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ホスホマイシンについての概要、用途、原理などをご説明します。また、ホスホマイシンのメーカー6社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
ホスホマイシンとは、ストレプトマイセス属の放線菌から作られ、ホスホエノールピルビン酸塩を元に合成された抗菌薬です。
抗菌薬の中で唯一、同じ系統の薬剤がありません。ホスホマイシンは飲み薬と注射薬に分けられ、飲み薬の化学式はC3H5CaO4P・H2O、注射薬の化学式はC3H5Na2O4P・H2Oで表されます。
両者の違いは、化学式の中にカルシウム (Ca) が含まれるか、ナトリウム (Na) が含まれるかです。ホスホマイシンの商品名は「ホスミシン」です。グラム陽性細菌、グラム陰性細菌どちらに対しても、殺菌作用を示すという特徴があります。
ホスホマイシンは、抗菌スペクトルが極めて広い (標的となる細菌の種類が豊富な) 抗菌薬です。そのため、他薬剤で多剤耐性菌が発生した際、第二選択薬として使われることがあります。
飲み薬か注射薬かにより、標的とする細菌の種類や効果のある疾患が異なります。飲み薬と注射薬が共通して効く細菌は、ブドウ球菌属、大腸菌、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア・レットゲリ、緑膿菌です。飲み薬はこれに追加して、赤痢菌、サルモネラ属、カンピロバクター属にも効果があります。
飲み薬と注射薬の共通した適応は、腎盂腎炎と膀胱炎です。これに加え飲み薬は、消化管を通り代謝されるため、腸の感染・炎症によく効きます。他に効果が期待できるのは、眼、耳、鼻など感覚器官の感染です。
一方、注射薬は血液にダイレクトに入るため、敗血症、肺、子宮の感染・炎症によく効きます。
ホスホマイシンの作用機序は、細胞壁合成阻害です。βラクタム系抗菌薬も同じく細胞壁合成を阻害しますが、ホスホマイシンとは作用するタイミングが異なります。特にホスホマイシンは、細胞壁合成の初期段階を阻害すると言われています。
他の薬剤に比べて、薬剤耐性化の報告が少ないです。しかし、突然変異で耐性を獲得することもあり、特に緑膿菌や大腸菌に対して、効きが悪くなると言われています。
ホスホマイシンは人体に入ると、化学構造を変化させることなく分布し、尿中に排出されます。そのため、腎機能が低下している患者はうまく排出することができず、ホスホマイシンが効きすぎてしまう可能性があります。腎機能低下の程度に応じて、投与量の調整が必要です。
嫌気条件下で効果が強いことが特徴です。例えば、アミノグリコシド系抗菌薬は嫌気条件下で効果が下がるため、好気条件下でしか働きません。ホスホマイシンの内服薬が腸の中で効果を発揮するのは、腸管内が嫌気条件下であるためです。
ホスホマイシンの禁忌患者は、飲み薬では設定されていません。対して注射薬では、「ホスホマイシンに対して過敏症の既往歴のある患者」が禁忌患者として設定されています。
また、慎重投与患者は、注射薬でのみ「本人または両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹などのアレルギー症状を起こしやすい体質のある患者」に設定されています。飲み薬、注射薬は共通して、肝逸脱酵素が上昇する副作用が報告されているため、「肝障害のある患者」に対する投与にも注意が必要です。
前述した通り、飲み薬、注射薬共通して、腎機能低下患者への投与は注意が必要です。特に高齢者は腎機能が低下している可能性があります。また注射薬はナトリウムを14.5mEq/g含んでいるため、心不全、腎不全、高血圧など、ナトリウム摂取制限を要する患者への投与は注意が必要です。
ホスホマイシンの重大な副作用は、内服薬、注射薬共通して偽膜性大腸炎などの血便を伴う重篤な大腸炎が挙げられます。注射薬は他に汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少、痙攣が報告されています。しかし、いずれも頻度を確かめる検査をしていないため、頻度不明となっています。
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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