や台数を最適化することが、洗浄作業の効率を向上させるカギになります

本記事は床洗浄機 (スクラバー)を製造・販売する株式会社テナントカンパニージャパン様に監修を頂きました。

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転写機

転写機とは

転写機とは、熱や圧力をかけて図案を対象物に転写するための機械です。

衣服などの布地や、ポリエステルコーティングされた陶器製品やプラスチック製品など、様々な製品に図案を移すために用いられる機械です。熱と圧力をかける熱転写機、曲面への転写に適しているロール転写機、エアー式熱転写機などの種類があります。一般的には、昇華インクが用いられ、昇華転写機と呼ばれる場合もあります。

転写機の使用用途

転写機は、主にポリエステルをはじめとする布地への図案転写に適しています。主な用途の例に下記のようなものが挙げられます。

  • 一般衣料 : Tシャツ、トレーナー、ウィンドブレーカー、インナー
  • 衣料小物: 帽子・バッグ、靴、手袋
  • スポーツ用品: ユニフォーム、スポーツウェア、体操服、水着、ゼッケン

また、輪転式転写機などの大型転写に対応している製品を用いることで、

  • アパレル用テキスタイル生地
  • タペストリー
  • 大型のホームテキスタイル (カーテン・シーツ・カバー)
  • のぼり旗、横断幕

などの図案転写も可能です。

また、布地以外にもポリエステルコーティングされた陶器や木材、アルミなどの素材を用いた製品に印刷が可能です。具体的な用途には、下記のようなものがあります。

  • マグカップ、タンブラー
  • ICカード、磁気カード、プラスチックカード
  • 化粧品容器
  • 自動車部品
  • 携帯電話、デジタルカメラ、スマートフォンケース
  • アミューズメント部品
  • 筆記具、文具製品

転写機の原理

転写機は、一旦転写用紙と呼ばれる専用の用紙に昇華型プリンターでイメージを印刷したものを転写用紙から目的の布地に転写を行う仕組みです。転写用紙の印刷には専用の昇華転写インクが用いられ、反転したイメージが印刷されます。この際、転写紙にプリントした段階では、仕上がりの色とは異なる色味です。

印刷の目的物であるポリエステルの布地などに、印刷された転写用紙を当て、プレス機で熱と圧力を加えます。プレスの際、転写用紙の染料インクが気化すると同時に、熱によってポリエステルのポリマー分子の結合が緩み、一時的にすき間ができ、染料インクの気体が入り込みます。このようにして入り込んだインクの分子が繊維のなかに拡散することにより、布地の染色が行われるという仕組みです。

転写機は、複雑な形をした物に対しても転写印刷を行うことが可能です。IDカードの印刷や表面がデコボコした雑貨への印刷にも使用され、Tシャツやユニフォームなど、ファブリック製品の印刷にも汎用される手法です。ただし、例えばマグカップの表面にプリントするための「マグカッププレス機」など、対象によっては商品の形に合わせたヒートプレス機が必要となります。

転写機の種類

転写機には様々な種類の製品があります。一般的な熱プレス転写機は、加熱天板で対象素材と転写紙をプレスして圧着し、転写します。手動で圧力をかけるハンド式や、エアーコンプレッサーで圧力をかけるエアー式などの種類があります。製品によっては、ハンド式であっても温度・プレス時間・圧力をデジタル表示することが可能です。Tシャツなどのウェアをかけやすい様、下台の形状が工夫された製品もあります。最大圧力は、製品によって様々ですが、大型の製品で1000kgfにも達します。

ロール転写機は、ローラーを用いて転写を行う転写機であり、平面の他、円筒や曲面へ装飾することが可能です。平面用と円筒用とに種類が分かれています。真空プレス機は、真空と高熱によって特殊な形状の素材に昇華転写を行うことができる装置です。

輪転式昇華転写機は、転写紙や素材をロール状でセットする転写機です。長尺に対応しており、作業効率が高いため大量プリントも容易です。カーテン・シーツ・カバーや、のぼり旗や横断幕、タペストリーなどの大型製品の転写に用いられます。

