乾燥炉とは
乾燥炉とは、水分や塗料、溶媒などを乾燥させるために用いられる加熱装置の一種です。
使用されている熱源には様々な種類があります。電気式の乾燥炉で利用される主な熱源は、セラミックヒーター、遠赤外線ヒーター、近赤外線ヒーター、波長制御ヒーターなどです。燃焼式では、都市ガスや、液体燃料、気体燃料などを燃焼させて熱を発生させるものが主流です。装置によって、主に輻射熱を照射させて熱を加える場合と、熱風による加熱を行う場合とに分かれます。電磁誘導によって直接ワークに熱を生じさせる仕組みが用いられている製品もあります。温度帯は低温から高温まで様々であり、用途によって適切なものを選定することが可能です。連続運転式、バッチ式などの運転方式の種類があります。
製品による付帯機能には、搬送装置、脱臭機能付きなどがあります。様々な業種で利用されていますが、塗装関係で利用される乾燥炉の場合、特に塗装前処理ラインで利用する製品を水切乾燥炉、塗装ラインで利用する製品を焼付乾燥炉と呼ぶ場合があります。
乾燥炉の使用用途
1. 塗装
各種工業生産で利用される熱硬化型塗料や二液性塗料は、温度・時間を適切に制御した加熱によって乾燥させることが必要です。このような利用シーンにおいて乾燥炉は盛んに利用されています。印刷塗装業の他、電化製品や自動車で利用される樹脂部品の塗装乾燥、自動車車体の塗装乾燥工程などでも利用されることが多いです。このような用途では、樹脂部品の変形温度付近での焼き付け乾燥が必要となる場合も多く、正確な温度・時間の制御を目的として乾燥炉が利用されます。
2. 工業
塗装の乾燥以外では、樹脂のアニーリング、各種素材の硬化など、加熱を必要とする様々な工業シーンで乾燥炉が利用されています。例えば、化学関連ではプラスチック原料や樹脂レンズ、機能性フィルムなどの加熱乾燥が中心です。電子部品や電池材料、セラミックス、半導体装置部品の分野では、リチウムイオン二次電池材料、全固体電池、電解セル、などの乾燥が用途として挙げられます。その他、食器、タイル、瓦など所謂オールドセラミックスと呼ばれる素材でも乾燥炉を用いた乾燥が可能です。
3. 食品・医薬品・化成品
乾燥炉は、食品業界では、野菜や果物、魚の干物、ビーフジャーキー、ナッツ類、香辛料、お茶など、様々な食材を乾燥させて製品化する用途で用いられています。医薬品製造における乾燥炉の主な役割は、原薬を乾燥させて薬剤の結晶化・凝固を促進することです。
また、医薬品製造の類似分野として、化成品 (化学品) 製造があります。樹脂や化学肥料、繊維状材料、凝集性材料、チクソトロピック剤などの製造工程では、乾燥炉を用いた乾燥が行われています。製品に含まれている水分を乾燥炉で蒸発させ、乾燥させることで、品質の安定化を図ることが可能です。