繊維補強コンクリート

監修:株式会社ウエスコットイースト

繊維補強コンクリートとは

繊維補強コンクリートとは、合成繊維などの繊維素材を混和してコンクリートの靭性を高めた複合材料です。

コンクリートは、圧縮には強い素材であるものの、引っ張る力には弱く、延性に極めて乏しいという特性があります。加えて、コンクリートは硬化の進行や乾燥などにより体積が収縮する素材であるため、変形が生じてひび割れが起こりやすいです。コンクリートに繊維を練り混ぜた繊維補強コンクリートは、繊維の靭性によってひび割れの拡大を防ぎ、ひいてはそれによって生じうる構造物の崩壊を防ぐことが可能です。使用される繊維には、鋼繊維、ガラス繊維、炭素繊維、有機系繊維などがあります。例えば鋼繊維の場合は、長さ数mmから十数mmの短繊維としてコンクリートに混ぜ込まれます。

繊維補強コンクリートの使用用途

繊維補強コンクリートは、コンクリートのひび割れ防止、耐久性向上、建築物・構造物の崩壊防止のために使用されています。土木・建築に幅広く使用されており、各種のコンクリート剥離防止対策、既存の構造物の補修や、新規建造物の素材など様々な場面で利用可能です。

主な用途例には下記のようなものがあります。

  • トンネル (吹付・覆工)
  • シールドトンネル (セグメント)
  • 橋脚、橋梁
  • 道路の舗装 (鋼床版補強・床版増厚など)
  • 建築物の土間コンクリート
  • コンクリート二次製品
  • 高性能耐震部材 (耐震壁など)

繊維補強コンクリートの原理

繊維補強コンクリートは、コンクリート中に、短繊維を一様に分散させて製造します。繊維がコンクリート中に一様に分散することによって強度が高められる仕組みです。下記は繊維を混ぜ込むことによって向上するパラメータの代表的な例です。

  • 引張強度
  • 剪断強度
  • 曲げ強度
  • ひび割れに対する抵抗性
  • 靭性

使用される繊維には、金属等の無機材料または合成樹脂等の有機材料を原料とした様々な種類があり、一般的に数mmから十数mmの長さの短繊維が用いられます。

繊維補強コンクリートが性能を正しく発揮するためには、製造段階において正確な計量と十分な混和が必要です。通常のコンクリートよりも粘性が 高いため、オムニミキサ、ホバートミキサ、強制練りミキサなど、練混ぜ性能・効率の高いミキサが使用されます。

繊維補強コンクリートの種類

繊維補強コンクリートで使用される繊維の種類には、鋼繊維、ガラス繊維、炭素繊維、有機系繊維などがあり、それぞれ違った特性を持ちます。繊維の長さは切断などによって任意に加工できますが、太さは素材の製造工程によって決まり、強度に影響を及ぼします。

また、引張強度、比重、破断時伸び率やコストなども繊維の種類によって様々です。

1. 鋼繊維

繊維補強コンクリートに使用される鋼繊維は、主にカットワイヤーが使用されます。カットワイヤーとは、伸線された鋼線を、圧延や引抜きにより所定の長さに切断したものです。一般的に、直径0.2~0.5mm、長さは10~60 mm程度の寸法の繊維が使用されます。スチールファイバーとも呼ばれています。

鋼繊維は鋼線を切断しているので形状寸法が安定しており、引張強度も比較的高いことが特徴です。

2. ガラス繊維

耐アルカリガラス繊維も繊維補強コンクリートに使用される素材です。ジルコニアが16%前後含有される場合が多く、ガラス繊維を含有する繊維補強コンクリートは、特に「ガラス繊維強化コンクリート (GRC) 」と呼ばれます。軽量、表面が緻密で加工性に優れているなどの特徴から、特に建築における装飾目的の構造物やファサードなどに使用される場合が多いです。

3. 炭素繊維

繊維補強コンクリートで使用される炭素繊維には、PAN系とピッチ系があります。PAN系は、ポリアクリロニトリル (英: Polyacrylonitrile, PAN) を原料とし、1000℃以上で焼かれて炭素繊維となったものです。ピッチ系とは、石炭ピッチを精製・重合して製造された炭素繊維です。炭素繊維の特徴として、軽い (鉄の1/4の比重)、強い (鉄の 10 倍の引張強度) 錆びない、腐食しないなどの特性が挙げられます。

4. 有機系繊維

有機系繊維としては、様々な合成ポリマーが用いられます主な種類には下記のようなものがあります。

  • PVA繊維
  • ポリエチレン繊維
  • ポリプロピレン繊維
  • ナイロン繊維
  • ビニロン繊維
  • アクリル繊維
  • PBO繊維

有機系繊維は、密度が小さく軽量です。特に、コンクリートと混和した際に流動性への影響を与えにくいことが特徴です。特にポリエチレン繊維などは、耐疲労性、耐衝撃性にも優れ、耐薬品性、耐水性、耐光性の点でも高い性能を持ちます。

本記事は繊維補強コンクリートを製造・販売する株式会社ウエスコットイースト様に監修を頂きました。

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高性能空気清浄機

高性能空気清浄機とは

高性能空気清浄機とは、主に業務用で使用され、様々な業務環境の清浄化を行う空気清浄機です。

通常の空気清浄機で除去されるほこりやウイルスなどのほかに、業務で発生する粉塵やVOC (揮発性有機化合物) なども除去することが可能です。産業シーンにおいては、通常より高いレベルでの安全性作業環境を保ち、きれいな空気、清潔さが求められるシーンや、業務に伴って発生するVOCなどの汚染物質の除去が必要となるシーン、特に密閉な空間の空気清浄が必要となるシーンなどが有ります。高性能空気清浄機は、高性能な活性炭フィルターや殺菌灯、光触媒や強力ファンなどを搭載しており、このような業務用シーンで多く活用されています。