それぞれの種類について、大きさなどにも様々な種類があります。用途に合わせて適切なものを選択することが必要です。

アイボルト

アイボルトとは

アイボルトとは、頭部にリングのついたボルトであり、重量のある物を吊り上げる際に取り付けられる吊りボルトのことです。

JIS規格では重要保安部品として取り扱われており、リングの部分が破断したりリングに変形が生じないように保証荷重が定められています。通常のボルトのように部材を締結する目的で使用されるのではなく、リングの部分にワイヤーやチェーンを掛ける為に下の部材に固定する目的で使用されます。アイボルトの「アイ」とは、英語の”eye”であり、リングが丸い目のようであることに由来します。

アイボルトの使用用途

アイボルトの主な使用用途は重量物の吊り上げです。人の手では持ち上げられない筐体や設備などの上面にアイボルトを取り付けて使用されます。リング部にフックや金具、ワイヤーやロープなどを通します。吊り上げに用いられる機材は、クレーンやホイスト、チェーンブロックなどです。

例えば、工場で製造した重量のある制御盤を吊り上げて車両に積み込み、設置場所でもクレーンで吊り上げて搬送と設置を行う、という用途例などがあります。

また、アイボルトにチェーンなどを繋げる為に部材側に取り付けられる場合もあります。この場合のアイボルトはものを吊る為ではなくチェーン等を繋げる為に取り付けるので保証荷重は気にする必要はありません。

アイボルトの原理

1. 概要

アイボルトは、垂直吊りもしくは45度吊りで使用されます。垂直吊りとは、1つのアイボルトで真上に吊り上げる吊り上げです。

45度吊りとは、2つのアイボルトを1つのクレーンなどで吊り上げる (1つのアイボルトにかかる紐などが45度になる) 吊り方です。この際、リングの向きが同一平面内 (2個のアイボルトの軸を含む平面から5度以上傾いてはならない) におさまっている必要があります。尚、JIS規格では、45度吊りの使用荷重を規定していますが、安全性の上では、曲げモーメン
トが小さくなる60度以上の角度で吊り上げることが好ましいとされます。

尚、1つの吊り荷に複数のアイボルトを使用した場合でも使用荷重は1個のアイボルトを使用する場合と同じとなります。これは、すべてのボルトに均等の荷重がかかるとは限らないためであり、運搬の過程で1つのアイボルトに全荷重がかかる場合も考えられるためです。

2. 使用上の注意

アイボルトは、ねじの軸に対して縦の方向に荷重をかけるように設計されています。そのため、対象物の側面にアイボルトを取り付けての横吊りや引き起こしは大変危険であり、禁止されています。

また、アイボルトは必ず手で回して取り付けることがJIS規格で定められています。リング部にパイプなどを通して締め付ける締め付け方は破損の原因になる可能性があり、禁止されています。座面と対象物は密着させる必要があります。これは、着座面が対象物から離れると、吊り上げ・吊り下げ・移動の際に、曲げモーメントやせん断力が加わり、変形や破断の原因となる恐れがあるためです。

アイボルトの種類

アイボルトは、様々な呼び径 (サイズ) の製品があります。各呼び径に応じて吊り上げることのできる使用荷重が決まっています。例えば100㎏の重量物に対して使用する場合にはM10以上のサイズが必要です。

アイボルトはおねじ類と異なり、1つの呼び径に対してねじ部の長さの種類は、標準と足長と呼ばれる2種類のみです。これは、一般的なボルト類は頭部とナットで部材を挟んで締結する用途で用いられる (様々な部材の厚みに対応するため様々な長さがある) のに対して、アイボルトは部材の上面に固定して吊り上げるため、長さのバリエーションを必要としないためです。

2. 回転アイボルト

回転アイボルトとは、アイボルトの一種であり、リング部分が回転するようになっています。通常のJISアイボルトでは危険を伴う荷重時の横吊、反転、引起しが可能です。また、JISアイボルトよりも使用荷重が大きい傾向にあります。

