造園資材とは

造園資材とは、庭や屋外スペースの構築および維持管理に使用する資材の総称です。
住戸の庭、公園、遊歩道、広場、インフラ設備、商業施設や公共施設の屋外スペースなど、非常に広い範囲に用いられます。造園資材は、その規模にかかわらず、美観や環境の改善、生態系の保護など、さまざまな役割を果たします。
造園資材の使用用途
設計で何を実現するかに応じて使用する資材が異なります。主に以下の目的に使用されます。
1. 緑化
花や低木、木を植栽することで環境を改善します。緑化には空気の浄化や温度調節、景観の向上、生態系の保護、ストレス緩和など、さまざまな働きがあります。
2. 土壌改良
土壌の性質を改善します。土壌そのものを入れ替える物理的改良、土壌のpH値や栄養バランスを肥料などで変化させる化学的改良、コンポストに代表される微生物の活動を活発化させる生物学的改良があります。土壌改良は植物の健康を増進したり、土地の排水性または保水性を良くしたりする効果があります。
3. 空間の区分け
敷地をいくつかのエリアを区分けします。フェンスやアーチの人工物を使ったり、低木や立ち木で境界を作ったりします。これらは安全性やプライバシーの確保、景観のアクセントに効果的です。特定の用途に応じて環境を変化させるゾーニングという手法もあります。
4. 水景の追加
池や噴水などを設置して風景に変化をつけます。水の音や動きを利用して人々がリラックスできる場所を演出します。また、水景を導入することで生物に新しい生息地を与えたり、水質や土壌を改善したりすることが可能です。
5. 歩行者用通路
敷地内の歩行者通路を整備します。安全性や機能性を確保しつつ景観も維持します。敷石やレンガなど、通路に使う素材選びも重要なポイントです。
6. 装飾と機能性の向上
対象区域を利用する人の利便性を向上させます。たとえば、人々が憩うためのベンチやテーブルを導入したり、夜間でも利用できるように照明を設置したりします。
7. 潅水設備
給水装置およびシステムを導入して、植物の成長を促します。スプリンクラーやホースを使用して、植物に効率的に水を供給します。
造園資材の原理
造園資材には非常にたくさんの品物があり、個々の役割はさまざまです。しかし、造園資材を組み合わせて用いることで特定エリア内の気候条件を調整することが可能になります。気候条件の調整には以下のような原理が用いられます。
1. 光合成
植物は光、二酸化炭素、水を吸収し、酸素とグルコース (糖) を生成します。酸素は大気中に放出され、他の生物の呼吸を支え、グルコースは植物自体の成長に使われます。
2. 微生物の活動
微生物は有機物を分解し、土壌に栄養を与えます。この分解過程で植物の栄養源となる窒素、リン、カリウムが生成されます。また、微生物の働きは植物に有害な病原菌の増殖を抑制します。
3. 水・空気の循環
水で周囲の空気を冷やし、空気の循環を発生させます。水場があると昆虫、鳥、水生生物や魚などが集まり、生物多様性の効果によって生態系が安定します。また、空気が循環することによって温度や湿度を調整し、カビや病害虫の繁殖を防ぎます。
4. 日光の制御
立ち木やパーゴラは日光をさえぎって日陰を作り出します。これにより、夏の暑さを和らげることができます。
造園資材の種類
造園資材にはたくさんの種類がありますが、以下のように大別できます。
1. 植物材
芝生、花、低木、立ち木などの植物全般です。敷地内の緑化や景観作りに使用します。低木や立ち木はエリアの境界、防風、空気の循環などの役割を果たします。
2. 防草材
雑草の成長を抑えるための資材です。防草シートやウッドチップ、ココナッツ繊維などは地面に敷きつめることで日光を遮断し、雑草の発芽を防ぎます。除草剤は化学的に雑草の生育を抑えます。
3. 土壌改良材
植物の生育や土壌の水分量をコントロールするための資材です。園芸用の土壌や肥料は植物の成長を助けます。砂利や砂は水はけを改善します。反対に、腐葉土、ピートモス、バーミキュライトなどは土壌の保水性を高める資材です。
4. 構造材
大型の構造物を作るための資材です。主に金属製と木製の資材が用いられます。フェンスやアーチ、パーゴラ、ウッドデッキ、ベンチなどが挙げられます。
5. 水景材
敷地内に池や噴水などの水景を作るための資材です。水が地面に浸透しないようにするライナーのほか、ポンプ、送水パイプ、フィルターなどたくさんの資材の組み合わせで完成させます。
6. 舗装材
敷地内の歩道に用いる資材です。コンクリートやアスファルトを用いたり、美観を保つためにレンガ、木材、砂利などを用いたりする場合があります。また、歩行者の安全性を守るため、滑りにくいゴムや樹脂を使った舗装もあります。
7. 装飾材
景観を美しく見せるための資材です。石材、木材、陶器、ガラス製など、さまざまな材料を用います。たとえば、ガーデンオーナメントと呼ばれる置物や彫刻、デザインを施したプランターや鉢などが挙げられます。
8. 灌水設備
植物に水を供給するための設備です。広い範囲に水を供給するスプリンクラーや植物の根元に点滴のように水を供給するドリップシステムがあります。