高性能空気清浄機の使用用途

高性能空気清浄機は、主に下記のような場面で使用されます。

  • 業務上、通常よりも強力かつ高いレベルの集塵、揮発性有機溶剤吸着する機能が必要とされる用途
  • 業務上で発生しうる有害物質を清浄化する必要がある用途

1. 高性能な集塵機能

高性能空気清浄機の用途の1つは、通常より高性能な集塵機能により、クリーン環境を作り出すことです。特に精密機器、食品、医療用品などを製造する工場では、製品への微小な粉塵の混入を抑止することが必要であり、清浄化レベルの高い空気清浄機が使用されます。

作業員の安全を確保するため、また生産ラインにロット番号を印刷するインクジェックプリンターとレーザーマーカーから排出される微細な粉塵やVOCを吸着するために常時に使われます。また、不特定多数の人が出入りする空間や、細菌・ウイルス対策等が必要な業務シーンなどにおける、利用者の健康増進も高機能空気清浄機の目的の1つです。利用されている具体的な施設には下記のようなものがあります。

  • 飲食店・商業施設
  • 病院、薬局などの医療機関
  • 学校・保育園・幼稚園などの教育機関
  • ホテル
  • 介護・福祉施設
  • ペットショップ

2. 有害物質・汚染物質の除去

インクや各種溶剤などに含まれるメチルエチルケトン(MEK)やアセトンなどは、揮発性有機溶剤 (有機溶剤化合物、VOC) と呼ばれ、頭痛、目眩、呼吸器官への刺激、吐き気などの健康被害の原因物質です。VOCは規制対象となっており、例えば、MEKの場合、労働安全衛生法第65条の2第2項に基づく作業環境評価基準では200ppm以下と定められています。

高性能空気清浄機は、こうしたVOCの他、溶接に伴って発生するヒューム、切削に伴うオイルミスト、研磨に伴って発生する粉塵などを空気中より除去する目的で使用される製品です。大掛かりな設置工事が必要である局所排気設備の代わりに設置される場合もあります。

下記は主な使用施設の例です。

  • 生産工場の生産ライン(洗浄工程・接着工程)、作業現場、研究室
  • 塗装工場
  • 切削・溶接・研磨・はんだ付けなどを行う金属加工業や各種製造業
  • 印刷業
  • ネイルサロン

高性能空気清浄機の原理

一般的な空気清浄機の仕組みはファンにより強制的に空気を吸い込み、フィルタを通すことで空気を清浄化するというものです。

高性能空気清浄機も基本的に同様の仕組みですが、吸引力が強く、フィルタなどの浄化機能がより高機能になっています。製品によっては、安全面対策、警報、移動可能などの機能があり、処理される有機溶剤や物質によっては、活性炭を特殊な処理を行ったフィルターを採用している場合があります。また、家庭用の空気清浄機に比べて、強力なファンが内蔵されている場合が多いです。

1. フィルター

高性能空気清浄機では、HEPAフィルターが主に使用されます。HEPAフィルターの名称は、High Efficiency Particulate Airの頭文字を取っており、空気中の微粒子を捕捉することができるエアフィルターです。JIS規格の定義では、「定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率を有しており、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルター」とされます。

高性能空気清浄機で使用されるHEPAフィルターは、繊維による吸着濾過だけでなく、特殊処理された活性炭フィルターの併用により、更に効果が高められている場合が多いです。活性炭フィルターには、一般的なフィルターに比べて特にVOCを吸着する効果を持ちます。

2. 殺菌・分解

高性能空気清浄機には、空気中の細菌やVOCなどの汚染物質の分解機能として、酸化チタン光触媒、冷陰極管紫外線ランプ、深紫外線LEDなどが備えられている場合があります。

光触媒は、VOCをはじめとする化学物質や各種の有害物質を分解する働きを持ち、紫外線灯によって放出される波長254nm付近の紫外線は、細菌やウイルスの除菌効果を持ちます。

高性能空気清浄機の種類

高性能空気清浄機には、用途に応じて様々な製品があります。

主に工場、研究室、洗浄現場に使われる業務用と家庭、公共空間や病院に使われる製品に分けられます。VOC揮発性有機溶剤などの化学物質の除去を主な目的としている製品では、特殊処理した活性炭、HEPAフィルター、汚染物質の化学的吸着・分解が機能の中心に据えられています。公共の空間や病院などにおける、ウイルスや細菌対策をターゲットとしている製品では、除菌・抗菌や飛沫によるエアロゾルの捕集に特に力を入れた機能展開です。

可搬式の通常の小型の空気清浄機の他、壁付けで使用される製品もあります。また、工場におけるオイルミストの除去を目的とする製品では、吊り下げ型で床面から3m程度の高さに設置します。特に工業用製品では局所型や広域型、工作機械などに直接連結する直結型などの種類があり、用途に合わせて選定することが重要です。

予防保全

監修:中山水熱工業株式会社

予防保全とは

予防保全とは、設備保全の一種で、設備等に致命的な不具合が起きる前に、予め決まったサイクルで点検や修理などを行うサービスです。

保全 (maintenance) は、設備や機器を健全 (使用可能) な状態で維持・管理する活動のことで、その形態は、大きく、事後保全 (corrective maintenance=修復的保全) と予防保全 (preventive maintenance=予防的保全) に分類できます。事後保全は、その名のとおり、設備や機器に不具合 (故障) が起き、機能が発揮できなくなってから修理・修復する活動のことであり、予防保全は、設備等に不具合が起きる前に部品交換やその他の手入れ、調整を行い、故障を未然に防ごうとするサービスです。