流量計校正

流量計校正とは

流量計校正とは、測定の不確かさを特定して必要に応じて調整を行い、測定から出力についての機能が正しく行われているかどうかを確認する作業です。

流量の測定に使用される機器の出力と、基準となる流量計の出力との比較を行うことにより、機器の出力を調整します。様々な種類の流量計の校正に対応しています。

流量計校正の使用用途

流量計校正は、計測器の性能の最適化と、製品やサービスの品質を担保するために重要な製品です。主に下記のような目的で行われます。

  • 精度の維持と信頼性の向上
  • 国際基準への準拠した品質管理の一環
  • 事故や品質リスクの軽減

不正確な流量計は、生産プロセスにおける流量の不足または過剰を引き起こし、事故や品質問題につながる可能性があります。定期的な校正をすることで、このようなリスクを避け、安定した生産プロセスの維持が可能です。また、ISO 9001に準拠する企業は、流量計の校正記録を品質監査の際の証拠として提出することが一般的です。このように、流量計校正は、品質管理の一環として重要となっています。

流量計校正の原理

1. 流量計校正の方法

流量計校正の代表的な方法には、マスターメーターを利用する方法があります。国際標準に準拠したマスターメーターを基準として校正対象の流量計の不確かさを比較・評価します。不確かさとは、ばらつきを特徴づけるパラメータで、ある確率で真の値が存在するであろうと考えられる範囲を表すものです。例えば、k=2 約95%の信頼の水準で、不確かさが±0.1%である場合、測定値から±0.1%の幅の中に、真の値が、約95%の確率で存在するということを表しています。この方法は、実際の運用環境に近い条件で実施されるため、高精度での校正が可能です。

また、気体流量計の校正などでは、グラビメトリック式の参照用標準器とラミナフロー式の常用標準器などが使用されます。予め質量が測定された気体ボトルを用い、消費される気体の質量を測定して単位時間あたりの質量流量を定義します。

2. 流量計校正の流れ

流量計校正は下記のような流れで行われます。

  1. 準備: 校正設備の事前点検を行い、校正対象機器を校正設備に取り付けます。
  2. 試験: 実流量による校正試験を行います。
  3. 校正: メーカーより提示されている校正表に基づき、調整ギアの選定、調整作業を行います。
  4. 校正後のデータ収集: 校正結果を確認するため、再度校正試験を実施し、データが基準値に入らない場合、再度校正作業を行います。
  5. 校正記録・報告書作成: 流量計校正で行われた作業、結果値を記録し、報告書を作成します。

流量計校正の種類

1. 認定基準と計量計測トレーサビリティ

流量計校正の認定の一つに、JCSS認定があります。JCSS認定とは、計量器を校正する事業所の技術能力や計量計測トレーサビリティ、品質管理の認定制度です。国際規格であるISO/IEC17025に従って運営され、認定機関である独立行政法人製品評価技術基盤機構の認定センターが審査・認定します。

JCSS校正事業者による校正は、JCSS標章付校正証明書を発行することが可能です。更に、JCSS校正事業者の中で、国際MRA対応認定事業者として認定されると、国際的にも通用するJCSS認定シンボル付の校正証明書を発行することができます。

2. 現地校正と校正設備での校正

流量計校正には、使用している場所で行う現地校正 (オンサイトキャリブレーション) と、校正設備での校正とがあります。現地校正では、より使用環境に近い状態で校正を行うことができ、輸送のための手間が省け、より短時間での校正が可能です。

一方、試験所などの校正施設では、よりシステム化されており、効率的な校正ができる場合があります。質量法・体積法・比較法など、流量計に合わせて、試験方法を選択することが可能です。また、半導体機器や宇宙関連、医療機器などに使用される流量計は、校正環境においても高い清浄度が要求されるため、クリーンルームなどを校正施設に備えている場合もあります。

3. 対応流量計の種類

流量計校正では、提供企業にもよりますが、様々な流量計の校正に対応しています。主なものには下記のようなものがあります。

  • 電磁流量計
  • 超音波流量計
  • コリオリ式質量流量計
  • 面積式流量計
  • 容積流量計
  • タービン流量計
  • 差圧式流量計
  • 気体流量計
  • 湿式ガスメータ
  • マスフローメータ
  • マスフローコントローラ

