超音波切断

超音波切断とは

超音波切断

超音波切断 (英: ultrasonic cutting) とは、刃物などの加工工具に超音波振動を与えて、工作物を切断する方法です。

バリ、カケ、クラックなどの発生が大幅に減少し、変質層の発生や加工ひずみなどが低減され、加工精度が向上します。また、加工時間を短縮可能で、加工抵抗が減るため、工具の長寿命化にもつながります。

通常のカッターでは切断しにくい樹脂製品、ゴム製品、不織布、これらを重ね合わせた複合材料、及びケーキなどの食品の切断が、超音波を使用することで容易になります。

超音波切断の使用用途

超音波切断は、硬い金属やセラミックの切断だけでなく、型崩れしやすいケーキのカットが可能です。切りにくいカーボン繊維を切断して、金型を滑らかに磨き、プリント基板の極細パターンもカットします。

超音波の高周波振動を用いて、丁寧かつ高い精度で切断できます。したがって、セラミックスやガラス、宝石などの、硬くて脆い材料の切断に最適です。熱が発生せず、きれいな断面が得られるため、樹脂の切断加工に利用可能です。

また、超音波切断は、基板、電池、パワーデバイスのような、微細な電気的接点部の切断に使用できます。さらに、超音波切断は、リチウムイオン電池への活用が期待されています。

食品関係では、型崩れが心配なケーキ等の菓子類のカットに、超音波フードカッターとして使用可能です。超音波振動による微細な刃の動きにより、きれいな切断面が得られます。

超音波切断の原理

超音波切断の用途は、主に包装材、不織布、シート材のカットなどです。高速で振動する超音波カッターは、食品やゴム、シート材などの付着を防止し、加工の高速化、製品材料の低減、エネルギー消費量の低減に貢献します。

超音波切断を行う装置は超音波加工機と呼ばれ、発振器と振動子で構成されます。発振器は、15,000~40,000Hzの超音波信号を出し、振動子は超音波振動を加工物に与えます。発振器は常に一定の切れ味となるよう、振幅を一定にする機能が搭載されているのが一般的です。

セラミックスで作られた圧電素子に、発振器からの超音波信号を与えると、圧電素子が伸びたり縮んだりして、超音波振動が発生します。振動子には刃物工具が固定されており、刃物の超音波の振動により、加工物を切断します。先端のホーンと呼ばれる刃は、振動を効率的に増幅する機能があります。両振幅で100μ程度の連続した振動が可能です。

物体は固有周波数があり、その周波数に同期した外力を加えると、小さな外力でも大きく振動します。これが共振です。超音波カッターは、共振を利用して刃先を大きく振動させています。

超音波切断のその他情報

1. 超音波切断機の選び方

多種多様な超音波加工機があるため、用途に合わせて選択する必要があります。例えばフードカッターは、柔らかいパンやケーキを型崩れなくカットでき、丸刃によって連続で切断可能です。そのほか、常に同じ切れ味にするために有用な機能があるのは、振幅を一定にするタイプの発振器です。

食品を切る方法は、刃物を引きずりながら切る揺動力を使う方法と、振り下ろして叩くように衝撃力を使う方法があります。刃物がナイフ形の場合は揺動方式、ギロチン形では衝撃方式が使われます。

小型のハンディタイプの超音波カッターの選定は、次の4つの観点から検討します。1つ目は安価で手軽なホビー用か、高価で高性能な工業用かです。2つ目は、スイッチの位置が、発振器本体か、振動子か、フットペダルかです。3つ目は、TAF回路 (自動調整機能) 搭載かどうかです。4つ目は、替え刃付きか、交換用替え刃が手に入りやすいかです。

2. 超音波切断のメリット

加工精度の向上
シート材など柔軟な工作物でも、変形歪が小さく高精度の加工が可能です。

カケ、バリ、クラックの低減
微小な振動で切断するので、欠けやバリが少ないメリットがあります。

加工抵抗の低減
加工抵抗が低減するので、加工による変質、加工ひずみが減少し、工具寿命が延びます。

加工時間の短縮
超音波は周波数が高く、加工速度は速くなります。

カット面が非常に綺麗
微小な振幅で加工するので、滑らかなカット面で切断できます。

不良率の低減
小さい加工量の繰り返しで、安定な切断加工が可能です。

食品切断に最適
回転刃等で問題になる食品残り、削りカスが出ず衛生的です。

溶着

溶着とは

溶着

溶着 (英: welding) とは、樹脂や非鉄金属を接合する方法の1つです。

融着や熱接着とも呼ばれ、加工物の接合部分を加熱・溶解し、加圧・冷却後接合します。加工材そのものの性質によって融点が異なるため、溶着が可能な温度が異なります。

また、加工材の中に複数の素材が混合されている場合は、温度の設定がさらに難しくなります。 しかし、1度素材自体を溶かして接合させるため、強度が強くなるのがメリットです。

溶着の使用用途

溶着は、樹脂や非鉄金属の接合ができます。樹脂では、熱可塑性のフィルムやシートの接合に使われ、塩ビ、アクリル、ポリカーボネートなども溶着が可能です。

食料品、医薬品、電子部品などの製品の保護のため、密封性の高い包装や容器が使われます。熱可塑性樹脂を溶着加工して、これらを作ります。その他、洗剤などの詰め替え容器の加工に使用され、不織布の加工を溶着により、おむつやマスクを製造可能です。

