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チミンについての概要、用途、原理などをご説明します。また、チミンのメーカー4社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
目次
チミンとは、DNAの構成成分の1つでピリミジンの誘導体です。
ウラシルの5位の炭素をメチル化した構造を持ち、5-メチルウラシルという別称があります。DNA は、アデニン (A) 、グアニン (G) 、シトシン (C) 、チミン (T) の4種の塩基をもつヌクレオチドで構成されています。チミンは2本の水素結合を介してアデニンと結合します。
DNAの変異のひとつとして、隣接した2個のチミンあるいはシトシンが紫外線によって二量体を形成する現象があります。チミン、シトシン、ウラシル、をまとめてピリミジン塩基と呼びます。
チミンは生体の設計図であるDNAの構成要素として重要な役割を担っています。
また、チミンはPCR検査に用いられる材料のひとつです。PCRはポリメラーゼ連鎖反応 (英: Polymerase Chain Reaction) の略であり、ウイルス等の微量遺伝子を増幅し、検出する技術です。抽出した目的遺伝子を鋳型にDNAを増幅していきますが、この際にDNA鎖を新たに合成するために、4種類のヌクレオチドを反応系に供給する必要があります。
チミンは、白色の結晶性粉末で、冷たい水やエタノールにはほとんど溶けません。一方で、熱水や熱エタノールは溶けます。また、水酸化ナトリウム溶液はよく溶けます。
チミンは、酸素やフリーラジカルなどの酸化物質によって酸化されることがあります。チミンが酸化されるとチミングリコールを生じます。DNA中に生じたチミングリコールは、DNAの構造の変化を引き起こすことがあります。
細胞の損傷や通常、DNAの損傷は、抗酸化酵素や抗酸化物質によって修復されますが、修復能力を超える過剰な損傷はがんや老化などの原因となることが知られています。
図1. チミンの構造式
チミンは核酸を構成する塩基のうち、ピリミジン骨格をもつピリミジン塩基です。ピリミジン塩基は窒素を含む6員環で構成されている環状有機化合物です。チミンは1位と3位にイミノ基を、2位と4位にカルボニル基を、5位にメチル基をもっています。
図2. DNAの水素結合
3位にあるイミノ基と2位と4位にあるカルボニル基が水素結合を形成することによって、DNAの二重らせん構造を形成するのに重要な役割を果たしています。
チミンは核酸塩基としては唯一、メチル置換基とアリル位水素を持ちます。アリル位水素とは、2重結合の隣の炭素につながっている水素のことです。アリル位水素があると、不対電子を持つ原子や分子による水素の引き抜きを受けやすく、生体内で活性酸素などの標的になります。
核酸塩基と五炭糖が結合した化合物は、ヌクレオシドと呼ばれます。ヌクレオシドは、糖のヒドロキシ基-OHと核酸塩基のイミノ基NHが脱水縮合することで生成されます。この結合はN-グリコシド結合と呼ばれます。チミンを含むヌクレオシドはチミジンと呼ばれます。
図3. チミジン
tRNA中の装飾ヌクレオシドであるリボチミジンは、チミンのリボシル化により合成されます。また、抗ヘルペス作用を有するスポンゴチミジン (チミンアラビノシド) は、チミンのアラビノシル化により合成されます。
ヌクレオシドにリン酸が結合することで、ヌクレオチドという化合物が形成されます。この化合物は、糖の-OH基とリン酸の-OH基が脱水縮合して生成されるため、この結合をリン酸エステル結合と呼びます。例えば、チミンがヌクレオチドと結合すると、チミジル酸またはチミジン一リン酸と呼ばれる化合物が生成されます。
DNAは、疎水性の塩基が内側に向き、外側には親水性の糖とリン酸が配列されています。2つのポリヌクレオチド鎖が互いに逆方向からねじれ合って大きな2重らせんを形成しており、塩基部分の水素結合によって塩基対が形成されます。このとき、アデニンとチミンが相補的な塩基対を形成し、グアニンとシトシンが相補的な塩基対を形成します。
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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