予防保全の使用用途

予防保全は、突発的な事故や計画外の故障を防止する目的で、様々な産業分野やインフラにおいて活用されている保全方法です。特に、故障や事故が重大な被害に繋がる場合や、突発的な故障によって大きな損害が想定される場合には、事後保全は許容されないため、予防保全の確実な実施が極めて重要となり、次のようなところに利用されます。

  • ビルなど一般建築物の外壁補修
  • 下水道などの管路・各種配管
  • 配線
  • 道路の路面・道路付属物
  • 河川の各種橋梁
  • トンネル
  • ダム
  • 砂防堤防・海岸堤防
  • 港湾
  • 空港・航路標識
  • 土木施設
  • 公園
  • スプリンクラー
  • 火災報知器
  • 無停電電源装置 (UPS)
  • 漏電ブレーカー

また、製造業では、工場における機械や設備の安定した稼働による効率的な生産のために利用されています。具体的な導入事例には、次のものがあります:

  • ベアリングの定期交換
  • 空油圧関係の圧力点検
  • ロボットやチェーンへのグリスアップ
  • ベルト点検
  • 切削工具・プレス機など各種加工機等の点検

このように、予防保全には、前もって点検交換の準備ができるため、効率的な保全活動が実現できることや故障や事故の被害を最小化できるなど、大きなメリットがあります。

一方、本来まだ必要でないタイミングで過剰に点検・交換を行うことになる場合があります。これをオーバーメンテナンスと呼びます。反対に、予防する計画が失敗し、保全前に設備や機器が故障を起こしてしまうことも完全に防ぐことはできません。

予防保全の種類

1.時間基準保全 (TBM)

時間基準保全 (定期保全) とは、カレンダー時間を基準として、保全計画 (保全間隔) を定める予防保全の方法です。TBM (英: Time-based Maintenance) 、カレンダー基準保全 (英: Calendar-based Maintenance) とも呼ばれます。間隔は、過去の故障データや経験則などを参考として決めます。

2.利用基準保全 (UBM) 

利用基準保全 (経時保全) とは、設備の稼働回数や実際の稼働時間を基準として保全作業の実施計画を定める予防保全の方法で、UBM (英: Usage-based Maintenance) とも呼ばれます。回数や時間の管理には、装置の使用記録を利用する場合や、1日当たりの平均使用量・回数を基準にする場合があります。

3. 状態基準保全 (CBM)

状態基準保全は、設備の出す信号を検出し、それが一定の値に達して設備の状態が悪化したと判定したときに修理や交換を行う保全方法で、CBM (英: Condition-based Maintenance) とも呼ばれます。信号の種類やその処理方法はさまざまですが、振動センサ又は加速度センサなどによる振動測定、電流などのアナログ信号を利用し、その波形解析によって状態を監視する方法が一般的です。

なお、最近の保全の分類では、センサの種類やセンシングの間隔 (常時又は定期)、信号処理及び解析方法の違いにより、状態基準保全の細再分類として、予知保全、モニタード保全、オンコンディション保全など、さまざまな名称が用いられる場合がありますが、区別は必ずしも明確ではありません。

本記事は予防保全を提供する中山水熱工業株式会社様に監修を頂きました。

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遮熱マット

監修:株式会社エステック21

遮熱マットとは

遮熱マットとは、放射熱(輻射熱)を反射させて遮る遮熱と、断熱効果を併せ持つ厚手の素材です。

熱の伝わり方には放射・伝導・対流の3種類がありますが、遮熱とは、放射熱 (輻射熱) を遮る効果を指します。遮熱マットは、薄手の遮熱シートとは異なり、熱移動を総合的に抑えることができるので、遮熱シートよりも高い省エネ効果が期待できます。また省エネは、同時に脱炭素(カーボンニュートラル)にも貢献することから、今後更に注目を集めると考えられます。

また対象高温物への直接施工において、熱傷防止できない薄い遮熱シートに対して、遮熱マットでは実表面温度を下げることができるので、熱傷防止効果もあります。

遮熱マットの使用用途と選定注意点

1. 概要

遮熱マットは、主に高温設備からの放射熱と対流熱を遮る目的で使用されます。また、高温設備の外側に使用すると外壁から熱が逃げるのを防ぎ、エネルギー削減と生産性の向上に効果があります。それ以外では、低温配管の結露対策にも用いられます。食品工場、クリーンルームなどの清浄空間の高温設備には、コンタミ防止マットが使用されることが多いです。

2. 高温設備の場合

表面温度が高い、或いは稼働時間が長く、単位表面積当たりの年間放熱ロスが大きい場合は、遮熱シートや断熱のみよりも高い投資効率が得られることが多いです。 選定に当たっては、①求める省エネ性能、②対象物の表面温度の施工前温度と施工後目標値、③施工の容易性、④コンタミネーション(異物混入)を嫌うプロセスか否か、等を総合的に検討して選定します。一般に、断熱材は熱伝導率が低く、厚いほど高性能ですが、その分重く施工はしにくくなります。対策前後の放熱ロスを試算することでその優位性をチェックすることができます。また、④については、特に食品工場や半導体等のクリーンルーム等のコンタミを嫌う場所には、ガラスファイバーに代表されるような綿状断熱材は好ましくなく、代替品としてスポンジ状の断熱材を使った素材もあります。

3. 低温設備の場合

低温設備向けで留意すべきは結露です。結露水が生成付着すると、以下の問題が発生します。
1) 遮熱性能が低下
 薄い遮熱シートではこれが避けれませんので、温度等の条件に応じた素材・厚みの遮熱マットが不可欠です。
2) 断熱材内への水分侵入
 断熱材は、ガラスファイバー等の細い繊維で細分化された空気層で断熱効果を発揮しています。
ここに水分が入れば、その性能が大きく低下することが避けられません。なのでしっかり周囲をシールする必要がありますが、長年の使用で僅かな隙間からも水分混入するケースが見受けられます。これを防止するには、独立気泡タイプの断熱材の使用をお勧めします。