溶着の原理

溶着には、大きく分けると、外部から加熱する熱溶着、内部で発熱する高周波溶着と超音波溶着、レーザー光で発熱するレーザー溶着の4つの方法があります。

1. 熱溶着

熱溶着とは、加熱された鏝、熱板、熱風などの熱によって加工材を接合する溶着方法です。 加工材の種類を問わず接合しやすいことが特徴であり、一気に広範囲に熱をかけられるため、1面を接合したい場合に向いています。

鏝式溶着
他の熱溶着に比べ、美しい風合いが得られ、多くの熱可塑性フィルム・シートの溶着が可能です。

熱板式溶着
自動車の樹脂タンク、防炎・テント用などの加工に使用されます。

熱風式溶着
フレキシブルコンテナバッグ、テントシート、養生シートなどの接合に利用されます。また、熱風での溶着は、曲線を描けるのはメリットです。

2. 高周波溶着

高周波溶着は、電極である金属の間に溶着する加工物を挟み込み、高周波の電波を照射することで発熱させ、挟み込んだ部分を接合する溶着方法です。 電波によって素材自体を自己発熱させて接合するため、電極に加工材が張り付くなどの懸念がなく、見た目もきれいに加工できることが特徴です。

3. 超音波溶着

超音波溶着は、ホーンと呼ばれる金属の先端から超音波を発することで、加工物を振動させ、振動によって起きた熱によって、ホーンの触れた部分を接合する溶着方法です。 超音波は、発する周波数や超音波を照射する時間、加える圧力を変化させることで、接合の強度を調節できるのが特徴です。

ただし、調節がうまくいっていない場合は接合できず、接合部分が溶け切って穴が開くことがあるので注意する必要があります。

4. レーザー溶着

レーザー溶着は、レーザー光を照射し、接合する樹脂の合わせ面、即ち境界面を発熱・溶融させ、接合する方法です。レーザー光を吸収する樹脂の上に、レーザー光が透過する樹脂を重ねて、レーザー光を照射すると、吸収側の樹脂がレーザー光を吸収・発熱し、樹脂が溶融します。

そして、吸収側の樹脂の熱が透過側の樹脂に伝達され、界面が互いに溶融することで、2つの樹脂が溶着します。レーザー溶着は、製品への悪影響が少なく、製品毎の型が不要であり、電子部品小型化・薄型化に役立っています。

溶着の特徴

溶着は熱で溶解し、加圧と冷却により加工物を接合する方法です。したがって、加熱能力と時間、冷却能力と時間、及び加圧力により、溶着強度や風合いなどが影響を受けます。

身近な例では、洗剤やシャンプーの詰め替え容器、食品の包装などの加工に使われます。溶着のメリットは、形状の自由度が広がることです。プラスチックの直接成形ではなく、成形品同士を溶着して別の形状にすることができます。射出成形やブロー成形では、不可能な形状でも対応可能です。

一方、溶着のデメリットは、濡れ性が悪いプラスチックの接合が難しいことです。ポリエチレンやポリプロピレンなどの濡れ性が良くないものは、表面処理により濡れ性を改善してから、接合する必要があります。

プレス加工

プレス加工とは

プレス加工

プレス加工とは、プレス機を使って柔らかい金属などを変形させる加工のことです。

素材に型を押し付け、プレス機で強い圧力をかけることで自分の思い描く形に変形させます。押し付ける型は「金型」と呼ばれ、材質となるプレハードン鋼のような合金鋼ステンレス鋼を切削・旋盤加工して使用します。

プレス加工は強い圧力をかけて一度のプレスで一気に金属を変形させ成型することが特徴となっており、加工時間が非常に短いことから一度にたくさんの数を短時間で大量生産できることが最大のメリットですが、早い加工スピードに耐えるため単純な形しか成型することができない点がデメリットです。

また、プレス機は初期投資が必要なため、長期にわたって製品を量産する必要がある場合に推奨されます。

プレス加工の使用用途

プレス加工は1つの部品を大量生産する場合に使われます。

簡単で量産化しやすい加工法であることから身近な金属製品の成型に使用されることが多いです。 自動車や家電のフレーム部分は金属でできているものも多く、精度高く同型に加工できるため部品のほとんどはプレス加工されています。

1つの金型を製作するためには、加工時の寸法精度を上げる微調整等も含めて一般的に3〜6ヶ月の期間が必要になります。単純な曲げ加工だけではなく、自動車の外板のような複雑な折り曲げや湾曲面を精度良く成型するためには、複数の金型を使って何度も1枚の板をプレスする必要があります。

プレス加工は金型を準備するのに時間とコストが掛かるため、少量しか使わない部品には不向きです。

プレス加工の原理

プレス加工の原理は、プレス機で高い圧力をかけながら金型を押し当てることで、成型したい被加工金属の塑性変形を起こさせることです。

金属は荷重をかけると元に戻ろうとする力が発生します。これを弾性変形と呼びますが、ある一定以上の荷重を加えると元に戻れなくなり完全に変形します。これを塑性変形と呼び、プレス機で一気に塑性変形を起こさせることで短時間で精度良く大量に生産することができます。