マグネットカップリング

マグネットカップリングとは

マグネットカップリングとは、磁石の吸引・反発を利用した仕組みのカップリングです。

磁気継手、磁気カップリングと呼ばれる場合もあります。偏心・偏角の許容値が大きく、着脱が簡単であるという特徴があります。磁力による非接触式動力伝達のため隔壁伝達によって液漏れを防ぐような用途も可能です。メカニカルギアで発生する振動音を軽減することができるというメリットもあります。

マグネットカップリングの使用用途

マグネットカップリングは、

  • 液漏れ・空気漏れを防止するためにシーリングを無くして隔壁越しで回転を伝達する
  • 清潔性を保つなどの目的により部品の取り外し・メンテナンスを頻繁に行う
  • 通常のカップリングよりも振動・音を軽減する

などの用途において使用されることの多いカップリングです。使用される主な製品等には下記のようなものがあります。

  • クリーンルーム
  • 食品撹拌機をはじめとする食品機械
  • マグネットポンプ (化学液や食品の撹拌、循環) 
  • 真空ポンプ
  • 真空装置内へのトルク伝達

特に、ポンプ類では、浄水場などで使用される消毒用の次亜塩素酸ソーダや、各種化学薬品などの危険液や腐食性の高い液体を移送する場合に、液漏れの無いマグネットカップリングが有効活用されています。

マグネットカップリングの原理

1. 概要

マグネットカップリングは、基本的永久磁石が使用され、N極とS極を交互に着磁させた多極構造になっています。 この構造により異極同士の吸引と同極同士の反発を利用して回転伝達が可能です。非接触での回転伝達が可能であることから、水槽や真空装置などの非磁性体隔壁越しの回転伝達などに使用されます。

接合部分の接触が無いので、磨耗による発塵が無く、クリーン環境での使用が可能です。また、非接触であることから静音性も高くなっています。脱着が容易であることから、食品など清潔性が高く頻繁なメンテナンスが必要な用途にも適しています。

2. 使用上の注意

マグネットカップリングの使用にあたって、いくつか注意するべき点があります。

1つ目は、脱調現象です。磁力によって予め設計された伝達トルクを超えると、駆動マグネットと従動マグネットが同期しなくなり、動力伝達ができなくなります。この現象を脱調現象と呼びます。

移送液の粘度と温度も注意が必要です。粘度が高すぎると、内輪表面に移送液の粘性摩擦トルクが発生し、伝達動力が低下してしまいます。また、高温環境下では磁力が落ち、伝達動力が低下してしまうため適正温度で使用することが必要です。また、各種部品の許容圧力を超えないよう使用する必要があります。

3.ベアリング

マグネットカップリングの外輪側は、モーターの軸受を利用するなど、一般的な軸受が使用されます。一方、液中に浸漬する内輪側は、受ける荷重方向によりラジアルベアリング、スラストベアリングと呼ばれる軸受を設けます。

薬品などを移送液とする場合は、軸受にもエンジニアリングプラスチック、セラミックスなどの高い耐食性をもつ材質が使用されます。用途によりさまざまな材料が使用されますが、経年的に摩耗や化学変化を受けるため、定期的なメンテナンスが必要です。

マグネットカップリングの種類

マグネットカップリングには様々な製品があります。磁石の配置には、ディスクタイプやスラスト軽減タイプ、イン・アウトタイプなどがあり、8極の場合や12極の場合などがあります。

大きさや、伝達トルクにも様々な種類があり、用途にあったものを選択することが必要です。動作には通常の突き合わせ軸タイプの他、円筒平行軸タイプ、直交マイタタイプなどの種類があります。マグネットを樹脂や、ステンレスのケースに入れて埋め込み、密封したものは、水中や薬液中、または高真空中などでの利用が可能です。選定の際には前述の通り最大トルクなどに注意して、用途に合った適切な製品を選択することが必要です。

フッ素系洗浄機

フッ素系洗浄機とは

フッ素系洗浄機とは、フッ素系洗浄剤を用いて工業洗浄を行う装置です。

フッ素系洗浄剤は、油分の溶解性が高く、油汚れなどの洗浄に適しています。精密洗浄や光学部品、プラスチック、プリント基板などの洗浄に使用されます。

フッ素系洗浄機の使用用途

1. 概要

フッ素系洗浄機は様々な工業製品の洗浄に使用されます。フッ素系洗浄剤は、金属部品を腐食させることなく、プラスチック部品へのダメージも少ない洗浄剤です。主な用途には下記のようなものがあります。