遮熱マットの原理

遮熱マットは、外側の遮熱層と内側の断熱材の相乗効果によって機能を発揮する複合資材です。外側の遮熱層はアルミシート製です。熱を跳ね返し、放射熱をカットします。反射率は95〜97%であることが多いです。

内側の断熱材には、ガラスファイバーや他各種断熱材などが用いられます。例えば熱伝導率は、λ=0.035W/(m・K)前後の素材があります。断熱材の厚さは製品によって異なっており、この厚みの違いがそのまま製品厚みに反映されます。

アルミシートと断熱材とは接着剤で接着され、ガラスメッシュシートなどが間に挟まれているものもあります。

遮熱マットは、こうした厚い断熱材構造の仕組みにより、省エネ効果に加え熱傷防止効果も期待できる資材です。尚、水分の侵入によって断熱性能が低下するため、水気のある場所 では注意が必要です。

遮熱マットの種類

遮熱マットには様々な種類があります。

遮熱層が断熱材の両側に接着されている製品と片側に接着されている製品があります。アルミシートが片側となっている製品では、断熱材側は遮熱アルミ (例: -70〜90℃) よりも高温 (例: 150℃、240℃など) に耐えることが可能です。特に温度の高い高温設備への使用に適しております。

厚み・寸法は使用されている断熱材の種類により、様々な製品があります。

コンタミリスク対策用製品はコンタミリスクへの配慮が必要な食品工場、クリーンルーム等高温設備へ利用されている製品です。断熱材にメメラミンスポンジなどの不燃スポンジを使用し、一般断熱材よりコンタミリスクを抑えることができます。

本記事は遮熱マットを製造・販売する株式会社エステック21様に監修を頂きました。

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見積管理システム

見積管理システムとは

見積管理システムとは、見積書の作成・発行、承認フローを一括で管理し、業務の効率化に貢献するシステムです。

見積もり管理業務では、見積書について、見積内容の情報や承認プロセス・業務フローなどの管理が必要です。ローカルで業務を行った場合、情報の一元化・共有が難しく、情報が断片化・属人化しやすいという特徴がありますが、見積管理システムを利用することで、業務の一本化が可能です。見積書発行時の金額計算や承認フローまでを一本化・効率化することができます。さまざまな機能を持ったシステムが有り、用途・業種等に合ったシステムを選定することが大切です。

見積管理システムの使用用途

見積管理システムは、見積管理業務における下記のような効率化を目的として利用されます。

  • 一元管理の実現
  • 見積もり作成の効率化・ペーパーレス化
  • 業務改善につながる見積もり分析

まず、従来各担当者が個人で管理していた情報を一元化し、リアルタイムで共有することが可能です。これにより、見積規格などの統一を図り、また、業務遂行上さまざまな形で活用できるようになります。承認フローもシステム内で完結するため印刷・押印などのプロセスも効率化が可能です。

また、見積管理システムは、システムから直接見積もり依頼を行うことができるようになっており、関係部署との連携が容易になり、業務効率の改善に有効です。例えば、個々に行っていた、仕入れ値の確認、他営業の見積もりと照らし合わせた相場の確認、在庫管理部門に売り止め指示を出すなどの一連の業務が一括で進行します。また、PDFやブラウザ閲覧などによる見積もりのペーパーレス化も実現します。

また、見積管理システムを利用することで過去の見積もりの成約率や、成約からの利益率なども記録が可能です。過去の見積のデータから、成約に結びつかなかった理由や、利益率が低かった場合の原因を確認できます。

見積管理システムの原理

見積管理システムの主な機能は

  • 作成・発行
  • 承認フロー
  • 保管
  • 商品マスタ・顧客マスタなどのマスタデータの一元管理
  • 帳票管理
  • データ連携・システム連携

です。

作成・発行では、過去の見積書などのテンプレートを読み込んだり、受注内容を取り込んで見積書を自動作成したりすることが可能です。また、AI (人工知能) によって入力ミスなどを指摘するアシスト機能が搭載されている場合もあります。

見積書の確認と承認はシステム内にてオンラインで可能です。従来決裁者の押印を必要としていた承認プロセスも効率化とスピードアップを図ることができます。

見積書の保管はシステム内で自動的に行われます。また、合わせて商品マスタや取引先マスタなどのマスタデータもシステム内で管理されます。

システム連携機能は、外部システムとデータを自動でやり取りする機能です。データを再入力する手間が省くことができる省力化の観点だけでなく、ヒューマンエラーの防止の上でも有効です。CRM (顧客管理システム) やSFA (営業支援ツール) などと連携して使用されます。

見積管理システムの種類

1. 機能面

見積管理システムは、機能面で大きく分けて

  • 見積管理専用型
  • ERP、販売管理システム一体型
  • 業種 (業界) 特化型

の3種類に分類されます。

見積管理専用型は、見積書の作成、発行、管理に特化したシステムです。シンプルな機能のみなので操作性に優れて要ることが特徴です、

ERPや販売管理システムに一体型となっている見積管理システムは、ERP (基幹システム) のモジュールの1つとして見積管理機能が搭載されているシステムです。見積書の作成後、会計処理までを自動化で行ったり、他システムと連携して経理業務などを行うことが可能です。受注から納品までの広範な販売業務に対応したい場合などに適しています。

業種特化型は、特定の業種に必要とされる項目や機能を備えた見積管理システムです。建設業・組立製造・プロセス製造・IT・卸売り・マーケティング・医療業界などの業種に対応した製品があります。機能の例としては、積算見積書 (製造や建築業界などにおける人材や材料、工事費用を考慮した見積) の作成に対応した製品や、参考として相場単価や適性金額を表示する製品などがあります。