プレス加工の種類

プレス加工には、大きく分けて3つの種類があります。

  1. せん断加工
  2. 曲げ加工
  3. 絞り加工

この3つの加工を組み合わせることで、1つの被加工金属に対して連続で加工を行うことがあります。

1. せん断加工

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図1. せん断加工

せん断加工とは、金属の加工材の上下に2枚の刃を用意し一気にプレスすることにより目的のサイズや形に切断する加工法です。せん断加工を応用した加工法として、クッキーの抜型のように目的の金型をパンチすることで平たい板状の加工剤からの目的の形に切り出す「抜き加工」と呼ばれる加工法もあります。

2. 曲げ加工

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図2. 曲げ加工

曲げ加工とは、加工材に対しV字やL字のような曲げ型をプレス機で押し付けることで金属を曲げる加工法です。金属は硬度が高いものが多く、強い圧力をかけなければ曲がらないものが多いため、一度に強い圧力をかけられるプレス機で曲げることが重要です。

プレス機の使用によって曲げの角度まで精密に設定することができるのが特徴ですが、加工後に金型から製品が抜けなくなってしまう「アンダーカット」が発生する場合があるため、設定できる曲げの角度には限界があります。

3. 絞り加工

絞り加工.png

図3. 絞り加工

絞り加工とは、プレス機の受け側に目的の形の金型の凹部、押し出し側に凸部を用意し、プレス機にかけることによって金属の平板を容器型に変形させる加工法です。

凹凸を合わせて目的の形にするため、直角の曲げには対応できませんが、Rがかかった立体形状を成型できます。曲げ加工に比べ、金型へ押し付けて成型を行う関係で外周をしっかり押さえつけておく必要があるため、材料が一回り余分に大きく必要になり部材費が高くなる傾向にあります。

これらの加工法は組み合わせることでより複雑な形状の作成が可能になります。

プレス加工のその他情報

プレス加工に用いられる機械

1. 動力源別のプレス機の種類

  • 機械プレス機
    モーターを回してスライドを上下運動させてプレスする機械です。加工するスピードが速いので大量生産をする工場ではほとんどが機械プレス機を使用しています。
  • 油圧プレス機
    モーターによりポンプでシリンダ内の油に圧力をかけることでピストンを動かし、スライドを上下運動させてプレスする機械です。幅広い加工ができますが、加工するスピードが遅いので大量生産には向いていません。
  • ハンドプレス
    ハンドルやレバーを手動で動かしてプレスする機械です。人力で動かすプレス機はハンドプレス機の他に足で動かすフットプレス機があります。

2. 形状別のプレス機の種類

  • C型プレス
    機械を横から見るとアルファベットのCに見える汎用性の高いプレス機です。プレス力の限界は2500kNとされています。
  • ストレートサイドプレス機
    プレス力が2500kNを超えるプレス機です。大型のプレス機はほとんどがこの機械です。
  • トランスファプレス
    ライン加工で使用されるプレス機です。被加工金属を搬送する装置がついているため複数の金型を設定でき、複雑あるいは精度の必要なプレス加工でよく用いられます。
  • サーボプレス
    サーボモーターで駆動しているため、複雑で高い精度の加工ができます。

成形加工

成形加工とは

成形加工

成形加工とは、金属や樹脂などに圧力を加えて目的とした製品に加工する方法です。

成形加工には、溶解・鋳造・溶接・圧延・鍛造・押出・引き抜きなど様々な加工方法があります。金属やプラスチックを成形する際に用いられ、機械の部品などを大量生産することに向いた加工方法です。

成形加工の使用用途

成形加工は、様々な製品や部品作成に使用される加工方法です。加工の対象となる素材として、金属やプラスチックなどが挙げられます。

金型を使用した加工方法であるため、パソコンの部品やフレーム、自動車のフレームなど使用用途は多岐にわたります。

成形加工の原理

成形加工は溶解・鋳造・溶接・圧延・鍛造・押出・引き抜きのそれぞれの用途によって原理が異なります。

1. 溶解

溶解とは、金属を溶かすことで成り立つ成形加工です。金属や樹脂などを工業炉などで、一定温度に過熱して溶かします。

液体状にすることで、原子間の持つ結合力がフリーとなって様々な形に成形することが容易になります。なお、溶けた金属のことを溶湯と呼びます。

2. 鋳造

鋳造とは、溶かした金属や樹脂などを、砂や金属でできた型に流し込んで固めることで成り立ちます。鋳造は5000年以上前から行われている古い成形加工で、銅製の矛やお寺の釣り鐘などが作られていました。

流し込む型を鋳型、液体の金属や樹脂を流し込むことを鋳込み、固めることを凝固と言います。

3. 溶接

溶接とは、金属材料同士の接合部を熱で溶かして接合することで成り立つ加工方法です。 溶接には熱の与え方によって様々な種類があります。

鋼鉄材料の溶接に最もよく使われるのがアーク溶接です。比較的小さくて薄い鋼鉄材料の溶接にはガス溶接が適しています。

4. 圧延

圧延加工とは、大きな2本のロールの間に金属を挟み込み、押しつぶしながら伸展させることで、薄い板状の金属成形する方法です。 板の厚さはロール間の距離を調整することで、変化させることが可能で、数百ミリから数ミクロンまで多様な板材を成形することができます。

