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イソキノリンについての概要、用途、原理などをご説明します。また、イソキノリンのメーカー8社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
イソキノリン (化学式: C9H7N) とは、ベンゼン環とピリジン環が縮合した構造を持つ複素環式芳香族化合物です。
キノリンという化学物質の異性体で、その構造から2-アザナフタレン、2-ベンズアジンとも呼ばれています。天然由来の窒素原子を含む有機化合物であるアルカノイドには、イソキノリンの構造骨格を持つものが多く存在します。広義には、イソキノリンはこの骨格を持つさまざまな物質を指しています。
国内においてイソキノリンは、消防法や毒物及び劇物取締法などの指定には該当しない物質です。
化学式 | C9H7N |
英語名 | Isoquinoline |
分子量 | 129.16 |
CAS番号 | 119-65-3 |
イノキノリンおよびイソキノリンの誘導体は、主に医薬品分野において使用されます。具体的な使用例を挙げると、麻酔薬、抗高血圧剤、血管拡張剤などに使用されます。
麻酔薬
キニソカインなどの薬品が実用化されていおり、神経のナトリウムチャネルをブロックすることで局部麻酔作用を発揮します。
抗高血圧剤
キナプリルなどの薬品が実用化されています。この薬は、高血圧を誘導するアンジオテンシンという物質を合成する酵素を働かなくさせることで、血圧を下げる働きを持ちます。
血管拡張剤
パパべリンという薬品が使われています。この薬品は、血管や腸の運動を支配している平滑筋に存在するアセチルコリン受容体などの受容体に作用して、血管の拡張を行います。その主な作用機序は、血管平滑筋へのカルシウムイオンの流入を阻止することによるものです。
その他にも、医薬品としては抗マラリア剤、抗真菌剤、消毒薬としても用いられています。
また、イソキノリンは、染料を合成する際の原料として利用されており、イソキノリン系の染料として多くの物質がイソキノリン骨格を持っています。イソキノリンは適切な光の波長を吸収する上に、さまざまな誘導体を合成しやすいことから、多種多様な染料が合成されています。
さらに、イソキノリンは殺虫用途の農薬の製造時の合成原料として使用されます。イソキノリンは3級アミンの部分を持っており、この部分が昆虫のコリンエステラーゼを阻害し、アセチルコリンの濃度を大幅に上昇させることで作用を発揮します。
その他、イソキノリンは製造業分野でも使用され、ポリイミドフィルム製造時の触媒や腐食抑制剤としても有用です。
イソキノリンの融点は26°C程度で、溶けると無色の油状状態になりますが、純度の低いサンプルは褐色を呈することがあります。多くの窒素原子を含む化合物と同様、強い臭いを放ちます。ピリジン環を持つため、弱塩基性を示し、そのpKbはおよそ8.6です。
イソキノリンは水には溶けにくいですが、エタノール、ジエチルエーテル、二硫化炭素などの通常の有機溶媒に対する溶解度は高いです。ただし、希酸に対しては分子中の窒素原子がプロトン化されるためよく溶けることができます。
イソキノリンは、芳香環中に窒素原子を含むような構造になっています。そのため、同じく芳香環中に窒素原子を持つピリジンと同様に、求電子置換反応に対しては、2位の炭素が反応を受けやすくなります。
また、ベンゼン環やナフタレン環よりも電子密度が高いため、これらの分子よりも求電子置換反応に対する反応性は高いです。
イソキノリンは工業的にはコールタールから抽出されることで得られますが、実験室においてはさまざまな合成法があります。
1つ目は、Pomeranz-Fritsch反応を利用して、ベンジルアミンとグリオキサールのアセタールを反応させて合成する方法です。この方法は、無置換のイソキノリンを得る方法としては非常に優れています。
2つ目は、Pictet-Spengler反応を用いて、様々なベンジルアミン誘導体とアルデヒドから、テトラヒドロイソキノリン誘導体を合成し、脱水素を行う反応です。
参考文献
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0117-0022JGHEJP.pdf
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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