2. オンプレミス型・クラウド型

見積もり管理システムには、オンプレミス型とクラウド型の種類があります。

オンプレミス型とは、サーバーやネットワーク機器、ソフトウェアなどのシステムの稼働やインフラの構築を自社で保有して運用する形態です。導入費用は高いものの、セキュリティの安全性が高い点で優れています。

クラウド型は、初期費用が抑えられ、システム構築に手間がかからないという特徴があります。スマートフォンやタブレットの端末などを使用すれば出先でも見積もり作成が可能であるという柔軟性の高さがメリットです。

家庭用太陽光発電システム

監修:株式会社LC-JAPAN

家庭用太陽光発電システムとは

家庭用太陽光発電システム

図1. スレート屋根設置例

家庭用太陽光発電システムとは、一般住宅において太陽電池モジュールで電気を発電し、家庭で利用するシステムです。

太陽光発電は、温室効果ガスである二酸化炭素を出さない発電方法であり、日本において政令で定められている再生可能エネルギーの1つです。家庭用太陽光発電システムは、住宅の屋根などにソーラーパネル (太陽光発電モジュール) を設置し、降り注ぐ太陽光のエネルギーを用いて発電します。

使用する電力を自前で発電できるだけでなく、余った電力を売ることができる、災害時の非常用電源となるなどのメリットもあります。住宅用太陽光発電システムと呼ばれる場合もあります。

家庭用太陽光発電システムの使用用途

家庭用太陽光発電システムは、家庭で使用するための電気を発電するための設備です。副次的な目的も含め、主な使用目的には下記のようなものがあります。

  • 二酸化炭素の排出がない自然エネルギーへの転換
  • 自家発電・自家消費による電気代を節約
  • 余った電気の売電によって収入を得られる
  • 災害・停電時の非常用電源になる

また、自治体などによっては補助金をもらえる場合があったり、オール電化などと組み合わせることで光熱費が安くなる場合もあります。

家庭用太陽光発電システムの原理

1. 基本構成

家庭用太陽光発電システムは、主に

  • 太陽電池モジュール (太陽光パネル)
  • パワーコンディショナー
  • 発電量モニター
  • 分電盤

から構成されます。また、太陽光発電システムと組み合わせて蓄電池が使用される場合もあります。蓄電池を追加することで、発電した電気をためて、夜間の発電休止中に消費したり、夜に貯めた電気を昼に使ってピーク電力を減らしたりすることが可能です。また、蓄電池に電気をためていれば、停電の際に夜でも電気を使うことができます。

家庭用太陽光発電システム

図2. 蓄電池設置例

2. 太陽電池モジュール (太陽光パネル)

太陽電池モジュールは、シリコン半導体を用いて太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換する設備です。構造は、P型シリコン半導体とマイナスを帯びやすいN型シリコン半導体を張り合わせています。接合面を境にN型側に電子 (-)、P型側に正孔 (+) が集まるため、それぞれの電極をつなぐことで電気が流れる仕組みです。

3. パワーコンディショナー(パワコン)

家庭用太陽光発電システム

図3. パワーコンディショナー設置例

パワーコンディショナーとは、太陽電池モジュールで発電した直流電力を、家庭で使える交流電力に変換するための装置です。太陽光発電のシステム制御を行う役割もあります。また、パワーコンディショナーの自立運転機能を用いることで、停電中でも発電した電気を家庭で使うことが可能です。

4. 分電盤・発電量モニタなど

その他、太陽光発電システムの構成には下記のようなものがあります。

  • 分電盤: 家庭で消費する電力の配線に電気を分ける装置
  • 発電量モニタ: 発電量や消費電力量などを表示する装置

家庭用太陽光発電システムの種類

1. 概要

家庭用太陽光発電システムは、様々な事業者より提供されており、複数の種類があります。

太陽光パネルの設置枚数などの規模や、工事費用などは個々の設置ケース・事業者によって異なります。また、事業者別のサービスでは、太陽光パネルコーティング剤の塗布などによる発電効率アップや、蓄電池との一体化システムの構築、施工保証、発電保障、自然災害補償などが挙げられます。

2. 設置方法

設置方法では、屋根置き型・屋根材一体型の2種類が主流です。

屋根置き型とは、屋根材の上に架台を取り付け、その上に太陽電池モジュールを設置する方法です。追尾型架台、ソーラーシェアリング、カーポート架台など、設置場所によっては特殊架台が用いられることもあります。

屋根建材型は、太陽電池モジュールに防火性能と屋根材機能を持たせる方法です。屋根材に組み込んだり、太陽電池モジュール自体を屋根材として使用することが可能です。

本記事は家庭用太陽光発電システムを製造・販売する株式会社LC-JAPAN様に監修を頂きました。

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太陽光発電メンテナンス

監修:株式会社LC-JAPAN

太陽光発電メンテナンスとは

太陽光発電メンテナンスとは、太陽光発電所の保守を目的とした産業用・住宅用太陽光発電システムを構成する太陽光パネルやパワーコンディショナー、周辺機器、キュービクルなど設備一式の点検と、発電所内の雑草管理やパネル洗浄などの作業を指します。

太陽光発電事業者は、長期にわたって安定的に電気を供給することが求められているため、適切に保守点検および維持管理することが重要です。

2017年4月1日に施行された改正FIT法(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法)により、低圧太陽光発電設備(10kW以上50kW未満)の保守・メンテナンスが義務化され、罰則も強化されました。

太陽光発電メンテナンスの重要性

太陽光発電メンテナンス

図1. メンテナンスの様子

太陽光発電システムは、精密な装置や部品が多く組み合わせられています。そのため、発電効率や設備性能の低下を防ぐためには定期的な点検が重要となり、適切な管理がされていない場合、設備の破損や事故に繋がり、それに起因する第三者への被害リスクも高まります。