5. 鍛造

鍛造とは、熱して原子間の結合力が弱くなった金属をハンマーなどでたたいて成形する方法です。日本では古くから鍛冶屋と呼ばれる職人たちが、日本刀や農業機械に使う鎌や鍬などを製作していました。

鍛造は金属を圧縮することで、強度が上がる点がメリットです。

6. 押出

押出加工とは、耐圧性の型に金属を入れて、圧力を加えて型の隙間から押し出して希望の形状に成形する方法です。イメージとしては、似たような原理に食品のところてんがあります。

押し出して成形する点においては、ところてんとほとんど同じです。

7. 引き抜き

引き抜き加工ろとは押出加工と反対に、型内に入れた金属を型に空いた穴などから引き抜く方法です。穴の形をした金属に成形します。

そのため、配管材料や棒状の素材を成形する際に使われます。その他にもピアノ線や、注射針など他業種にわたって活用されているのです。

8. プレス加工

プレス加工は、大きく分けると3種類の加工方法があります。ただし、プレス加工機で金属に圧力を加える原理は共通しています。

  • せん断加工
    板材の上下に2つの刃を用意してプレスして板材を切断する加工方法です。
  • 曲げ加工
    板材に曲げ型をプレス機で押し付けて板材を曲げ型の形に曲げる加工方法です。
  • 絞り加工
    プレス機の受け側に金型の凹部、押し出し側に凸部を用意しプレスすることによって板材を容器の形にする加工方法です。

成形加工のその他情報

成形加工の短所

成形加工には型を作って製品を大量生産できる長所がありますが、一方で短所もあります。

1. 型を作るのが大変
成形加工の型は汎用性のあるものでなければなりません。量産するために使用されるためです。汎用性がある型を作るためには費用がかかりますし、時間もかかります。

2. 型を変更することが難しい
一度作った型を変更することが難しいです。例えば、設計変更などで量産していた部品の生産を中止する場合、すべての型を廃棄しなければならないため、新しい型を作り直す必要が出てきます。

曲げ加工

曲げ加工とは

曲げ加工

曲げ加工とは、金属の板や管を指定した形状や角度に加工のことです。

プレス加工の一種で、ペンディング加工とも呼ばれています。さまざまな形状に金属を曲げることにより、小さい部品から建材まで作り上げます。

ノートパソコンのフレームや部品などのOA機器や冷蔵庫などの家電製品は、曲げ加工を施した例です。曲げ加工では、プレス加工機を使用します。上型のパンチと、下型のダイの間に金属を差し込んでパンチを下降させながら数トン単位の外力を加えて、板金を塑性変形させています。

曲げ加工の使用用途

曲げ加工は、椅子などの金具やパソコンなどのOA機器、自動車のフレームなどに使用します。身近な使用例だと、金づちなどで金属を曲げる加工があります。

金属を任意の形状に成型させるために、金づちで外力を加え変形させる加工です。しかし、金づちなどを使用した手作業では、家電製品や自動車のフレームなどを成型するのは製品が大きすぎるため、効率的ではありません。

そこで、プレス加工機に金型を設置して、金属を金型に押し付けることで成型させています。金型を使用することによって効率的な生産を加工にし、工業製品などを大量生産できるのです。

曲げ加工の原理

曲げ加工は、端的に述べると金属がもとの形状に戻らない塑性領域に達する性質を利用します。プレス加工機などの機械に金型を取り付け、金属に外力を加えることによって塑性変形させています。

曲げ加工では、専用の金型が必要です。金型にはプレス加工機の上側に位置するパンチと下側に位置するダイを利用します。パンチとダイの間に金属を設置し、プレス加工機で外力を加えることによって、塑性変形を起こしています。

曲げ加工には2通りの方法があります。パンチをダイの終点まで押し付け、完全に金型と同じ形状にする加工方法とパンチを任意の位置で止めて任意の角度まで曲げる加工方法です。成型したい形状までパンチを金属に押し付ける点に関しては、曲げ加工の全てに共通しています。

例えば椅子の金具などは、1つの金属を複数の形状にするために曲げ加工を行いますが、曲げ回数が多いことによる寸法不良や角度不良が起こる場合があります。しかし、金具であるパンチやダイを交換すれば、防止できる可能性も高くなります。

曲げ加工のその他情報

1. 曲げ加工の作業手順

  1. 目的の曲げに合う金型を選択します。
    (曲げ角度や曲げ線の長さ、製品形状による金型と加工部材との緩衝などを考慮して、メーカーカタログなどを参考に選択します)
  2. メス金型を下部台座に取り付けます。
  3. メス金型のV溝にオス金型の先端が適切に合うようにオス金型をセットします。
  4. メス金型上に置いた板材表面にオス金型刃部先端を近づけ、曲げ線を合わせます。
  5. 第1段目の予備曲げを行います。
  6. 予備曲げの曲げ角度を計測し、計測で得られた曲げ角度からスプリングバック量などを考慮して不足している曲げ量分を第2段階曲げで補正し、所定の曲げ加工を行います。

