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亜硝酸イソブチルについての概要、用途、原理などをご説明します。また、亜硝酸イソブチルのメーカー9社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。亜硝酸イソブチル関連企業の2024年10月注目ランキングは1位:米山薬品工業株式会社となっています。
図1. 亜硝酸イソブチルの基本情報
亜硝酸イソブチル (英: Isobutyl nitrite) とは、化学式C4H9NO2で表される、亜硝酸とイソブタノールから成る亜硝酸エステルの一種です。
別名に、亜硝酸2-メチルプロピルなどがあります。CAS登録番号は、542-56-3です。分子量は103.12、沸点は67℃であり、常温では密度0.87g/mLの無色透明の液体です。水へはわずかに溶解しますが分解してしまうため実質的に不溶と言えます。
エーテル、エタノールなどの有機溶媒には混和します。劇物で、引火点は-21℃と低く、引火性が高い物質です。労働安全衛生法では名称等を表示すべき危険有害物 (法第57条、施行令第18条別表第9) 、名称等を通知すべき危険有害物 (法第57条の2、施行令第18条の2別表第9) 、リスクアセスメントを実施すべき危険有害物 (法第57条の3) に指定されています。
亜硝酸イソブチルの主な使用用途は芳香剤の添加物です。カルボキシメチルセルロース原料、農薬・医薬原料、可塑剤・医薬原料にもなります。
また、血管拡張作用がある他、シアン中毒の解毒剤としても使われます。いわゆるラッシュ系ドラッグとしても認識されている物質です。平成19年に薬事法第2条第 14項に規定する指定薬物に指定されました。
医療用および人体に危害を及ぼすおそれのない用途以外での製造・輸入・販売等は禁止されています。尚、毒物及び劇物取締法では、劇物に指定されています。
亜硝酸イソブチルの原理を化学的性質の観点から解説します。
図2. 亜硝酸イソブチルの化学反応
亜硝酸イソブチルは、一般的な亜硝酸エステル同様、亜硝酸とイソブタノールとのエステル化反応により合成可能です。また、亜硝酸イソブチルは、塩基存在下では加水分解されて逆の反応が起こります。すなわち、この反応では元のアルコールと亜硝酸塩を与えます。
また、引火性が高く、水中で分解する化合物です。加熱によって分解し、分解生成物として窒素酸化物 (NOx) を生成します。酸化物と危険な反応を起こす可能性があるため、酸、酸化物との混触は避けるべきです。
図3. 亜硝酸イソブチルによるシアン化物の解毒
亜硝酸イソブチルは、ヘモグロビンのヘム鉄のFe2+を酸化させてFe3+のメトヘモグロビンを形成します。この際、シアン化物イオン (CN-) が存在していると、メトヘモグロビンのFe3+と配位結合しシアンメトヘモグロビンとなります。
これによって、ミトコンドリアの酸化型のシトクロム酸化酵素複合体 (COX) のFe3+へのシアンの配位結合を防ぐことが可能で、有害事象が阻害されるというメカニズムです。さらに、チオ硫酸ナトリウムを別途投与すると、シアンメトヘモグロビンから徐々に解離するシアンがチオ硫酸ナトリウムに結合してチオシアン酸になり、無毒化されます。
亜硝酸イソブチルは、前述の通り指定薬物に指定されているため、所持や使用が厳しく規制されています。現状では、研究開発用の有機合成化学試薬としてのみ販売されています。
尚、指定薬物は下記のように規定されているため、目的外での使用はできません。購入の際は使用用途の届け出が必要です。
「疾病の診断、治療又は予防の用途及び人の身体に対する危害の発生を伴うおそれがない用途以外の用途に供するための製造、輸入、販売、授与、所持、購入又は販売若しくは授与の目的での貯蔵、若しくは陳列は禁止」
なお、試薬製品としての亜硝酸イソブチルは、0-10°Cにて保管が必要な試薬です。光、湿気、熱を避けて保管し、特に湿気では分解します。製品容量には、25 mL , 100mL , 500mLなどの種類があります。
参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/542-56-3.html
https://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.display?p_lang=ja&p_card_id=1651
https://bukai.pharm.or.jp/bukai_kanei/houki-kaisei/kaisei2007_02/index.html
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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