実際に、放置された雑草やパネル汚れによるホットスポット現象が起こり設備から出火する等の被害事例があります。発電所や周囲の環境の安全性を保つという目的のためにも、発電事業者には適切な管理が求められています。

太陽光発電メンテナンス

図2. パネル火災事故の様子

太陽光発電メンテナンスの種類

1. 概要

太陽光発電のメンテナンスには、「目視点検」と「測定機器を用いた数値測定」の2種類があります。

目視点検では、太陽光パネル表面の汚れ、破損、フレームの破損、ケーブルの接続状態、パワーコンディショナーの動作・状態などを確認します。数値測定による点検では、絶縁抵抗や開放電圧等の電気的な点検項目があります。

太陽光発電メンテナンス

図3. I-Vカーブトレーサーを用いた点検の様子

2. 詳細項目

各パーツの点検・メンテナンスの項目は主に下記のようなものがあります。

  • パネル表面ガラス: 割れ、破損、汚損、雨水侵入の有無
  • パネル裏側や配線: 傷や焦げの有無
  • 架台・配線: 緩みや腐食、著しい汚損の有無
  • 接続箱: 配線のカバーや、配管の端の絶縁シールの損傷有無

特にパワーコンディショナーは下記の項目に気をつけて点検されます。

  • 正常な発電量であるか
  • エラーや警告表示の有無
  • 埃・汚れの有無
  • 異音や異臭の有無
  • 自律運転機能の動作が正常か

必要に応じて清掃や除草を行います。これらの項目については、点検を実施する事業者により、パッケージ化されている場合と、必要なものだけを選択できる場合があります。

太陽光発電メンテナンスの選び方

資源エネルギー庁が収集した太陽光発電設備(10kW以上)の運転維持費のデータでは、中央値で年間0.5万円/kWとされており、太陽光投資で扱われることの多い低圧太陽光発電設備のメンテナンス・保守管理費の相場は15万円~30万円程度となります。メンテナンス・保守管理サービスは様々な事業者により提供されており、それぞれの特色があるため、ニーズに合わせて適切なプランを選定することが必要です。

その他サービス

FITの認定事業者は、「認定を受けた発電所の設置に要した費用の報告(設置費用報告)」及び 「認定発電設備の年間の運転に要した費用の報告(運転費用報告)」を行うことが経済産業省より義務付けられています。期限までに提出がない場合には、認定取り消し等の対象となる可能性があります。

■報告時期
・設置費用報告: 発電設備が運転開始した日から1ヶ月以内。
・運転費用報告: 発電設備が運転開始した月またはその翌月に、毎年1回。

各種報告の代行を委託できる業者もあるため、報告忘れなどが心配な場合はそのような有料サービスを利用することも可能です。

本記事は太陽光発電メンテナンスを提供する株式会社LC-JAPAN様に監修を頂きました。

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ドクターブレード

監修:富士商興株式会社

ドクターブレードとは

ドクターブレードとは、印刷機などにおいて、ドラムや版ロール表面に付着している物質を掻き取るために使用されるスクレーパー状の非常に重要で精密な薄板の刃です。

一般的には印刷・製紙業界での使用が中心ですが、ドラム・ロールを使用する食品製造メーカーやフィルム製造メーカーでも、ロールなどの表面にある異物を除去することに使用される場合があります。ドクターブレードは、金属、セラミック、プラスチック等の材質により製造され、様々な刃先の形状があります。

ドクターブレードの使用用途

ドクターブレードは、主にグラビア印刷機やフレキソ印刷機に搭載され使用される部品です。ドラムや版ロール表面上の余剰インク、グラビア塗工機のグラビアシリンダーに汲み上げられた余剰の塗工液を掻き取ります。

グラビア印刷、アニロックスロール、フレキソ印刷および、各種コーティングなどで使用されています。

また、それ以外の分野では、ロールやドラムを使用する食品製造メーカーやフィルム製造メーカーにおいて、表面上の異物を取り除くために使用されます。

ドクターブレードの原理

ドクターブレードは、金属、セラミック、プラスチック等の材質により製造されている精密部品です。ドクターブレードの役割は、ドラムや版ロール表面に付着している、余分なインクなどの物質を掻き取ることです。凹版の彫刻ロールに直接当て、凹部に乗らなかった余分なインクを掻き取るなどの役割を果たします。

使用時には、規定のサイズに切断し、印刷機等のドクターホルダーと呼ばれる装置に取り付け、ボルトなどで固定します。

例えば、印刷機では、ドクターブレードの働きにより

  • インクフィルムの厚さ
  • 色の一貫性
  • インク消費量
  • 清掃コスト

が改善し、印刷品質が向上します。また、色の変更を迅速に行うことも可能です。

ドクターブレードの種類

ドクターブレードには刃の形状、材質など、様々な製品があります。用途に合わせて適切なものが選択されます。掻き取る対象が多岐にわたること、現場オペレーターが培ったノウハウや独自技術も様々であることから、カスタマイズした仕様のドクターブレードを活用する印刷会社や塗工メーカーが多くなっています。

1. 刃先形状

刃先形状には、大きく分けて

  • 平行刃
  • 傾斜刃
  • ストレート刃

があります。

平行刃タイプは、刃先先端を薄く平坦に加工したドクターブレードです。「ラメラ」「二段刃」「段付き」とも称されます。刃先が薄くしなやかであるという特徴があり、強い圧をかけなくともインキ切れが良いブレードです。また、微細な衝撃を吸収して印刷不良を軽減することもできます。刃が摩耗しても刃角が変わりにくく耐久性・安定性に優れています。全体の素材厚や刃先厚にもさまざまなものがあり、用途に合わせて選択されます。