2. 曲げ加工で必要な曲げ角度を得る方法

曲げ加工で必要な曲げ角度を得る方法として、以下の2つが挙げられます。

コイニング法
ダイの溝底位置まで材料を密着状態になるまでパンチで押し込む方法 確実に求める角度が得られやすいですが、材料や金型を傷つけやすい欠点があります。

エアベント法
ダイの溝底位置まで材料を密着させない状態で押し込む方法 最近ではエアベント法が主流となってきています。

3. パイプを成型する曲げ加工

板材を加工してパイプ状に成型する曲げ加工として、以下の2通りが挙げられます。

  • 専用の3本ロール成型機を使用する方法
  • 角度曲げ用のベンダーを用い、必要な角度の曲げを1~2mmの感覚で連続的に行い、曲面を得る方法

ベンダーを用いて行う方法では、板の片側端から必要角度を順次曲げた後、1回目の加工による曲げ状態を目標とする曲率のゲージ板を当てて確認して、第2段階、第3段階の加工を繰り返して所定曲率に近づけます。

板金検査

板金検査とは

板金検査

板金検査とは、出荷前に仕様書や図面通りに板金が作成されているかチェックする作業です。

板金は鈑金とも表記され、薄く平らにした金属のことです。常温で素材を塑性加工する場合にも、板金や鈑金と呼びます。図面や仕様書に基づいて作られた検査規格を検査員が確認し、板金の寸法、重さ、色、厚さ、外観などを検査して、最終的な製品としての合否判定を下します。外観に美観が入り込む場合には、検査員による判断が難しいです。

板金検査の使用用途

通常、板金製品の品質検査では以下の2点をチェックします。

  • 所定の加工が精度よく仕上げられているか
  • 加工製品表面に傷やバリの発生がないか

不良品の発生防止には、品質管理手法が用いられます。ただし日ごろから品質管理手法に慣れていないと、導入は難しいです。品質管理的な意識によって、身近な問題を解決可能です。例えば、製品の傷発生が見つかった場合、作業者自身の作業方法で傷が発生する可能性がないか考えます。その結果、日ごろの作業での改善事項を見出して実行できます。以上の内容に慣れてくると、以下の流れで品質管理対策をシステム化可能です。

  1. データを集める
  2. 得られたデータをグラフ化して、着目点を明確にする
  3. 絞り込んだ着目点を中心に調査を行い、得られたデータをグラフや図にして、本格的な品質管理のシステム作りに繋げる

板金検査の原理

機械板金検査では、比較的高い精度の加工と傷やバリ発生のない仕上がり状態の良さが製品に要求されます。寸法精度では、製品図面の多くがCADなどで電子データ化されており、誤りが発生しにくいです。ただし、加工に必要なブランク取り (バラシ) の段階で、板厚分や加工による伸びの見落としなどでミスが発生する場合もあります。

その一方で、板金の傷は、材料入手時の運搬や加工の段階で、発生しやすいです。部品加工の段階では気づきにくい傷でも、塗装仕上げで明らかになり、欠陥品になる可能性もあります。

板金のバリの発生は、人によるバリ取りでの作業の忘れや品質のばらつきが、主な原因です。不良品の発生は、材料費や塗装を含めた加工費の損失や、製品の納期遅れに繋がるため、企業は対策が必要になります。不良品の発生を防ぐためにも、日々の作業で板金検査が重要です。

板金検査の構造

板金の寸法精度を確認するために、多種多様な板金検査具があります。

板金の設計で安全性を満たすため、必要な強度、重量、コスト、修理の容易性、品質の向上のような、さまざまな性能要求を、あらゆる解析やシミュレーションによって、適切な部品形状に設計しています。結果として、板金部品は複雑な構成が多く、一つ一つを設計通りの形状に作り、部品同士の組み合わせで必要な寸法精度の確保が非常に困難です。

常に現場で板金検査具は、正確な板金部品の形状を示し、開発期間の短縮や品質のために必要な存在です。部品のサイズや構成で、多種多様な検査具があります。

板金検査の種類

用途や測定精度に合わせて、板金検査の用途に適した測定器を使用する必要があります。長さを測定する際には、鋼製直尺、鋼製巻尺、ノギス、マイクロメーター、ハイトゲージなどを用います。角度の測定では、直角定規やプロトラクターなどを使用可能です。

ダイヤルゲージは、機械や製品の精度を測定します。ノギスでは測定できない狭いすき間は、シックネスゲージによって測れます。ピンゲージは、所定の寸法で作られた棒です。穴径が規格通りか確認するため、製品の穴に差し込みます。

板金検査の選び方

製品のクオリティを高く維持するために、精密板金のための検査ソフトを利用可能です。具体的には、曲げ未加工、BR未加工、曲げ寸法違い、逆曲げ、ボール盤未加工、圧入ナットズレ、圧入ナット有無などを、検査ソフトにより評価できます。簡易検証により検出や判定ができた際には、判定精度や処理時間なども評価できます。

板金加工

板金加工とは

板金加工

板金加工とは、薄くのばした金属の板を目的に合わせてさまざまな形に加工することです。

手で工具を使い加工をする手板金加工、機械を使って加工する機械板金加工の2種類があります。主に、図面展開工程、抜き・切断工程、前処理工程、曲げ加工工程、溶接工程、仕上げ工程、検査工程によって板金加工を行います。

手板金加工も機械板金加工も、素材である金属の板の特性を理解して加工をすることが大切です。金属素材には「弾性変形」と「塑性変形」という2つの特性があり、それらをうまく利用して目的の形状に加工します。

