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チアマゾールについての概要、用途、原理などをご説明します。また、チアマゾールのメーカー7社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
図1. チアマゾールの基本情報
チアマゾール (Thiamazole)とは、含窒素複素環式化合物の一種である有機化合物です。
化学式はC4H6N2Sで表され、分子内にチオ尿素構造を含む五員環の分子構造をしており、イミダゾールの誘導体でもあります。他の慣用名には、メチマゾール (Methimazole) があり、IUPAC命名則による名称は1-メチル-3H-イミダゾール-2-チオンです。CAS登録番号は、60-56-0です。
分子量114.17、融点146℃であり、常温では白色からうすい黄褐色の、結晶性粉末から粉末状の固体です。特異臭を呈し、水には簡単に溶けます。尚、水への溶解度は、2.75mg/mL (20°C) です。クロロホルム、アルコール、ピリジンには可溶、ベンゼンには微溶ですが、エーテルには難溶となっています。
分解すると二酸化炭素、一酸化炭素、窒素酸化物 (NOx) 、硫黄酸化物 (SOx) などの有害物質が発生します。そのため、保管の際は、高温と直射日光、及び強酸化剤との混触を避けることが必要です。特に法令による規制はありませんが、アレルギー性皮膚反応を起こす恐れや、生殖能または胎児への悪影響の恐れの疑いが指摘されています。
チアマゾールは、主に抗甲状腺薬に使用されています。甲状腺ホルモンが過剰になった状態の治療、すなわち甲状腺機能亢進症の治療用途で用いられることが最も多いです。
その他には、甲状腺手術や放射性ヨード治療において甲状腺の操作の影響を最小にすることを目的として、治療介入の前に、血中甲状腺ホルモン濃度を低下させる用途でも用いられます。薬剤としてのチアマゾールは効き目が早く副作用も少ないとされ、主要な第一選択薬とされています。
元々はヒト用の医薬品として開発されましたが、現在は猫の甲状腺機能亢進症の治療にも積極的に使用されています。特に欧米では主流の治療薬です。一般の有機化合物として、有機合成化学においても使用されています。
チアマゾールは、用途によって構造が異なります。
図2. 甲状腺ホルモン「チロキシン」の構造
抗甲状腺薬としてのチアマゾールは、甲状腺の酵素である甲状腺ペルオキシダーゼを阻害して、甲状腺ホルモンの生合成を抑制します。甲状腺ホルモンの一種であるチロキシンの生合成には、甲状腺ペルオキシダーゼによるチログロブリンのヨード化が必要です。
チアマゾールを含むチオアミド化合物は甲状腺ホルモンの生合成の多くの段階を阻害するとされていますが、チアマゾールが阻害する反応の一つに、このチオグロブリンのヨード化反応があるとされています。
チアマゾールが引き起こす重篤な副作用の一つに、無顆粒球症があります。無顆粒球症は、血液中の白血球数、特に好中球が低下する病態です。チアマゾール服用中に発熱やのどの痛みがあった場合は、直ちに無顆粒球症を疑い、実際に無顆粒球症を発症した場合には医師の指導の元でチアマゾールの服用を中止します。
図3. ラジカル捕捉の推定反応機構
有機合成化学分野においては、チアマゾールは、ヒドロキシラジカル (・OH) などのフリーラジカルのスカベンジャー (捕捉剤) としても有用です。
現在販売されているチアマゾールの種類には、医薬品、及び、化学試薬があります。化学試薬としてのチアマゾールは、5g , 25g , 100gなどの容量で販売されており、常温での保存が可能な試薬です。有機合成の原料として使用されています。
医薬品としてのチアマゾールは、前述の通り抗甲状腺薬として用いられます。メルカゾールの製品名で販売され、2.5mg , 5mgの種類があります。剤形はフィルムコーティング錠です。甲状腺機能亢進症に適用があり、購入には医師の処方箋が必要となります。
参考文献
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00069326
https://www.tcichemicals.com/JP/ja/p/M0868#docomentsSectionPDP
http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se24/se2432001.html
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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