傾斜刃タイプは刃先先端から角度を付けた刃です。「ステーブル」、「テーパー刃」「三角刃」とも称されます。平行刃に比べて圧力をかけたときのコシがあるため、強く圧をかけて掻き取りをすることに適しています。ただし、強い圧をかけることで刃が摩耗しやすく、摩耗すると版への接触面積が増えるため、定期的な調整が必要です。平行刃と同様に傾斜刃にも全体の素材厚や刃先厚にさまざまなものがあり、用途に合わせて選択されます。

ストレート刃タイプは、刃先が細くならない刃です。主に特殊な塗工用途で使用されます。摩耗すると傾斜刃タイプと同様に、版への接触面積が増えるため、定期的な調整が必要です。

2. 材質

ドクターブレードは、主に金属、セラミック、プラスチックで製造されています。

金属は、主にスチール、SUSなどです。セラミックメッキ加工などの表面加工を施すことも可能です。メッキ加工により、印刷不良の軽減、耐摩耗性、バリの抑制、長寿命化などの効果が期待されます。

プラスチックの主な種類は、

  • ポリエステル樹脂(PET)
  • ポリアセタール系樹脂(POM)
  • 超高分子量ポリエチレン(PET)

などです。これらの素材はニーズに応じて、硬さ、耐クリープ性、耐摩耗性の観点で選択されます。

プラスチック製ドクターブレードを使用するメリットは次のようなものがあります。

  • 安全性が高く、ロールを傷つけないにくい
  • 切創事故のリスク軽減

本記事はドクターブレードを製造・販売する富士商興株式会社様に監修を頂きました。

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石英ガラス加工

監修:高洋電機株式会社

石英ガラス加工とは

石英ガラス加工とは、光透過性や耐食性・耐熱性に優れており様々な産業用途に使用されている石英ガラスを加工して製品製造を行う技術です。

石英ガラスは、SiO2 (二酸化ケイ素) を99.99%含有した、不純物の非常に少ないガラスです。半導体製造プロセスや光学部品などの産業用途に広く使われています。同じく硬質素材であるセラミックスよりも一般的に大型な素材の製造が可能で、素材費、加工費ともに安価になることが多い素材です。その熱的な特性や耐薬品性を利用しての用途に多く使われています。

石英ガラス加工の使用用途

石英ガラスは、

  • 耐熱性
  • 化学的耐食性
  • 光透過性

などに優れていることから、照明用、光学用、理化学用、半導体工業用液晶用、光ファイバ用など多様な用途で使用されています。例えば、石英ボートは、半導体製造プロセス反応炉内でウエハー保持に使用されます。

石英ガラス加工によって作られる石英加工品には主に下記のようなものがあります。

  • 石英るつぼ 
  • 石英管
  • 石英プレート
  • 石英ボート
  • 炉心管
  • 試料管・アンプル管

その他、石英ガラス加工によって製造される産業部品・部材の特徴には下記のようなものがあります。

  • 高温下、急加熱、急冷に曝される部品
  • 窓部材
  • 薬品用容器、薬品経路部品
  • 反応性雰囲気下や、プラズマ雰囲気下で使用する部品
  • 半導体製造装置など
  • 汚染を嫌う分野での部品
  • ミラーなど素材欠陥を嫌う部品

石英ガラス加工の原理

石英ガラス加工は、石英ガラスを様々な形状へと加工する加工技術です。切削加工、切断加工、研磨加工、火炎加工などを組み合わせて造形を行います。

石英ガラス加工は

  • 硬度と脆弱性という石英ガラスの性質
  • 使用環境・製品による要求精度が厳しい
  • 複雑な形状の製品が多い
  • 高温下での失透

などの理由により、加工が難しいと言われています。

石英ガラスは、主成分である酸化ケイ素の結晶性により、硬いが壊れやすい、硬脆材料と呼ばれる材質です。また、理化学製品やランプ、レンズなどの製品は、キズによって光の透過性が損なわれたり、破損する危険があるため精度の高い加工が必要です。特に光学機器や精密機器の製造では、高い表面品質と内部の歪みの無さが求められます。

更に、石英ガラスは、1200℃以上の高温下で長時間使用すると、透過性が失われる失透という現象が発生します。失透は石英ガラス表面の不純物によっても発生します。石英ガラスの加工では純度と温度の徹底した管理が必要です。

石英ガラス加工の種類

石英ガラス加工の種類には、切断・溝切・研磨・研削・穴あけ・溶接・火加工などの種類があります。大きく分けて、「切ったり削ったり」して造形を行う加工と、火を使って形を作る火加工/火炎加工に分けられます。

1. 切削加工

石英ガラスの切削加工は主にマシニングセンタを用いて行われます。マシニングセンタによって、フライス削りや中ぐり (ザグリ) 、穴あけ、ねじ立てなどが可能です。また、場合によっては手作業で切削加工が行われることもあります。

2. 研磨加工

石英ガラスの研磨加工は、板の厚みを一定にし、表面を平滑化するために行われます。溝切機などが使われる加工です。

3. 溝切加工

溝切加工とは、溝切機などを用いて石英ガラスに溝を彫る加工です。半導体製造プロセスに利用される石英ボートなどの製造に活用されています。

4. 火炎加工

石英ガラスの加工の一つに、旋盤加工があります。石英のチューブ (石英管) を旋盤に取り付けて、回転させながら火で加工を行う加工法です。バーナーの炎で径を修正したり、管の片側を丸や平らに封じたりすることが可能です。他の石英部品と溶接する加工にも利用することができます。火加工に用いるバーナーは高温で、概ね1,700℃~1,800℃の温度です。

その他、旋盤を使わずに手作業で行われる場合もあります。この場合は、直接バーナーより放射される火を用い、手作業で溶接したり形状を整えたりします。代表的な加工は、口径の小さい石英管を曲げる、伸ばす、封じたりする加工や、石英槽や石英ボートなどの容器類を作る際の溶接などです。