板金加工の使用用途

板金加工は、さまざまな業界で利用される加工技術です。主に、自動車業界、建築業界、精密機器業界で活躍しています。

1. 自動車業界

自動車のボディやインテリア部品に、数々の板金加工が用いられています。例えば、製造工程の切断や溶接などは、機械板金加工の技術です。

自動車の修理にも板金加工が用いられています。例えば、事故で自動車のボディが凹んでしまった場合には、修理工の手板金加工の技術で修繕します。

2. 建築業界

建築の現場には、板金加工がなくてはならない技術です。例えば、住宅建築で必要な屋根・外壁・配管などに板金加工の技術が用いられています。

また、インフラ設備の各所に板金加工が活躍しています。例えば、道路標識・信号機・看板・エスカレーターなどに用いられている技術が板金加工です。

3. 精密機器業界

板金加工の技術を必要とする工業製品の中でも、精密機器の製造工程に用いられる板金加工は「精密板金加工」と呼ばれます。素材の暑さは数ミリと薄く、微細な加工技術が求められます。

例えば、1ミリほどの金属の板にねじ山を作る場合に、精密板金加工が必要になります。スマートフォンやドローンなどの部品に欠かせない技術です。

板金加工の原理

板金加工の素材である金属は、アルミニウムならアルミニウム、鉄なら鉄の原子が規則正しく並び、それぞれの原子が互いに引き合う結合力で結ばれています。金属の結合力を超えない外力で変形させると、金属の性質で変形させる前の状態に戻ろうとする力が働きます。これが「弾性変形」です。

この弾性変形を生じさせないように、金属の結合力を超える外力を加えると、規則正しく並んだ原子の位置にズレが生じて変形します。 これが「塑性変形」です。

板金加工は、この塑性変形という金属の性質を利用した加工方法です。目的の形状にするために、もはや弾性変形しなくなった金属素材に力をかけ続けると、素材が破損してしまいます。金属の状態を見極めながら、加える力を調整することが大切です。

板金加工の種類

板金加工には、曲げ加工、切断、タッピング加工/バーリング加工、溶接加工などの工程があります。

1. 曲げ加工

代表的な曲げ加工には、L曲げ、V曲げ、U曲げ、ヘミング曲げがあります。それぞれ加工したい形状に合わせて、金型を選定して求める曲げ形状を得る加工方法です。

加工する際は、ベンダーと呼ばれる工作機械が製造現場では広く用いられています。曲げ加工を行う際に、被加工物には掴み代が必要です。そのため、設計段階では曲げ加工のための掴み代を設けておく必要があります。

2. 切断

シャーリングマシンなどのせん断加工機を用いて、材料を大まかに切断する工程です。次工程で、部品形状に合わせて打ち抜き金型や、レーザーを用いて形状を得る加工を行います。打ち抜きにより形状を得る工程では、ターレットパンチプレス加工機やレーザー加工機が広く用いられています。

切断加工した加工面にはバリか発生するので、やすりやグラインダーベルトサンダーなど用いてバリ取りを行わなければなりません。レーザー加工による切断箇所には熱による焦げが生じるため、焦げ取りといった後処理が必要です。

3. タッピング加工/バーリング加工

被加工物にめねじが必要な場合は、タッピング加工もしくはバーリング加工により形状を得ることができます。タッピング加工でのネジのかかりしろが十分でない場合、バーリング加工によりめねじのかかりしろを確保し、めねじ加工を行います。

バーリング加工を行った場合、加工面の後ろ側が凸形状となるため、アセンブリした際の干渉やクリアランス量の減少に注意が必要です。

4. 溶接

部品を一体化して気密性を高めたい場合や、ねじによる固定を行えない (もしくは部品点数の観点などから行いたくない) 場合、板金部品の溶接加工が用いられます。

溶接方法としては大きく、融接法、圧接法、ろう接法の3種類があります。求められる強度や生産性に応じて、板金部品の溶接方法を使い分けましょう。また、溶接箇所の焼けによる変色や黒皮を取り除くために、酸洗といった表面処理が広く用いられています。

板金加工のその他情報

1. 材料による加工性の違い

金属材料は、その結晶格子の成り立ちで加工のしやすさが変わります。 アルミニウム、胴、金、銀などは面心立方格子という原子構造で、マッチ箱のような構造で外力が加わると変形がしやすい構造です。

鉄は体心立方格子でできていて、マッチ箱構造の中心に原子が入り強度を増しているため、変形がやや難しくなります。 マグネシウムはちゅう密六方格子で、六方体の原子配列は強度が高く常温ではほとんど加工ができません。

2. 手板金の種類

材料表面の研磨作業
自動車外板の補修や工作機械のベッドのように、材料表面の凹凸をなくすときに紙やすりなどで仕上げる作業です。

材料の切断
金切りばさみなど使って、市販されている規格サイズの大きな板材から、製品を成型するのに必要な大きなに切断します。

ハンマーによる張り出し/絞り加工
金属板から立体的な形状を成形する時に、ハンマーで材料を引き延ばして成型する加工を「張り出し加工」、逆に材料を寄せて小さなひだを作り、これを平たんにして縮み変形を与える加工を「絞り加工」といいます。

