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酢酸フェニルについての概要、用途、原理などをご説明します。また、酢酸フェニルのメーカー6社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
酢酸フェニル (英: phenyl acetate) とは、フェノールエステルの1つで、酢酸とフェノールが脱水縮合した構造を持つ有機化合物です。
また、有機化合物の1種であり、分子式はC8H8O2、分子量は136.15、密度はおよそ1.08g/ml、CAS番号は122-79-2です。別称としては、フェノールアセタート、フェノールアセテート、アセトキシベンゼンなどがあります。
酢酸フェニルは、酵素基質や阻害剤など、さまざまな有機化合物の合成原料として用いられます。比較的安価な試薬であるため、容易に手に入れることができます。ただし、この物質が単体で使用されることは少ないです。
ベンゼン環にエステル基が結合した構造を持っているため、ベンゼン環上にさまざまな修飾を施しすことが可能です。人間の体内に存在する伝達物質にはこのような骨格を持っているものも多く、これらの伝達物質や受容体をターゲットとした薬の原料として用いられています。この物質はエステラーゼの基質となるため、エステラーゼの阻害薬の原料に利用されています。
また、酢酸フェニルはルイス酸存在下において、2-または4-ヒドロキシフェニルメチルケトンに転位するほか、主にニトロフェニル・フェニル誘導体として、種々の芳香族有機化合物の合成原料に使用されます。この物質はエステルなので、酸性や塩基性を持たず、求核性や求電子性を持つ部位も存在しないため非常に取り扱いやすい物質です。
酢酸フェニルは、常温常圧でフェノール臭を示す無色の液体です。水にはほとんど溶けず、エタノール、クロロホルム、エーテルなどの有機溶媒に可溶です。合成方法としては、無水酢酸または塩化アセチルとフェノールとの反応により得られます。
この反応では、フェノールの酸素原子が求核性を持つことを利用して、求核置換反応を受けやすい無水酢酸や塩化アセチルと反応させて合成しています。酢酸フェニルは、消防法において「危険物第四類および第三石油類危険等級Ⅲ」に分類されており、扱いには注意が必要です。
沸点は約196℃ですが、引火点は94℃であり、80℃以上の温度では自然発火や爆発の危険性があります。そのため、密閉系で扱うことや換気をしっかり行うことなどを心がけなければなりません。
なお、皮膚や目に対しても刺激性を持つため、扱う際にはゴム手袋や保護メガネの着用が必要です。
なお、酢酸フェニルの構造式はCH3-COO-Phであり、フェニル酢酸 (Ph-CH2-COOH) とは異なる物質であることに注意が必要です。 フェニル酢酸はカルボキシ基をもつため、まったく異なる性質を示します。
酢酸フェニルから誘導される非常に構造の似ている物質の1つとして、酢酸フェニル水銀が挙げられます。この物質は、酸素原子とベンゼン環上の炭素原子の間に水銀原子が挿入された有機金属化合物です。
酢酸フェニル水銀は、イネいもち病菌のカビを殺菌する特効薬として、1948年に農薬登録されましたが、1973年に失効してしまいました。当時、水俣病の原因となったメチル水銀の有毒性が世間では話題になっており、同じように水銀を含む有機化合物である酢酸フェニル水銀も水銀化合物への社会不安により使用されなくなってしまいました。
しかし、酢酸フェニル水銀からメチル水銀は検出されておらず、有害性は指摘されていませんでした。ただ、実験中に中毒症状が発生した例や、農薬散布中に中毒を起こしたという症例などがあり、他の農薬によって代用されており、使用されていないのが現状です。
この化合物は、酢酸水銀 (Ⅱ) をベンゼン中でトリフルオロシリルベンゼンとともに加熱還流を行うか、ジフェニル水銀と酢酸との反応により合成することができます。
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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