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キヌクリジンについての概要、用途、原理などをご説明します。また、キヌクリジンのメーカー3社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
キヌクリジン (英: quinuclidine) とは、化学式C7H13Nで表される複素環アミンです。
1,4-エタノピぺリジンとも呼ばれます。分子量は111.18、CAS番号は100-76-5、密度は1.025 g/cm3、融点は158℃です。
IUPAC名は1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン1-azabicyclo[2.2.2]octane です。外観は無色~乳白色の固体であり、昇華性があります。天然物としては、アルカロイドとして有名なキニーネの骨格に含まれていることでも知られています。
キヌクリジンの使用用途として、医薬品や機能性材料などの出発物質が挙げられます。天然物の中でキヌクリジン骨格が含まれているような物質も多く、代表的なものにマラリアの特効薬としても知られているキニーネが存在します。
キニーネは通常水溶性を上げるために塩酸キニーネや硫酸キニーネなどの塩の形で利用されており、マラリア原虫に特異的に毒性を示しますことが特徴です。マラリア原虫は赤血球中においてヘモグロビンを取り込み、栄養として利用しています。
しかし、ヘモグロビンを代謝する際に、マラリア原虫にとっては有毒なヘムが生成します。原虫はヘムポリメラーゼによってヘムを重合させ、無毒化することで毒性を回避しています。そこで、キニーネはこのヘムポリメラーゼを阻害することで、原虫に対して毒性を発揮するという説が有力です。
キニーネ以外にも、様々な生理活性を有するキヌクリジン骨格をもつ天然物は多数存在しています。近年では、それらの不斉合成が研究されており、キヌクリジンはこれらの物質を合成する際の出発物質として利用されています。
前述した通り、キヌクリジンは強い求核性を持っていますが、この著しく高い求核性は触媒としての利用にも応用されています。具体的には、アルケンのアルデヒドに対する付加反応 (森田・ベイリス・ヒルマン反応) の触媒などとして使用されています。
また、キヌクリジン骨格は官能基化することによって不斉点を持たせられますが、その特徴を利用して不斉点を化合物に導入することが可能です。不斉合成触媒の創製という点においても、重要な構造となっています。
キヌクリジンは、特徴的な[2.2.2]ビシクロオクタン環をもち、有機化学的に興味深い構造をしています。平面性が低い構造をしていることから、通常のアミン化合物よりも溶解性が高くなる性質もあります。
キヌクリジンの2位がカルボニル基に置換されたキヌクリドンは、アミドでありながら加水分解しやすく、カルボン酸とアミンの塩を作るなど通常のアミドとは違った性質を示します。通常のアミンは、N原子の非共有電子対がカルボニル炭素および酸素のπ軌道と共役しているためにカルボニル炭素の求電子性が低くなっています。
しかし、キヌクリジンの場合は立体的な環構造によって、非共有電子対がカルボニル炭素および酸素のπ軌道と共役できなくなっており、炭素の求電子性が比較的高くなっているため、水分子による求核攻撃を受けやすいことが理由です。
また、キヌクリジンは、通常のアミン化合物と比較すると求核性が非常に高くなっています。通常のアミンは、常に反転を行っているため非共有電子対が固定されていないのに対して、キヌクリジンは環構造によって固定されているためです。さらに、窒素原子周辺の立体障害が少ないことも求核性が強い理由として挙げられます。
キヌクリジンは、GHS分類において急性毒性、皮膚腐食性/刺激性、眼刺激性に分類されています。ただし、法規制は「労働安全衛生法」「労働基準法」「PRTR法」「毒物および劇物取締法」においてはいずれも非該当です。
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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