3. 機械加工の種類

パンチ金型による穴あけ
各種大きさの丸や四角などの汎用せん断金型から必要な金型を選択して、抜きや成型加工を行います。

レーザーなどによるブランキング加工
レーザー熱源を用いて高速、高精度に板金を切断する機械加工法です。

プレス加工
大型の機械フレームの上下するオス型とメス型の間に金属板を設置します。 オス型が下降してきて、メス型を合わさることで金属板を型どおりに成型します。

切削加工

切削加工とは

切削加工

切削加工とは、刃物で材料を削る加工方法です。

工具で材料の不要な部分を削ることで製品を成型します。通常は、工作機械を使用して金属やプラスチックなどを削ります。一般的に用いられる工作機械には、旋盤フライス盤マシニングセンタがあり、 それらの工作機械を加工で必要となる形状やサイズに合わせて選定が必要です。

また、加工方法としては旋盤加工、フライス盤加工、穴あけ加工研削加工、きさげ加工があり用途に合わせて加工方法を選定する必要があります。例えばねじ穴をあけるためには穴あけ加工を選びます。

切削加工は、精度は良いが時間がかかる特徴があります。そのため、導入の際は製造工程の時間を考慮することが大切です。

切削加工の使用用途

切削加工は電気製品用の部品や機械用の部品、自動車用の部品などありとあらゆる分野での加工に使用されています。工作物の素材も金属や樹脂、木材など様々です。

また、加工方法の使用用途も色々あります。例えば、材料を削って丸い形状を成型したい場合には旋盤加工、ねじ穴を成型したい場合には穴あけ加工などを使用します。用途に応じて、加工方法を選定する必要があります。

切削加工の原理

切削加工の原理は、材料の不要な部分を削ることで成り立ちます。例えば丸い形状に成型したい場合には旋盤加工によって不要な部分を削ります。

代表的な切削加工の種類として、以下の5つが挙げられます。それぞれの原理は、以下のとおりです。

1. 旋盤加工

旋盤加工とは、旋盤と呼ばれる工作機械を利用した、削り・穴あけ・切断などを行う加工です。旋盤加工で部品を綺麗に効率よく仕上げるためには、材料の回転速度、刃物の移動速度、切込み量の調整が必要です。

これらの設定は、材料の寸法や形状、材質、刃物の種類で変わってくるため、実際に削ってみないと分かりません。切削中の音や削りくずの状態を見て、適切な条件を選定する必要があります。

2. フライス加工

フライス加工とは、工具を回転させて対象物を削る加工です。回転軸が鉛直方向にある縦フライス盤と、回転軸が水平方向にある横フライス盤があります。

工具を水平方向、鉛直方向の3方向に移動させて、必要な位置に穴をあけたり、材料の表面を切削します。刃物にはドリルやエンドミルと呼ばれる工具を使用します。エンドミルは平面加工を行うための刃物です。フライス盤の自動送り機能をつかうと、加工面を綺麗な仕上がりにすることができます。

3. 穴あけ加工

穴あけ加工とは、工作物をドリルなどの回転工具で円筒状の穴をあける加工方法です。穴あけ加工にはドリルを使用する一般的な穴あけ加工のほかにも、以下のような加工方法があります。

  • 座ぐり加工
    ネジ穴に浅くて広い穴を追加加工してネジ頭部を隠します。
  • リーマ加工
    ドリルを使用してあけた穴の内側を滑らかに仕上げます。
  • タップ加工
    ドリルを使用してあけた穴の内側にネジを作ります。

上記の加工方法以外にも、数多くあります。また、穴あけ加工に使用する機械も様々で、ボール盤、旋盤、フライス盤、マシニングセンタ、ターニングセンタなど目的の工作物によって使い分けが必要です。

4. 研削加工

研削加工は、砥石で材料表面を仕上げる加工方法です。身近な例だと包丁を研ぐための砥石は研削加工の工具になります。細かくて硬い砥粒で材料を削り取ることで成り立ちます。

5. きさげ加工

材料を完全な平面に成型したい場合にはきさげ加工を用います。平面を手作業で加工する点が特徴です。面と面をこすり合わせることにより、材料を削り取ります。

切削加工のその他情報

切削加工以外の加工方法

加工方法は切削加工の他にも、成型加工、接合加工、特殊加工、熱処理・表面処理などがあります。切削加工の特徴は、他の加工方法よりも精度が高い点です。

しかし、精度が高いのと引き換えに、削る工程があるため、他の加工方法よりも時間がかかります。製造工程で切削加工する場合には、加工時間に余裕をもって工程管理を行う必要があります。

切断加工

切断加工とは

切断加工

切断加工とは、物体を2つに切断するための加工法の総称です。

丸棒や板材などの機械部品の材料を組み合わせる際に行われます。工具に刀刃、はさみ、鋸刃を使用したり、火炎で被削材を溶かして切断したり、微粉末を吹きつけて切断する加工法などが一般的です。

材料を切り出す際には、素材の形状に合う工作機械を使用します。パイプ材、アングル材、チャンネル材を利用すると機械加工が容易です。

切断加工の使用用途

対象の素材によって、多種多様な加工法があります。適切な切断加工を使い分ければ、最適な手順で加工可能です。

例えばレーザー切断加工では、作成したデータ通りにカットでき、板金、アクセサリー、看板のような、幅広い用途で使用可能です。素材によって切断可能な厚みが変化します。

ワイヤーカット放電加工はセラミックやタングステンのような硬い物質の切断に利用可能です。ウォータージェット加工は熱により変形しやすいゴムや強化プラスチックの加工に適しています。フライス加工は機械部品のスペーサーに、旋盤加工はシャフトの軸や軸受けなどに使用されます。