  • 精密部品の除塵洗浄
  • 水や炭化水素洗浄剤の置換・リンス・乾燥
  • 金属切削加工・プレス加工部品の脱脂洗浄
  • 電子部品、プリント基板のフラックス洗浄
  • プラスチック、ゴム部品洗浄

2. フッ素系洗浄が行われる主な製品・部品

フッ素系洗浄が行われる主な製品・部品には下記のようなものがあります。

  • カメラモジュール部品、光学レンズ
  • 自動車部品、モーター部品、ベアリング
  • 航空機関連部品
  • リレー、コネクター
  • 半導体製造装置部品
  • 電気、電子部品
  • 医療用品 (注射針、中空糸、カテーテル等) 
  • HDD部品

フッ素系洗浄機の原理

フッ素系洗浄機は、蒸気洗浄や真空洗浄、超音波洗浄などにより、フッ素系洗浄剤を用いて洗浄を行います。フッ素系洗浄の特徴には下記のようなものがあります。

  • 不燃性で毒性が低いため安全性が高い
  • 比熱、蒸発潜熱が小さくエネルギー負荷が少ない
  • フッ素系混合溶剤を用いることで油分溶解力が強くなる一方で、製品に対する溶解力が弱い
  • 低温で乾燥でき、樹脂系部品にも利用可能
  • 速乾性が高く、水系等に比べて乾燥時間を短縮できる
  • 表面張力が小さく浸透性が良い
  • 蒸留再生が可能であり、洗浄剤を再生することができる

フッ素系洗浄剤は50~60度で沸騰するため、比熱、蒸発潜熱が低い性質があり、エネルギー消費を抑えることができます。また、他の有機溶剤と異なり不燃性であり、PRTR法、消防法、有機溶剤中毒予防規則となどの主な法令にも該当しないため、安全管理が容易です。

一方でフッ素系洗浄剤には、比較的高価であり、洗浄剤の消費量が多いという特徴もあります。これらの点をカバーするために、多くのフッ素系洗浄機では、密閉により溶剤蒸発を防いだり、蒸留再生によって洗浄剤の回収を行ったりする仕組みが取り入れられています。

フッ素系洗浄機の種類

フッ素系洗浄機には、主に超音波洗浄機、蒸気洗浄機や真空洗浄機、などの種類があります。それぞれの特徴を理解して剪定することが必要です。

1. 超音波洗浄機

超音波洗浄機は、フッ素系洗浄剤で満たした浸漬槽の中に被洗浄物を入れ、超音波を発生させてその波動を利用して汚れを除去する洗浄機です。

超音波洗浄機の効果の1つにキャビテーション効果があります。キャビテーションは液体中の空洞や気泡が急速に生成・収縮する現象です。これにより、気泡の収縮や崩壊が汚れの表面で発生し、物理的な力が働いて汚れを剥がしたり、細かな隙間に浸透したりします。

2. 蒸気洗浄機

蒸気洗浄機は、洗浄に用いるフッ素系洗浄剤を加熱沸騰して蒸気を発生させ、その蒸気に被洗浄物をさらすことで洗浄を行う機械です。超音波洗浄と併用されている機器も多く、超音波蒸気洗浄機と呼ばれる場合もあります。

蒸気洗浄→浸漬超音波洗浄→蒸気リンス→乾燥、もしくは、浸漬超音波洗浄→蒸気洗浄→蒸気リンス→乾燥の順で洗浄が行われます。多くの機器では、蒸発した洗浄剤を冷却によって回収し、浸漬槽へ戻す仕組みによって効率的な洗浄剤使用が可能です。

3. 真空洗浄機

真空洗浄機とは、洗浄槽が真空になる洗浄機です。真空により、フッ素洗浄剤中の空気が抜けることで超音波が効きやすくなり、高い洗浄力が発揮されます。密閉式となることから、開放型洗浄機に比べて揮発による洗浄剤ロスも抑えられます。

洗浄に使用したフッ素洗浄剤は蒸留再生機で汚れと溶剤を分離し、回収して再利用することが可能です。