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キナゾリンについての概要、用途、原理などをご説明します。また、キナゾリンのメーカー3社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
図1. キナゾリンの基本情報
キナゾリン (Quinazoline) とは、芳香族化合物の一種で分子式C8H6N2で表される有機化合物です。
ベンゼン環とピリミジン環の2個の6員環が縮合した構造を持ちます。CAS登録番号は253-82-7です。分子量130.15、融点49-50℃、沸点243℃であり、常温では白色から淡黄色の結晶又は結晶性粉末です。
特異臭を呈します。エタノール・アセトンに溶けますが、水には溶けにくいです。密度は1.351g/cm3、酸解離定数pKaは3.51、引火点は106℃です。また、キナゾリンは、消防法や毒劇法といった主な国内法規での指定適用はありません。
キナゾリンの主な使用用途は、有機合成原料です。また、誘導体であるキナゾリン系化合物は様々な分野で応用されています。
医療分野では、キナゾリン誘導体は、抗マラリア剤や、脳腫瘍などのがんの治療薬などです。他にキナゾリン環を含む薬剤としては、降圧薬 (α受容体遮断薬) のドキサゾシンが挙げられます。
また、エレクトロニクスの分野でもキナゾリン系化合物は有機EL材に有効とされている物質です。ディスプレイなどへの応用が進められています。
図2. キナゾリンの水和反応(上)と位置番号(下)
キナゾリンは、N3位でプロトン化 (及びメチル化) される性質があります。N3位がプロトン化されることで、C4位に水分子を始めとする種々の付加反応が起こります。
また、キナゾリン溶液を酸性またはアルカリ性で加熱すると、加水分解します。分解生成物は2-アミノベンズアルデヒド (またはその重合体) 、ギ酸、アンモニア (若しくはアンモニウムイオン) です。
キナゾリンのピリミジン環は芳香族求電子置換反応を受けにくい性質ですが、2位よりは4位のほうが反応性は高いとされます。ピリミジン環よりもベンゼン環部位のほうがより求電子置換反応を受けやすい性質です。また、2位または4位のハロゲン置換体は容易に芳香族求核置換反応を受けます。
キナゾリンは、主に研究開発用の試薬製品として販売されています。主に有機合成の原料として使用されています。
製品容量の種類は1g , 5gなどです。少量での提供となっており、比較的高価な試薬であるということができます。室温で取り扱われる試薬製品です。
また、種々のキナゾリン誘導体も試薬製品として販売されており、有機合成原料として使用されています。市販されているキナゾリン誘導体には、4-クロロキナゾリン、4-ヒドラジノキナゾリン、キナゾリン-2-カルボン酸塩酸塩、2-メチル-4(3H)-キナゾリノンなどがあります。
図3. キナゾリンの合成
キナゾリンの合成は、歴史的にはキナゾリン-2-カルボン酸の脱炭酸が最初に報告されています。現在考えられる効率的な合成方法の1つは、4-クロロキナゾリンに対してトシルヒドラジド基を導入し、塩基によってこれを除去する方法です。
キナゾリン誘導体の合成方法のうち、有名な人名反応にはニーメントウスキーのキナゾリン合成 (Niementowski quinazoline synthesis) があります。この反応は、アントラニル酸とアミドから4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリンの誘導体を合成する反応です。
キナゾリン環を持つ分子は種々の薬剤に用いられています。抗マラリア剤や、降圧剤などの他、近年の例では、分子標的治療薬の一種であるチロシンキナーゼ阻害薬を挙げることができます。具体的な薬剤は、ゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、ラパチニブなどです。
参考文献
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0232-5326JGHEJP.pdf
特表2017-507971、2017-503001、2017-520905
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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