切断加工の種類

1. 旋盤加工での切断

様々な切削加工が可能な旋盤です。突っ切りバイトなどを取り付けて、棒材などの工作物を切断できます。棒材などを目的の長さより長い状態で加工した時などに、最後の方の段階でこの切断方法が使用されます。

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2. フライス加工による切断

多種多様な切削加工を行う旋盤ですが、メタルソーなどの工具を取り付けて切断できます。

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3. プレス加工による切断

工作物の上下に2枚の刃を用意してプレスすると、目的のサイズ・形状に切断できます。この場合には切断加工の一種である、せん断加工と呼ばれることも多いです。

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4. レーザーカットによる切断

レーザーにより切断します。複雑な形に切断可能です。

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5. ウォータージェット加工による切断

超高圧域に昇圧した水を、極めて小さい径のノズルで噴出させて切断します。

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6. ワイヤーカットによる切断

電極線を使用して放電現象により切断します。複雑な形に切断可能です。

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切断加工の選び方

切断加工では多種多様な工作機械を用います。

1. 帯のこ盤

板材を切断する際に、帯のこ盤を使用します。帯のこ盤は幅8mm程度の帯状の刃が上から下方向に回転していて、材料を切断可能です。帯のこ盤で板材を切り出す際には、削りしろ (3〜5mm) を考慮してけがきます。軍手を使うと巻き込まれる恐れがあるので、使用せず両手で材料をしっかり押さえます。ただし刃の進行方向に指を置いてはいけません。

2. 弓のこ盤

丸棒を切断する時には、弓のこ盤を使います。弓のこ盤は自動的に刃が往復運動を繰り返します。固定した材料の上に刃を乗せれば、簡単に丸棒を切断可能です。適当な長さに材料を固定して、弓のこ盤を動かします。ゆっくりと材料の上に刃を当てると、自動的に切断が完了します。

3. 手のこ

直径10mm以下の丸棒を切断する場合は、弓のこ盤ではなく手のこで行います。理由は弓のこ盤の刃を破損するからです。 手のこで材料を切断する時には、押すときに力を入れて、引くときには力を抜きます。材料は万力で固定する方法が一般的です。

4. 足踏み切断機

厚さ1mm以下の鉄板や2mm以下のアルミニウム合金板などを切断する時には、足踏み切断機を使います。けがいた板材を刃の位置に合わせて、ペダルを強く踏み込むだけで切断可能です。足踏み切断機は直線で切断する際に使用します。

5. 高速切断機

高速切断機は高速で回転する厚さ5mm程度の砥石で材料を切断します。鉄鋼製のパイプやアングル材など、肉厚が薄い材料を素早く切断可能です。

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6. ガス切断

ガス切断はアセチレンガスと酸素の燃焼熱で、鉄鋼材料を溶かして切断します。初心者だと切断面が曲がってしまい、品質が確保できません。またガス切断を行うには、資格が必要です。

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スポット溶接

スポット溶接とはスポット溶接

スポット溶接は、正確には電気抵抗スポット溶接と呼ぶべき方法で、溶接用の電源に接続された通電用銅電極の間に2枚の金属板を重ね合わせた状態で通電し、その後の抵抗発熱で重ね部を溶融させ接合する方法です。

つまり溶接前に重ねた場所で抵抗発熱が発生する程度に2枚の金属板を接触させるように圧迫して、接合が完了するまで圧力を加えた状態で溶接が行われることから圧接法に分類されます。 ただその接合のメカニズムは溶接と同じです。

スポット溶接の応用例

スポット溶接の応用として、電極を円盤状にしてスポット溶接点を連続して繋ぐシームレス溶接や、接合の安定性を高めるために一方の材料の接合部に突起を成型して、突起部に集中的に抵抗発熱を生じさせるインジェクション溶接、接合面に弄剤を置き抵抗発熱でロウ付けを行う抵抗ろう付けなどがあります。

スポット溶接の条件

溶接の条件は溶接する金属材料の種類で選択する必要があります。

①溶接性の良い軟鋼の場合

製品の品質要求に見合う強度条件を選択します

②硬い高張力鋼など合金鋼

加圧力を高めて接触状態を確保して溶接を行い、その後は溶接部に焼き戻し処理のための通電を行います

③熱伝導性が良く割れやすいアルミニウム

大電流短時間の通電で溶接します

④チタン材

溶接中、溶接後にアルゴンなどのシールドガスを送給します

⑤メッキ鋼板

表面のメッキ材が電極との溶着で電極面の変形が起きるので、変形に応じた先端の修正を行います

スポット溶接の品質確保

溶接品質は科圧力や電流、通電時間などの溶接条件で決まります。 それらを製品の品質要求を満たすように選定することが必要です。

①加圧力は、その大きさで通電が行われる接触面積が変化し、小さすぎると通電不足、大きすぎると入熱不足を起こして接合不良の原因になります

②溶接電流は、小さすぎると入熱不足で接合不良を生じますが、大きすぎると溶接強度が高まりますが、製品の変形による外観不良の原因になります 通電時間は電流との関係で溶接部形成を左右し、少ないと接合不足が、多すぎると過大な溶接部形成で品質への悪影響が起きます