本記事は石英ガラス加工を提供する高洋電機株式会社様に監修を頂きました。

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製缶加工

監修:株式会社栄光工業

製缶加工とは

製缶加工とは、金属材料を塑性加工し、箱や缶のような立体的な形を作る加工サービスです。

鉄 (鋼材) や、ステンレス、アルミなどの金属板や、パイプ、アングル材などの形鋼を切断し、曲げ加工や溶接加工などの各種加工を行って三次元構造物を作ります。製缶は、製函もしくは製罐と表記する場合もあり、金属材料で、函 (はこ) や缶 (かん) の形状を作ることを意味します。

一般的によく知られる形状の缶だけでなく、石油タンク、化学薬品タンクやダクト、圧力・真空容器などの製品を製造する他に、架台やフレーム、筐体などを製造するために用いられます。

板金加工と比較すると、板金加工は、薄い板材を用いて、小部品やカバーなど比較的薄い製品を製造することが多いですが、製缶加工は厚い材料を用いて、大きなもの、頑丈なものを加工することが多いです。建築物や橋などの構造物の骨組みや、産業用製品まで、様々なものが製造できるという特徴があります。

製缶加工の使用用途

一般的に知られる缶の容器のみならず、大きなタンクや工業機械の部材、建築鉄骨の製造など、様々な産業製品を製造することに利用されています。

化学工業や食品工業、建設業、自動車産業など幅広い産業分野にて利用されています。重工業の産業分野を中心として、厚い金属板を使用し、高い強度と耐久性を持つ製品を製造することが可能です。

製缶加工で作られる製品の例には主に下記のようなものがあります。

  • 水槽、工業用タンク、圧力容器
  • ダクト、配管、熱交換器
  • 大型構造物の骨組み
  • 建築構造物の骨組み
  • 産業機械のベース、フレーム、架台
  • クレーンや船の部品
  • スプレーや缶詰の容器

製缶加工の原理

製缶加工は、板厚の厚い金属板を使用し、骨組みや容器などの立体的な加工物を作ります。

厚い材料を用いることで強度を高められることがメリットの一つです。一方で高い技術と複雑な加工プロセスが必要であり、自動化が難しいため大量生産には向きません。

1. 製缶加工で用いられる素材

製缶加工では、板金加工よりも比較的高い強度が求められる製品を作るケースが多いです。そのため下記のような強度の高い金属材料が使用されます。

  • 鉄 (鋼材) :鉄に一定量の炭素を混ぜた合金のこと。一般的に、炭素含有量が多くなるほど硬くなるが、同時に靭性 (粘り強さ) が低くなる。炭素含有量や、その他元素の含有量、熱処理の違いなどによって、様々な種類の鋼材がある。代表的な鋼材に、SS材、SPC材、SPH材などがあります。
  • ステンレス:鉄にクロムまたはクロムとニッケルを加えた合金で、一般にはクロム含有量が11%以上のものを指します。記号はSUS (Steel Use Stainless) で「サス」「ステン」などと略称されることが多い。錆びにくいのが最大の特徴です。

一方、アルミや銅などの比較的強度の低い金属はあまり使用されません (アルミフレームは除く)。

2. 製缶加工の流れ

製缶加工は、大きく分けて下記のような工程で行われます。

  1. 図面作成
  2. 切断・溶断・抜き加工
  3. 穴あけ・曲げ加工
  4. 溶接
  5. 組み立て
  6. 検査・納品

製缶加工の特徴

製缶加工で行われる加工の種類には、切断、溶断、穴あけ、曲げ加工、溶接、機能付加処理、組み立てなどがあり、それぞれの工程において、製品によって適した加工が施されます。

1. 切断・溶断・抜き加工

切断・抜き加工では、レーザー加工機、シャーリングマシン、高速切断機、プレス加工機などが使用されます。

また、溶断が行われる場合もあります。溶断とは、ガスの燃焼やアークなどの熱を使い、金属を溶かしながら切断する部分を除去する方法です。特に、レーザーや抜き加工では対応できない場合で使用されます。

2. 曲げ加工

曲げ加工で主に使用されるのはプレスブレーキです。ダイと呼ばれる金属の型を使用し、ダイの上に金属板を設置してプレス機を作動させます。これにより、任意の形状に金属板を曲げ加工する事が可能です。

3. 溶接

製缶加工において、部品同士を強固に接合するために溶接は欠かせない工程です。溶接方法には下記のようなものがあります。溶接後には、熱によって生じた歪みを除去したり、寸法精度を確保するために機械加工を施す場合もあります。

  • ガス溶接:酸素とアセチレンガスを混合して燃焼させ、その高温の炎で金属を溶かして接合する方法です。比較的シンプルな設備で作業できるため、薄板の溶接や補修などに適しています。
  • アーク溶接:電極と母材との間にアークを発生させ、その熱で金属を溶かして接合する方法です。ガス溶接に比べて溶接速度が速く、深い溶け込みが得られるため、厚板の溶接に適しています。アーク溶接には、被覆アーク溶接やTIG (ティグ) 溶接、MIG (ミグ) 、MAG (マグ) 溶接など様々な種類があります。

4. 組み立て

製缶加工の組み立ては、切断、曲げ、溶接などの工程を経て作られた部品を、設計図に基づいて組み上げ、最終製品へと仕上げる重要な工程です。機械化できない部分も多く、高度な技術が必要で、手作業で行うことも多いです。

また、耐食性や耐熱性、導電性などの機能性付加が必要な場合は、溶接後に表面処理を施すことが多いです。例えば、屋外タンクであれば耐食性が必要であり、通過する内容物の気体や液体が高温になるようなダクトでは耐熱性が必要です。

本記事は製缶加工を行う株式会社栄光工業様に監修を頂きました。

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